「直感的」と言いたくなったとき
「直感的に〇〇」という言い回しは便利すぎて、つい雑に使ってしまうことがあると思う( #UI の使いやすさ、考えの過程、その他いろいろな感想……)。しかしいざ自分が読む側になるといったい直感的とは何か…?となるケースがある。 ある程度ちゃんと説明したいときに「直感的」の代わりにこう言いかえたほうが良さそうだと思う場面がある。
そこでふだん自分がどういうケースでどう言い換えるかをまとめてメモしておきたい。
「直接的」
直感的と雑に言いたくなるもっともよくあるケースは、UI の使いやすさについて何かを言いたいときだろう。
「この画面は直感的に操作ができる」云々。しかしこのセリフにはあまり情報量がない(単に「この UI 好き」以上の意味が表せていないケースをよく見る)。
もう少しどう良かったかが形容できて、かつ簡単に使える言葉はないか?となったとき、自分は「直接的(direct)」と言う。
「UI が直感的」という人が何を言いたいのかを想像してみると、要するに余計な遠回りがいらない、目的に対して間接的なステップが発生しないということが言いたいのだと思う。
いま「間接的」という言葉が出た通り、ここでの「直感的」は「間接的」の対義語として使われている。それならそうと分かるように「直接的」という方が親切だ。
OOUI 関連の本や文章には「直接的に操作できる」という言い回しがたまに出てきて、私もこれを真似することにしている。 「感性的」
もう一つよく見るケースとして、「直感的」を「論理的・理性的」の反対語として使うというのがある。
頭で考えたわけではない、「考えるな、感じろ」といいたくなるような場面に対して直感的というのはいかにも当てはまるような気がする。
「この作品が好きなのは論理的にどうこうではなく、直感的なのだ」云々。個人的には論理の対義語が直感なのはたまに違和感があって( たとえば自明な推論は論理的かつ直感的だろう )、そういうときには「感性的」とかを選ぶ。
要するに #センス の話をしているので、その日本語訳である「感性」を持ってくるのは適切だと思う。しかしカタカナで「センス」というと「センスの良し悪し」みたいな優劣のニュアンスが入って良くない。 「感覚的」も同様で、単に何も考えてないといったネガティブなニュアンスを持ちがちなので(非難したくて意図的に使うケース以外は)避ける。
ところでおそらく、この「直感的」の用法の背景には「論理=明示的なステップをつなげて考えるものなので、間接的」という発想がある気がする(だから、直接的であることと感性的であることを両方一気に表せる「直感的」という単語が対義語として選ばれる、というような)。
「直感に沿う / 反しない」
他人の言葉を見て定義がわからないとか、言ってる意味がわからないときには「直感に反する」と言うことがある。
あるいはパラドクスにであったとか、論理的に正しいが納得し難いことなど……
ただこれについて「直感的」という言葉を使うケースはそもそも少ないので気にしなくても良い気がする。
「直感で〇〇」
では上記のいずれにも当てはまらないケースではひきつづき「直感的」と言えば良いのか?
まぁ言えばいいのだが、そう何回も文章中に同じ単語が出てくるのも嫌なので言い換えたいというケースがあると思う。そういうときは「的」を省略して「直感で〇〇」というのが良いだろう。
そもそも「〇〇的」って良い方は物事を曖昧にしがちなので、その必要がないときは避けるのが良い。「直感的に選んだ」の代わりに「直感で選んだ」と言えば済むケースは多い。