ラウバーン緩衝地
ウルダハ領北ザナラーン北部地域、ウルダハのキャンプ・ブルーフォグとガレマール帝国の拠点カストルム・メリディアヌムに挟まれた荒地をそう呼ぶ。かつてこの地では青燐水の採掘精製施設を巡って長く激しい戦闘があった。
体質的に魔法が使えず、青燐水を燃料とする魔導兵器を主たる兵器とするガレマール帝国はエオルゼアを攻め落とすためにはどうしてもこのウルダハが所有する青燐水採掘施設が必要で、喉から手が出るほど欲しかった。一方ウルダハにとってもほとんどの機工物の燃料となり、非常に需要の高い青燐水の貿易は国を支える重要で主要な産業であり、それを失う訳になはいかなかった。両国とも莫大な被害を出しながらも絶対に引く事が出来ない戦いがこの地で繰り広げられていた。
この戦いでその活躍が目覚ましく、その名前を戦場に轟かせたのはウルダハ軍不滅隊のフェランド軍曹であった。彼は仲間を愛し、男気に溢れ、楽観的ではあったが頭が切れる男だった。彼の率いる遊撃隊は常識にとらわれない戦術と飛びぬけた機動力でまさに神出鬼没で戦場で敵を翻弄し続け、彼の部隊の為にガレマール軍は長期間足止めを喰らうこととなっていた。業を煮やしたガレマール軍はこの目の上のたん瘤を排除するため、奇策を弄して罠に嵌め、ようやくの事で討ち取ったのだが、彼は最後の時も部下が討たれたことに激昂し、狂戦士のように戦い続け、鬼神の如き働きでガレマール軍に被害をもたらして散った。その姿はよっぽど恐ろしく、ガレマール兵にトラウマを植え付けるほどのものであったようで、この荒地に出現するようになった全く無関係なファイナルフレイムと呼ばれる妖異をフェランドと結び付けて喧伝したりした。
フェランド軍曹亡き後、ウルダハ軍は徐々に押され始め、数か所ある青燐水の採掘場と精製施設のうちの一つをガレマール軍に奪取されることとなった。ガレマール軍はそのまま勢いにのってブルーフォグを攻め落とさんと外壁にまで攻め寄った頃、ウルダハは反撃の切り札としてコロセウムの王者から不滅隊の局長にまで上り詰めた猛将ラウバーンを投入した。戦場に姿を見せたラウバーンは圧倒的な武勇でガレマール軍を拠点カストルム・メリディアヌムまで押し返すことに成功した。一気に押し返されたガレマール軍ではあったが、当初の目的である青燐水施設の奪取には成功していたこともあり、これ以上の兵力の損失を嫌い、青燐施設防衛に必要な兵力を残し、本隊を撤退させることを決めた。こうして長期間続いた北ザナラーンでの戦いは収束。戦場となった荒地を挟んで両国が睨み合うような形で膠着状態となった。後にこの荒地はラウバーンが死力を尽くして守りぬいたことから、ラウバーン緩衝地と呼ばれるようになった。