ヨカフイ族
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オルコ・パチャに住まう大柄な民。遥か昔、トラル大陸の頂点に立って君臨していたが、数百年前から勢力を後退させ、今では山岳部に少数がひっそりと暮らしている。身長は4mほどで、筋肉質で丈夫な体つきをしている。かつて連王と交わした盟約にしたがって遺跡に封印したトラルヴィドラール「ヴァリガルマンダ」の封印を維持し監
視しながら遺跡で暮らしている。ヨカフイ族の祭司長グーフールーは他のヨカフイ族に比べて1.5~2倍ほど体が大きいが、かつてはすべてのヨカフイ族がグーフールーのように大きかったのだという。だが、サカ・トラル遠征の際に一族に病が広まってからというもの、大きな体躯で生まれてくる者は稀になったのだという。
独特の死生観を持っており、そもそも「死」は、心臓が止まったときではなく、自己の存在が、すべての人々の心から消え去ったときだという考えを持っている。そのため、生前から墓を作るが、死んでもその墓には入らず、役目を終えた肉体は火葬され、オルコ・パチャの山々に散骨される。ヨカフイ族は、皆の心の中で、永遠に生き続けるために墓を建て、その墓がある限り刻まれた絵文字を読んだ者の心の中で存在は残り続け、生きていくことができるからなのだという。
今から1000年以上前の遙か遠い昔、ヨカフイ族の始祖は、この大陸に自分達とは違う見た目、違う考え方を持った部族がいる事を知り、いつか彼らがヨカフイ族のもとへ攻めてくると考えた。民族の平和を守るため、と言えば聞こえはいいが、他民族の自分達とは違う予測不能な価値観に恐れを抱いたヨカフイ族はその正体不明の恐ろしい存在を、先手を打って駆逐してしまうことを考えたのだ。他の部族よりも体躯に恵まれたヨカフイ族は、その圧倒的な力をもとに、ヨカ・トラルの大半を支配下に収めたという。多くの部族を制圧したヨカフイ族の気持ちは大きくなっていた事だろう。さらなる勢力の拡大を狙い、北大陸サカ・トラルへの出征を目指した。わざわざ船では渡れない海峡を渡るため、100年の歳月をかけて北へ渡る大橋を完成させた。だが、いざサカ・トラルに足を踏み入れたヨカフイ族を待っていたのは、本物の目に見えない敵、正体不明の病だった。実はこれは特段、新しい病ではなく現地で暮らすトナワータ族やシャトナ族にとっては、季節ごとに流行る、ちょっとした風邪程度のものだったのだという。ところが、免疫力のないヨカフイ族が感染すると、命を奪い去るほどの恐ろしい力を発揮し、この時サカ・トラル遠征に参加したヨカフイ族の実に9割が北の大地で命を落とした。慌てて踵を返したヨカフイ族であったが、病から生還し故郷へと帰還した者も、子が生まれづらくなるというような後遺症に苦しむこととなった。サカ・トラルへの出征で多くの同胞を喪ったヨカフイ族は生まれ育ったこの場所で、記憶を石に刻みながらひっそりと生きることを選択した。
また黄金郷の噂は元を糺せばヨカフイ族が出処であるらしい。正確には、サカ・トラル出征の少し前、ヤクテル樹海に駐屯していた時、同時期に数十、数百のヨカフイ族の祖先たちが夢の中で黄金に輝く国を視たのだという。同じ夢を視たことで、当時の祭司たちは、神からの啓示だと考えたのだという。
種族・民族図鑑~Ethnic Encyclopedia~