可愛さと美について
「可愛い」というのはそれ自体が一つのジャンルである
違うジャンルに属するものが、自身の長所を伸ばした結果「可愛い」にたどり着くということはありえない
可愛くないものが可愛さを目指すということはあり得る
が、それは成長というよりは「鞍替え」と呼ぶほうが相応しい
「成長」=縦方向へと自身の可能性を伸ばしていく運動
「鞍替え」=横方向に可能性の重心を移動すること
鞍替えが一つの美徳となるケースはある
自らの既にある長所を伸ばしつつ、別の可能性を広げるための拡張運動の一環として行われるのであれば
どんな者であっても、「美」にならばたどり着くことができる
「美」とは到達目標であって、相対化されうる一つのジャンルではない
だからこそ「美学」というものが学問として成立しうる
だからこの意味での「美」は「高み」という言葉に置き換えられても良い
「美」と「可愛さ」を混同する者は、しばしば自らの長所を捨ててまで、可愛さへの鞍替えを志向してしまう
こうして「可愛さ」という概念によってその人は成長の機会が見逃され、あるいは遅らされてしまう
可愛さへ鞍替えした後、成長を経て両方兼ね備えるならまぁ良いが