量子超越
「量子超越性」とは、量子コンピュータの計算能力が従来のスーパーコンピュータよりも優れていることを証明する、という内容のものです。この論文には、Googleが独自に開発した量子コンピュータが、スーパーコンピュータが1万年かかる計算をわずか200秒で解いたと示す内容が書かれています。
量子コンピュータとは、従来のコンピュータが根本的に0と1の2つで情報を表していることに対して、「量子ビット」という単位を扱うことで0と1両方の状態も表すことができます。
従来のコンピュータと量子コンピュータの違いは、テーブルに着く人の最適な組み合わせを計算する例でわかります。
テーブルに着く何人かの人はそれぞれ、仲の良い人とそうではない人がいて、どのような組み合わせにすればもっとも会話が盛り上がるのかを考えるとします。従来のコンピュータはあらゆる組み合わせを最初に計算し、それぞれにおける会話の状況を順番に計算して最適解を導き出します。
これに対して量子コンピュータは、そのすべての組み合わせにおいて同時にその会話の状況を計算し検証することができます。これを応用すれば、セキュリティの要である暗号キーもすぐに解読できるとさえ言われています。
ただし量子コンピュータは複数の計算を同時に行えますが、導き出す答えは実は完全なものではありません。あくまでも正解を「高い確率で」導き出すにすぎないのです。そこで量子コンピュータには、その精度を高めるためのアルゴリズムが必要になります。アルゴリズムとは、問題を解く手順を具体的にプログラムにするための流れのことです。
このままでは量子コンピュータは実用性があるのかどうかが不透明ですし、本当に従来のスーパーコンピュータを上回る計算能力を持つのかどうかがわかりません。そこで、量子コンピュータの計算能力という側面にのみ注視して高速性を証明するものが、量子超越性になります。
その手段として、スーパーコンピュータに量子コンピュータの動作をシミュレーションさせて双方の計算速度を測定するという形で能力を比較しています。
<参考>