テンペスト
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コルシア島周辺に広がる海は嵐が多く船も余り立ち寄らない海域で昔から「黒風海」と呼ばれており、その別名を「テンペスト」という。現在このテンペストの海底は規模は圧倒的に大きいが、オサード小大陸にあったタマミズの様に巨大な気泡に包まれていて、空気がある状態が保たれている。いつからこの気泡に包まれているのかという事については不明。
本来は水の底であるテンペストの海底には太古の遺跡が沈んでおり「光の氾濫」により南の海にあった故郷を失ったオンド(原初世界で言うサハギン族)たちそこに住み着いた。光の氾濫の時にたまたま陸地に上がっていて難を逃れた生き残りのオンド達によって開かれたため、陸に残った潮の意を込め「オンドの潮溜まり」と名付けられた。オンド達は宿なしの自分たちがここに辿り着けたことに対して、自分たちが住み付いたこの地にある遺跡が海底でも朽ち果てないのはここを造った古の者がいづれはここに戻るためであり、その古の者の導きによりこの遺跡を護るために故郷を失った自分たちが呼ばれたのだと意味づけしている。
オンドの潮溜まりの北西のキャリバンの古巣穴を抜けると「漆黒の大海溝」と呼ばれる海溝がある。
オンドは漁をして暮らすいわゆる蛮族であるため産業らしい産業を持たないのだが、唯一オンドが特殊な染料で染める紫色の布地は高貴な者の象徴としてユールモアでは以前から珍重されきた。その染料の原料となるプルプラと呼ばれる巻貝は海溝の深い場所にその群生地があり、魚人であるオンドにしか採取できないため人の世界では高価で取引されている。
オンドの潮溜まりから南西に行くと大きな海溝に阻まれ先には進めなくなるのだが、その海溝の向こうに薄っすらと灯りのともった近代的な都市のようなものが見える。これはエメトセルクが遺跡の上に作り上げた幻影都市で古代原初世界にあった古代人の首都アーモロートを模している。
古代人の都市は元々原初世界にあったのだが、幾度の世界統合に伴う霊災を経てきた原初世界ではすでに失われており、その遺跡すら確認することは出来ない。そのため、アシエン・エメトセルクはわざわざこの第一世界に幻影都市を再構築した。
幻影都市アーモロートには、カピトル議事堂、人民管理局、人民事務局、創造物管理局、人民弁論館、学術機関アナイダアカデミアなど実在した施設も再現されている。特にアナイダアカデミアはかつて、星を支配した古代人たちが創造魔法を学び、極めるために設立された学術機関であり、多くの生物種を創造するという神の如き術が磨かれた神秘の地であり、ここで創造魔法を習得したものがエルピスで実際に生物を創造していた。これが魔力によって紡がれた幻だとしても、そこにある知識は大きな力を持つ。
さらにひっそりと佇む幻影の古代都市アーモロートのさらに向こう、西方の水底に新たな遺構があるのだが、それはオンド族が棲まう潮溜まりと同様に、エメトセルクの幻に彩られてはいない実体ある本物の遺跡なのだという。