『宇宙の春』
「宇宙の春」
「マクスウェルの悪魔」
日本人作家の作品か疑うタイプのケン・リュウ作品。幽霊にほんの少しでも現実に干渉する力があれば永久機関になりうるという発想はさすが。ただその設定を活かしきれてない気もする
「ブックセイヴァ」
👍
ほんの少し未来に実際に起こりそうで面白い
ブックセイヴァは、平均的プラグインよりも少々洗練されたものです──本の、さまざまな形で問題のある箇所を書き直すためにAIを利用することで読者の役に立つ、と 謳っています。たとえば、多様性に配慮を欠いていたり、ジェンダー、人種、性的指向の不十分な表現や、同意の誤った扱い等々。
自分で調べて、だれもが受け入れてくれるような本を書こうとしていますが、あらゆることを正しく書ける方法はなく、あらゆる不測の事態に対する感受性チェックをしてくれる下読みスタッフを雇えるほど稼いではいません。
「思いと祈り」
こういう現代的なテーマを真正面から描き切ることができるのがケン・リュウのすごいところ。ただ、救いがない。
もしあんたが一度も会ったことがない他人に暴力を振るいたがるミームをいいねしたり、シェアしたりしたことがあるなら、ターゲットが〝強い力を持っている〟という理由で毒をこめて刺々しく言ったり、嫌味を言ったりするのはかまわないと思ったことが一度でもあるなら、激昂した群衆のなかにあって大げさに叫ぶことで自分が善であることを合図しようと一度でもしたのなら、ある被害者のために集められた募金がほかのもっと〝特権のない〟被害者に渡されるべきだったのにと両手をもみ合わせて嘆いて、懸念を表明したことが一度でもあるなら──そうしたら、こんなこと言いたくないのだけど、あんたもトローリングをしていたんだ。
「切り取り」
「充実した時間」
面白かったが、テーマはテッド・チャン「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」に似ている
子育てを「充実した時間」にダウングレードし、困難な部分をロボットに外注するのは不可能だった──一部の、おそらくは大半の親にとって、親になることでもたらされる肉体的変化と神経学的変化は望ましいものだった。
「灰色の兎、深紅の牝馬、漆黒の豹」
シリーズもののファンタジー感がある
「メッセージ」
途中までめちゃくちゃよかったんだがラストがつらすぎる……
「古生代で老後を過ごしましょう」
「歴史を終わらせた男──ドキュメンタリー」
自分が日本人であることを忘れて読むことができない。また、中国系アメリカ人のケン・リュウが書いているという点も、この作品と切っても切り離せない。こういった政治的なメッセージを含むSFは小松左京も書いていたが、それもやはり日本人という立場から切り離せないものだったと思う。
もしわれわれが、〝戦略的な〟理由で、短期的な利益のためになにか価値のあるものを獲得するという名目で真実を犠牲にするなら、われわれは先の大戦の終わりに先人たちが犯した誤りをたんに繰り返すことになるでしょう。