LtVPickUp~Latham Advises Index Ventures on Granola’s US$125 Million Series C_260612
▼ケース記事
▼記事の要約
法律事務所Latham&Watkinsは、AI会議メモツールを提供するGranolaの1億2500万ドルのシリーズC資金調達ラウンドおにおいて、リード投資家であるIndex Venturesに対して法務アドバイスを提供した。今回の資金調達により、Granolaの企業価値は15億ドルと評価された。
本ラウンドはIndex Venturesが主導し、Kleiner Perkins、Lightspeed、Spark Capital、およびNFDGが参加した。
▼会社概要
設立:2023年
本社:ロンドン
事業内容:AI会議メモツール、会議要約、企業ナレッジ管理プラットフォーム
創業者:Chris Pedregal(CEO)
総調達額:約1.9億ドル(シリーズC後)
推定企業価値:15億ドル(2026年)
設立:1934年
本社:ニューヨーク
創業者:Dana Latham、Paul Watkins
拠点数:31オフィス(14カ国)
主な業務分野:M&A、プライベートエクイティ、VC・クローズ投資、IPO・株式発行、銀行・ファイナンスなど
売上高:約70億ドル(2025年)
設立:1996年
本社:ロンドン
創業者:Neil Rimer、David Rimer、Giuseppe Zocco
投資ステージ:シード、アーリー、グロース
運用資産:約117億ユーロ
主な投資領域:AI、SaaS、エンタープライズソフトウェアなど
代表的投資先:Discord、Notion、Slack、Dropbox、Fireworks AIなど
設立:1972年
本社:メンローパーク
創業者:Eugene Kleiner、Thomas Perkinsなど
事業内容:VC、プライベートエクイティ
投資ステージ:シード、アーリー、グロース
運用資産:約210億ドル
主な投資領域:インターネット、ソフトウェア、AI、次世代テクノロジー
代表的投資先:Google、Amazon、Stripe、Waymo、Anthropicなど
設立:2000年
本社:メンローパーク
創業者:Barry Eggers、Christopher Schaepeなど
事業内容:VC、プライベートエクイティ
投資ステージ:シード、アーリー、グロース
運用資産:約500億ドル(2026年)
主な投資領域:AI、エンタープライズソフトウェア、SaaS、クラウドインフラなど
代表的投資先:Snapchat、EpicGames、Anthropicなど
特徴:シードからシリーズF以降まで支援し、創業初期からIPOまで長期的な投資スタイル
設立:2005年
本社:サンフランシスコ
創業者:Bijan Sabet、Paul Conway
事業内容:VC、プライベートエクイティ
投資ステージ:シード、アーリー、グロース
運用資産:約120〜150億ドル規模
主な投資領域:AI、エンタープライズソフトウェア、フィンテック、ゲーミングなど
代表的投資先:Twitter、Slack、Tumblr、Discord、Coinbase、Anthropicなど
設立:2023年
本社:サンフランシスコ
創業者:Nat Friedman(元GitHub CEO)、Daniel Gross
事業内容:VC
投資ステージ:シード、アーリー
初号ファンド規模:約11億ドル
主な投資領域:AI、エンタープライズソフトウェア、インフラ、ライフサイエンス
代表的投資先:Character.ai、Figma、Eleven Labsなど
初期仮説(個人的にはこういう点が起業家にとっても価値だと思うので深掘りたいッス、な論点)
AI大時代に、優れたプロダクトを作っただけでは競争優位に立ち続けれるでしょうか?AIを作った会社ではなく、AIが使われる場所を押さえれる会社が勝つではないかと考えられる。使われる場所によって、どういう特徴が必要となるのかを見抜き、小さい市場に見えてもそれがチャンスかもしれない。大事なのはたとえ事業の入り口が小さくても、いかにそれを拡張していけるかである。
▼事前リサーチ by ずー
Q.現在生存しているAI会議メモツールにはどういうものがあるの?どんな評価されているの?
AI会議メモツール分野で最も歴史が長く、知名度が高いのはOtterである。リアルタイム文字起こしや共同編集機能が強みで、多くの企業や大学に安定感のあるサービスとして評価されている。しかし、文字起こしはできるものの、要約や活用に関しては競合会社に比べてかなり弱い。2021年のシリーズBでは5000万ドルを調達しているが、評価額は非公開である。 FirefliesはAI会議メモツールとして。単なる議事録作成ツールではなく、会議データをCRMと連携し、営業活動に活用できる。そのため、企業向けサービスとして高い評価を受けている。2021年のシリーズAでは約1400万ドルしか調達できていないが、その後ほぼ追加の大型ラウンドを行わずに成長し、2025年にsecondary取引によって10億ドル評価に到達した。 近年特にユーザー満足度が高いのがFathomで、無料プランが充実しており、要約のわかりやすさや導入の容易さが高く評価されている。一方、機能面では確かに企業向けの高度な分析機能は少ない。評価額は未公開である。 他のAI会議メモツールが会議内容に集中する中、Read AIは参加者の発言量や会議への集中度なども分析できて、単なるメモツールというより会議改善ツールとして利用されることが多い。そのため、管理者からの評価が高く、個人ユーザーには少し不向きと感じられる。2024年のシリーズBで5000万を調達し、4.5億ドル評価になった。 個人的に周りが一番利用されていると感じているのがtl:dvで、会議の録画と要約だけではなく、重要な場面をクリップとして切り出して共有できる。面接のレビューや商談の振り返りなど、同種類の会議を繰り返して行う組織では高く評価されている。評価額は未公開である。 また、独立系サービスだけではなく、大手プラットフォームもこの分野に参入を試みている。CopilotはTeams利用者にとって導入しやすく、会議要約やタスク抽出を基準機能として提供している。同様に、Zoom AIもZoomユーザー向けにAI要約機能を提供している。これらは独立系サービスほど高機能ではないが、すでに利用している企業ツールの中で完結できるという便利さから、企業中心に多く利用されている。しかし、個人が利用するには会議ホストの許可が必要で、個人ユーザーにとっては少し不便と感じられる。 Granolaは一般的なAI会議メモツールのように会議内容を文字起こしするだけではなく、ユーザーが会議中に取ったメモをAIが補完して、整理された会議ノートへ自動的に変換してくれる。そのため、Granolaを使うユーザーの多くは、会議が終わった後にメモを読むためではなく、会議中に自身も簡単なメモをとりながら考えられるために利用している。多くの会議メモツールが会議が終わった後に価値が生まれることに集中している中、Granolaは会議の最中に価値が生まれるプロダクトである。また、他のAI会議メモツールが単なる会話の記録を行っているが、Granolaはユーザー一人一人が会議中に何を重要だと思ったのかという情報を引き取れ、結果に優先順位や思考プロセスが反映される。 さらに過去の会議内容を横断的に検索することができ、チーム内で簡単に共有できる。それに加え、他のAI会議メモツールがボットとして会議を参加する必要があるのに比べ、Granolaはすべてのプラットフォームで動作し、ミーティングボットを使用せずに、コンピューターの音声を直接文字起こしを行い、メモを補完する。そのため、会議参加者にAIが録音していると表示されることなく、機密性の高い商談などでも利用しやすい。 そのため、Granolaが単なる会議メモツールではなく、会議のコンテキストを蓄積するインフラになろうとしているところが15億ドル評価に繋がっている。Granola自身もシリーズCの発表で、「企業内で何が起きているかを示す最も豊かな情報源は会話の記録である」という考え方を明確も打ち出している。さらに新しくチーム向けのSpaces機能やAPIを発表し、会議メモを他のAIワークフローに接続する方法に向かっている。現在のAI市場は急速にコモディティ化している中、どのモデルを使っているかよりどのような独自データを蓄積できるかがどんどん重視されてきており、Granolaは人間の考えを取り入れ、会議で何が話しされたかだけでなく、ユーザーとして何が重要だと考えられたかというデータまで蓄積してくる。このようなデータは将来的に極めて大きな価値を持つ可能性があり、投資家はそれに投資している。 Q.Granolaの今までの資金調達はどういった感じだったの?なぜ今のタイミングにシリーズCなの? 2023年にGranolaはAI会議メモアプリとしてスタートし、2025年にシリーズBで4300万ドルを調達し、この時点での評価額は約2.5億ドルであった。そのわずか10ヶ月後の2026年3月にシリーズCで1.25億ドルを調達し、評価額は15億ドルに跳ね上がった。その原因として考えられるのは、前文にもあったように、Granolaがこの1年で単なる会議メモツールから企業向けAIプラットフォームへと移行し、ユーザーの毎日の行動に入り込んで企業全体の知識基盤を目指しいるからである。つまり投資家は今の売り上げより、将来どれだけ大きな市場を取れるかに注目して投資を行った。 現在Granolaは、無料のBasicプランと、有料のBusinessプラン(月額14ドル)と、Enterpriseプラン(月額35ドル)を提供している。無料版でもAIによる会議メモやチャット機能を利用できるが、過去の会議履歴へのアクセスに制限があり、NotionやSlackなどとの連携も利用できない。有料版にすることで、会議履歴へのアクセスが無制限になり、外部ツール連携やAPI利用、高度なAIモデルなどが開放される。つまり、GranolaはAI要約に課金してほしいというわけではなく、蓄積してきた会議データを活用するために課金してほしい。 個人的に生成AIを使用して上に、一度課金をしたものの、その後無料版でも十分ではと感じ、結果的にサブスクを停止した。そういうふうに感じるのはきっと私だけではなく、ユーザーの間によくあることだと思う。一つの結果としてAIモデル自体がどんどん安くなっており、有料転換率がどんどん低くなってくる。
一方、Granolaは継続課金を安定させるために、AIモデルではなく、NotionやGitHubのように会社情報の蓄積に課金ポイントをおいた。投資家が高く評価しているのがこういうところであるとも考えられる。 ▼結論
AI会議メモツール市場にはOtter、Fireflies、Fathomなどの優れたプロダクトを持つ存在が数多くあるが、Granolaは会議後の会議メモツール作成ではなく、会議中に考えるためのメモという体験に着目した。さらに会議メモツールという小さい入り口からチーム共有やAPI連携を通じて企業全体の知識基盤へ拡張することを目指している。つまり、最初の市場の大きさではなく、そのプロダクトが将来的にどこまで広がる可能性を持っているかを見極めることが起業家にとってかなり大事になる。AIモデルがコモディティ化する中で、投資家が評価するのがもうモデルそのものにとどまらない。Granolaの場合、投資家が評価したのは企業の会話や意思決定というコンテキストが集まり続ける仕組みであった。