十二神信仰における創世神話
はじめに光も闇もなく、この世にはただ渦があった。
最初にアルジクが渦より現れ、時が刻み始めた。またアルジクが重力を創ったことで、この世に地の理がもたらされた。さらに続いて渦より現れたニメーヤは、この世に水の理をもたらし、地に水が満たされた。アルジクはニメーヤを妹として育てたが、やがて愛し合うようになり、ふたりの娘を儲けた。長女アーゼマは太陽とともに生まれ、次女メネフィナは月とともに生まれた。こうして、朝と夜ができた。
多くの朝と夜が繰り返され、渦より再び神が現れた。サリャクと名乗った男神は、賢き知恵を持って生まれ、ニメーヤが満たした水を、アルジクが創った地に流して川を創った。
やがて、思慮深いサリャクに惹かれたアーゼマは、ふたりの娘を儲けた。長女リムレーンは、祖母ニメーヤが満たした水を用いて生命に溢れる海を創った。一方、次女ノフィカは、祖父アルジクが創った地を生命で満たした。こうして海と大地に生命が満ちあふれた頃、再び新たな神が現れた。オシュオンと名乗る男神は、世を回り、やがて美しい山を築いた。すると山から海へと風が吹き下ろされ、地や海に留まっていた生命が空を舞うようになった。風が世を巡りはじめたことに気付いたリムレーンは、山を創ったオシュオンを愛しやがて恋仲になった。
しかし、移り気なオシュオンは放浪を好み、ひとところに留まることを知らなかったため、子を儲けることはなかった。この頃、神々は気ままに世の形を変え続けていた。オシュオンの山が方々にそびえ、サリャクの川は網の目のように流れ、リムレーンの海は広がり続け、混乱が生まれてしまった。そこでニメーヤは、天を流れる彗星に呼びかけて、神として降り立つように求めた。こうして現れたラールガーは、破壊の力によって乱れたった山と川と海を減らし、世に調和をもたらした。
そして、落ち着きを取り戻した世に、無数の朝と夜が巡った頃、再び二柱の新たな神が渦より現れた。
兄ビエルゴと妹ハルオーネは、いずれも野心を秘めていたため、混沌の再来をあんじたニメーヤは、ラールガーに養父になるよう命じた。こうしてラールガーの下で育てられたビエルゴは、サリャクに師事することで野心を想像力に変え、次々と匠の技を編みだすことになる。
一方、ハルオーネは、オシュオンと友情を求めて冒険のたびに出たため、野心を闘争心に変え、次々と戦の技を編み出した。だが、ハルオーネが旅先で力強い生物に戦いを挑んでは、編み出したばかりの技で打倒したことで、ノフィカの怒りを買ってしまう。
多くの生命を奪われたノフィカは激しく憤り罵ったが、ハルオーネが意に介することはなかった。深まるばかりの対立を危ぶんだオシュオンは、地の底で沸き立つマグマに呼びかけ、神として立つように求めた。こうして現れたナルザルは、殺された生物の魂に安息を与えるので、ノフィカに怒りを鎮めてほしいと取引を持ちかけた。ノフィカがこれを受け入れたことで、ハルオーネとの戦いは回避された。オシュオンは、ナルザルに大いに感謝し、義兄弟の契りを交わしたのだった。
かくしてエオルゼア十二神は並び立ち、この世をあるべき姿に創造した。
そして形作られた世界に生命があふれるのを見て、神々が暮らすための場所として、七つの天界を創り、自らは天に昇ったという。だが、その一方で、七つの地獄もまた天界と同時に生じたと伝えられている。
歴史や史跡の旅~Chronicle Encyclopaedia~