21図書館総合展「ボードゲーム目録作成ワークショップ:ボードゲーム目録の書き手(カタロガー)がいない件について 」
概要
日付:2021年11月26日(金)19:30〜21:30
開催方法:Zoom
前提
背景
2021年9月に「一般社団法人アナログゲームミュージアム運営委員会」が設立
ボードゲームなどのアナログゲーム文化の普及・保存・人材育成を目的に「アナログゲームミュージアム」を運営する団体
しかし、ミュージアムではどのように資料を管理・運用すればいいのか。議論・方法論が不足している。
適切にボードゲームを目録しそれを利用するためには、ボードゲームという資料・作品やコミュニティのそれらに関する認識の特徴に基づいて「情報の構造」を定義する必要がある(ドメインモデル、アプリケーションプロファイル)。 丁度、2019年末〜2020年初頭から、有志による「ボードゲーム目録ワーキンググループ」が活動を開始。毎月会議を開催し、ボードゲームの目録作成のための方法論について検討を続けてきた。研究成果は、以下など。
福田一史, 井上奈智, 高倉暁大, 高橋志行, 橋崎俊, 日向良和, 藤倉恵一, 松岡梨沙. テーブルトップゲームを記述するための概念モデルの開発. じんもんこん2020: 人文科学とコンピュータシンポジウム論文集. 2020, vol. 2020, p. 275–282. . 図書館総合展2020フォーラム「ボードゲームのカタログと未来:図書館でボドゲやりたいから目録が必要な件について」 . ウェブでは「Board Game Geek(BGG)」や「ボドゲーマ」のようなボードゲーム作品のデータベースが公開されている。
膨大なゲームや作者や出版者などのデータが登録されており有用。しかしこれらのデータベースでは、資料の情報は薄い。ここでいう「資料」とは手に取ることができるゲームそのものであり、各地域におけるリリースでありバージョン。例えば下図の通りBGGの「カタン」には48件のパブリッシャーが記録される。
博物館や図書館では、個別の資料の状態や種類を管理するデータこそ必要。それがなければ資料を管理・活用できない。
https://i.gyazo.com/50e89c4125e8142df6d43c5546f4d98b.jpg
図. "Catan" Board Game Geek() WSの趣旨・目的
参加者のみなさんにアナログゲームミュージアムの活動と、目録作成の楽しみを知ってもらうこと
参加者の視点からアナログゲームの目録に必要な機能やデータ構造の妥当性を検討すること
このような目録作成をすすめることで構築されるデータセットで出来ることについて展望すること
アナログゲームの作品や資料の世界を記述するためのデータモデル
これまでの議論で設計したデータモデルの全体像は下記。
本WSではアナログゲームミュージアムにおいても主要な業務となる「ag:Instance」、すなわちアナログゲーム作品を体現する資料の記述に焦点化する。
https://i.gyazo.com/40e35741f094c19903bbceb971d86d2a.png
図. アナログゲーム記述モデル
データ入力
目録サービスの概要
「AGMサーチ(仮称)」
デジタルアーカイブプラットフォーム「Omeka S」を用いて構築。継続的に開発中。 WSで作成したデータについて
ここで作成したデータはLinked Data形式(JSON-LD)で保存し、本WSの成果として公開予定。
お願い:書誌データに公開時問題が生じかねない個人情報などは記録されないようにお願いします。また、資料の目録作成と平行して、個人・団体の典拠データを作成する可能性がありますが、それは継続的に利用することになる場合があります。
また、今回作成したデータはAGMサーチでは、WS終了後、検索出来ないデータになる。「AGMサーチ」がアナログゲームミュージアムの所蔵品検索のシステムであるため。
入力画面まで
1. 目録サービスのログイン画面にアクセスする
2. 以下のID, Passでログインする
ID: sougou@analoggamemuseum.org
Pass: XXXX (当日お伝えします)
オンサイト参加者
1. 対象のゲームのQRコードの番号(所蔵資料ID)を確認する(例:A642)
2. 管理画面の左側バーのアイテム検索フォームから
オンライン参加者
3. 左のサイドバーからアイテムを選択し、画面右上の「新規アイテムを追加」ボタンを押す
4. これでアイテムの新規登録画面に到達
5. スキーマを参照しながら、インストラクションに従って目録作成する
https://i.gyazo.com/923328d5ff2ab6f20a88a3869b6c596a.jpg
図. AGMサーチ
基本ルール
英数スペースは半角で
目の前の資料に基づき目録作成(データ化)する
今回のWSで記録する実体「テーブルトップゲーム」では、資料現物の物理的特性に着目するため、その資料に基づいた記述で適切な識別を提供する必要がある
対象の資料(商品)に基づいて記述する、つまり資料だけではわからないはずの情報は記述しない
例えば、「ガイスター(メビウスゲームズ)」の商品パッケージを記述対象とする場合、公開日は2012年。ガイスターが始めて公開されたのは1982年だが、ここで記述対象となるリソースはあくまでメビウスゲームズが日本で発行した商品パッケージでありそれが公開されたのは2012年であるため。 「このゲームの作者は実は資料に書かれていないがXXXなんです!」などといったこともあり得る。しかしそのような表示されない情報を記録してはいけない。記録してしまうと「作者XXXと記録されているが、この資料にはその表示がないので違う資料だな」と、別のユーザやカタロガーが勘違いしてしまい、資料の識別に悪影響が生じる。
資料に表示されない情報をどうしても記述すべきという場合は、記述項目名と情報源を「情報源(ag:source)」に記録し、外部の情報をもとに記録したことを明示する
目録作成作業
1. 新規アイテム画面で、リソーステンプレート「図書館総合展:テーブルトップゲーム」を選択する。
2. 管理注記に「作成:XXXX」と入力(XXXXは個人を特定できる名前、本名でなくてOK、本データは今後も何らかの形で公開される)
3. そして、資料を眺めながら、分析する。見るべきものは主に容器(裏面・表面)、説明書。
特に確認すべきは以下:
タイトル(版表示含む)
日付(出版年、著作権年)
クレジット(ブランドの表示含む)
コンポーネント
作品の位置づけに関する表示(シリーズの一つの作品か、ある作品の一部か、ある資料の派生・異版か、などを確認する)