音楽はほかのジャンルよりもランキングの価値が低い(低かった)
#漫画 やアニメや映画の世界は、「流行っているものはエラい」という価値観がそれなりに強いと思う 「ウケてるものはそれなりに理由があるんだ(だから触れるべきだ!)」というのが結構ふつうに言われる分野だと思う
一方、音楽の世界は「流行ってるものは別にエラくない」という世界観だったように思う
それよりも、「自分の好きなアーティスト」を持ってることのほうが大事、というのが強かった
少なくとも自分はそのような価値観で育った
「小室哲哉や秋元康はたしかにすごいヒットメーカーだけど、エラいかと言われると…」という感覚がある
これは別に誰を入れてもいい(「Mr. Children は確かにすごいけど、エラいかと言われると…」)
これに比べると、ドラゴンボールやONE PIECEはちゃんと「エラい」という人が多いんじゃないかと思う
それともこれはバイアスだろうか?音楽についても(ヒットを理由に)エラいと思われる人がいるのか?
YMO やビートルズはエラいと言う人が多そうだが、ヒットゆえに言ってる感じではない気がする
後続に影響を与えて歴史に残った、のほうが主要因としてでかそう
共時性より通時性が大事にされてそう
もっと言うと、音楽ファンはヒットチャートを無視しても良い風潮があったと思う
これはゼロ年代を10代で過ごした人間の世代感覚かもしれない
小→中→高→大と、年齢があがればあがるほどオリコンチャートが無価値になるのを見てきた世代なので
「どうせAKBとEXILEと嵐しかランキングにいないんだから、音楽を知るのにヒットチャートって役立たないよね」という諦めムードが自分の中高時代にはあった
一方私は、90年代のJ-POPは(ちゃんとヒットに価値があった時代にヒットしてた曲なので)尊重に意味があると思ってた気がする
にも関わらず(冒頭に書いた通り)根本的には「格」みたいなものがないのがJ-POPの良いところなのだと思う
「ヒットに価値があった時代のヒット曲」は良いものだけど、そうはいっても「自分の好きなアーティスト」は開拓すべきで、前者をベタに好きになる必要はないという了解があった
漫画にもそういう気分(流行りものをナメる気分)を持つことはあったかもしれないが、音楽に比べるとその価値観は淘汰されやすい土壌にあったと思う
これは、音楽雑誌というものがある時期まで生き残っていたことと無関係ではないように思われる
音楽については音楽ライターの目利きに価値があり、「わかってる人のおすすめだから聴く」という価値観が確かに存在していた
そもそも雑誌というもの自体がそういう媒体だったとも言える
私は音楽雑誌を愛読してなかったが、「Twitter にいる音楽詳しい人は何を聴いているのか」を追っかけることで趣味を広げてきた実感がある
一方、漫画を漫画ライターや評論家が褒めてオタクにウケるという構図は想像しづらい
そんなものよりも、「次にくるマンガ大賞」や「このマンガがすごい!」や「Web漫画総選挙」をやるような、アンケートを使う方が漫画らしい形と言える
漫画のほうがある意味「民主的」だ
「総選挙」なんて #政治 的な用語を(アイドル経由とはいえ)わざわざ借りてくるぐらいだし そう考えると推し活は音楽を「民主的」にしてしまったのかもしれない
しかしそのことが余計に、「やっぱランキングって嘘くさいよね」という音楽好きの感情を強めてしまった感もある
そういうわけで、私は権威(=目利きの力)というものを音楽の世界から学んだような気がする
音楽、ファッション、グルメは目利きの権威が生き残りやすい分野だったように思う
これらの分野は「ランキングは欺瞞である」(センスのいい人はそこから離れた判断ができるし、みんなそうなるべきだ)という価値観で動いていたと思う
甲本ヒロトが「売れてるものが良いものなら世界一のラーメンはカップラーメンになっちゃうよ」と言ってたのは象徴的だ
この発言に説得力があるのは、それが音楽と食べ物の話だったからではないだろうか?
もしこれを漫画家が言ったり、映画に例えて言ったものだったりしたら誰も納得しなかったのではないか
この発言が名言になったのは、実はジャンルの力ではないか?
ただしそれも今では状況が変わってきたと思う
サブスクというのは収益構造の観点から非難されることが多いが、それ以上に大きかったのは目利きの否定なのではないか
「単純なランキングは欺瞞だけど、レコメンドアルゴリズムは(聞く人に最適化している分)欺瞞ではないので、その状況で流行ってるような作品は真にエラいと言える」みたいな価値観が流入しつつある
なので、今は素朴に「流行っている音楽はエラい」と言いそうな人が10年前とかよりもいるように見える
プラダを着た悪魔2 みたいなことになってくる(まだ観てないけど)
団地ラジオでTaiTanさんが、高級ファッションブランドのインスタ投稿が250いいねとかだと「250いいねか〜…」になってしまう(そして我々はそれを止められない)という話をしてる回があったが、音楽にもこの流れは来てるだろう