平行軸の定理
図のように原点$ Oに対して多質点系の質点位置ベクトルが定義されている剛体を考える.
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鉛直軸を$ z とする.図の左の点線周り慣性モーメントを求める.慣性モーメントの定義より,
$ J_{z}=\sum_{i}^{N}m_{i}\left(x_{i}^{2}+y_{i}^{2}\right)
である.質量中心$ Gまでの位置ベクトルを$ \bm{x}_{G}とし,$ Gから$ i番目の質点までの位置ベクトルを$ \bm{x}_{i}'と表す.このとき,
$ x_{i}=x_{G}+x_{i}'
であるため,$ z軸周りの慣性モーメントは
$ J_{z}=\sum_{i}^{N}m_{i}\left[ \left(x_{G}+x_{i}'\right)^{2}+\left(y_{G}+y_{i}'\right)^{2}\right]= \sum_{i}^{N}m_{i}\left(x_{G}^{2}+y_{G}^{2}\right)+\sum_{i}^{N}m_{i}\left(x_{i}'^{2}+y_{i}'^{2}\right)
となる.$ x_{i}'^{2}+y_{i}'^{2}=l^{2}とおくと,
$ J_{z} = J_{G}+Ml^{2}
となる.ここで$ J_{G}は質量中心周り慣性モーメント,$ Mは全質量である.したがって,任意の原点(ここでは$ O)周りの慣性モーメントは,質量中心周りの慣性モーメントと全質量$ \times距離の2乗で表される.また,$ Ml^{2}>0であるため,質量中心周りの慣性モーメントは最小値をとる.