LtVPickUp~「ただの情シス」脱却へ NRI ITリーダーが示す、社内外共創をかなえるデジタルワークプレイスの未来_20250910
#Future_of_Work #Script #PickUp
▼ケース記事
https://enterprisezine.jp/article/detail/22266
#Future_of_Work
▼記事要約
NRIはコロナ前から「デジタルワークプレイス」に取り組んできたが、リモートワーク普及を契機に、社内外の人や企業が安全かつ効率的に協働できる環境づくりが急務になった。
「共創ワークスペース」という新しい基盤を構築。
特徴:
ゼロトラストセキュリティを取り入れた安全なITインフラ
SaaS活用によるコラボレーション(メール・チャット・ファイル共有など)と業務効率化
蓄積されたデータやノウハウを「デジタル資産」として管理・活用
人的資本データ(勤務状況・スキル・健康データなど) も統合し、社員の成長や生産性向上につなげる。
今後の展望
AI活用も視野に入れ、データを経営に生かす
課題と講じた解決策
SaaS導入後に社員が十分に使いこなせなかった。
「エバンジェリストチーム」 を設置し、便利な使い方を広めたり、利用促進を専任で担う取り組みを開始(2025年4月〜)。
SaaS選定において重要視している点
ヘッドクオーターの技術者とつながれるかどうか。
SaaSベンダーが日本市場を重要視しているのか、それともアジア市場の一部としてしか扱っていないのか。
業務上の工夫
プロジェクトで不満が出ても、むしろ率直に意見を言い合える場を作ることで建設的な解決を促す。
「共創ワークスペース」を社員だけのものでなく、関係者が使える環境にする。
経営層の意見をそのまま下に落とすのではなく、現場に合うように咀嚼して伝える。
今後の方向性
IT戦略部を「単なる情シス」ではなく、経営戦略を牽引する部門に進化させたい。
共創ワークスペースを国内外・グループ会社・顧客・パートナーまで広げ、真の意味での「共創」を実現していく。
▼初期仮説
特に海外発のSaaS導入において、エバンジェリストチームのように横断的な利活用を促進するプレイヤーはそれ自体がビジネスになりうる。
今後生産者から消費者を繋ぐサプライチェーンを管理するワークスペースが創出される。
企業におけるIT部門の役割は、企業のIT活用管理からから経営戦略立案へと変化していく。
▼事前リサーチ by Juri Yano.icon
Q. 既にSaaSの横断的な利活用を促進するサービスはあるのか
Digital Adoption Platform(DAP)市場:
ソフトウェア・アプリ・ウェブサイトなどに追加で使われるサービスで、ユーザーが円滑にサービスを利用開始できるよう、サポートする。
社内でのトレーニングプログラム費用などの削減に役立つ。
AIを用いて社員のSaaS理解度にあわせたトレーニングなども行える。
オンボーディングツールとは違い、導入段階の支援だけでなく、継続的・包括的なサポートが可能。
市場規模:
2023年時点でUSD 702 million
2023年から2032年の間で18.5%のCAGR。
アメリカが一番大きい市場で、2023年時点、世界市場の36.74%を独占する。
Source: https://www.walkme.com/glossary/digital-adoption-platform/
Source: https://www.fortunebusinessinsights.com/digital-adoption-platform-market-107609
Q. 国内で海外SaaS専門のDAPビジネスは主流なのか。
海外発のDAPビジネスはたくさんある(海外SaaSに対応していると仮定する。)以下、市場シェア上位の会社
WalkMe(アメリカ):NEC、えきねっと、どこもなどに対応
日本語のサイトもあるので、日本企業でもおそらく使えているのでは。
Whatfix(インド、アメリカ):CISCOなどの企業で使用されている。
日本語のサイトはない
Appcues(アメリカ):fullstoryなどによって使用。
日本語のサイトはない
Userlane(ドイツ):audi、pwcなどで使われている。
日本語のサイトはない
日本初だと、
Techtouchがトップ:MUFG、LINEヤフー、TOYOTAなどで使われている。
海外展開も視野に入っている。
Fullstarも同じくDAPのサービス。GMOReTechなどで使われている。
Source: https://www.walkme.com/jp/
Source: http://whatfix.com/about-us/
Source: https://www.appcues.com/
Source: https://www.userlane.com/
Source: https://techtouch.jp/
Source: https://fullstar.cloudcircus.jp/
→国内で(日本語で)利用可能なDAPが海外初SaaSに対応しているかは微妙だが、国内のDAP市場はまだまだ成長段階にありそう。注目の余地あり。
Q. 現時点で、どのようなサービスがサプライチェーンの協業型プラットフォームとして展開されている?
MicrosoftのSupply Chain Center:Microsoft Dynamics 365, SAP, Oracleなどのデータを統合し、サプライチェーンを体系的に可視化する。
新しいサービスを使う必要がなく、企業が既にサブスク登録しているサービスの親和性を高めるイメージ。
Source: https://www.microsoft.com/en-us/dynamics-365/blog/business-leader/2022/11/16/introducing-microsoft-supply-chain-platform-an-open-flexible-collaborative-and-secure-platform/
Q. 似たサービスを提供するスタートアップは資金調達・成長に成功しているか?
Altana AI
AIを用いて、グローバルなサプライチェーンを可視化。
前述のSupply Chain Centerに比べると少しマクロ?
$115 millionの資金調達に成功。
Alphabetが設立したChorus
AIを用いてサプライチェーンを効率化。
会社の商品のサプライチェーンに無駄や非効率な部分がないか、監視してくれる。
Alphabetからスピンオフに成功し、独立。
Source: https://www.axios.com/2023/02/13/altana-supply-chain-mapping-startup-staffs-up
Source: https://altana.ai/platform
Source: https://www.supplychainbrain.com/articles/41558-alphabet-spins-off-moonshot-supply-chain-project
→サプライチェーン効率化は需要が上がってくる市場かも。
Q. CIOなどがIT部門の役割が戦略・イノベーションへ拡張していると言っているデータは存在するか。
歴史的にCIOの役割は技術的。
DXに合わせて、AI、ビッグデータ、IoTなどを組み合わせ、イノベーションを加速させ企業戦略に積極的に貢献する役割が問われている。
Gartner Surveryによると、調査したCIOのうち82%がITだけでなく、企業戦略やイノベーション加速などに役割が広がったと証言。https://scrapbox.io/files/68c2039953a43e13e08adbd5.png
Source: https://hartmanadvisors.com/the-essential-role-of-the-cio-in-driving-innovation-in-distribution/
Source: https://cdotimes.com/2024/07/10/the-evolving-role-of-the-cio-in-digital-transformation/
▼結論
企業のDXをサポートするビジネスとして、DAPには注目。
日本で展開している外資DAPは少なく、今回の調査ではWalkMe以外日本企業にサービス提供している様子は見られなかった。
日系DAPとしてはFullstar、TechTouchが挙げられるが、まだ発達段階にあるよう。
国内DAP市場はまだ飽和しておらず、これからの成長・注目分野だと見る。
生産者→消費者を繋ぐサプライチェーンにおける「無駄」は想像以上に問題視されており、Microsoftなどの大手企業も取り組んでいる課題。
マクロ・ミクロでサプライチェーンの効率化に取り組むスタートアップは成長を見せており、ここも注目分野。これから本分野での新サービスが増えていくのでは。
IT部門の役割は確実にテクノロジー管理だけでなく、企業戦略・イノベーション加速へと広がっていく。
AIの登場もIT部門の役割に影響を与えるのではないかと考える。
テクノロジーの使い方をを社員に教育することはAIで一部代替可能。
新しいテクノロジー導入だけでなく、既存のテクノロジーをどの部署で、誰が、いつ使えば最大効率化できるのか、AIを用いながら考える、これから開発されるであろうテクノロジーを予想し人事配置を選定する、などもIT部門の役割になってくるのでは。
#Future_of_Work