テック左翼的な党派がなぜいないのか
(いてほしいんだよな…)
テック業界は長らくリベラルな風潮が強かったが、最近は「テック右翼」と呼ばれるような保守思想になびく人が増えている
典型的にはイーロン・マスクのような
たぶん、元々テック業界人は「自由主義」といいつつも、経済的な自由主義にしか興味のない人が意外と多かったのが要因として大きいと思う
「政府の規制が邪魔だし、古いしくみでやっていく人々と距離おきたいのでなんとなく自由主義にするか」以上の感じではなかったということだろう
リバタリアニズムというか新自由主義的というか
またこのような記事を読むに、どうも「社会にとっての効率性」なるものが客観的に実在するという前提を持ってそうに見える
感性が素朴すぎやしないか?と思うが
あとはハッカー文化に「いったん前提を疑ってみる」ことを美徳とする文化があり、「ポリコレ嫌い」を生みやすい風土があるのも関係してそう
cf: ポール・グレアム『口にできないこと』
一方疑った後に新たな結論を出す力がないせいでしょぼい相対主義から抜けられない人もよく見るが(思想の訓練が足りん!)
だから人権を擁護したりマイノリティに寄り添うための法制度も、「邪魔な規制」だと感じたらすぐ攻撃するようになってしまう
「GDPRって非関税障壁でしょ」みたいなことを言ったり
それはそれとして Accept all cookies が手段として適切だったかという批判はあってしかるべきだが…
なんならGDPR があぁなってしまったのもテクノロジーに強い左派が足りなかった結果ではないか?
とはいえ、「テック右派」がいるのに「テック左派」が集団として存在していないのは業界関係者として若干恥ずかしい思いがある
個々人でそういう人がいるのは知っている
残念ながら現代でなんとなくリベラルを名乗ることは「経済的な自由+反権威+消極的な人権擁護」以上の内容がなく、ノンポリとあまり変わりがない
なぜならこの辺の3つはもはや割と「常識」として言われることが多くなってしまったので
もちろんこのような声に意味がないとは言わないが…
リベラル思想のないシリコンバレーなんてルウのないカレーですよ(?)。行ったことないけど
オードリー・タンは根底にアナーキズムがありつつも右派にも左派にも与しないことを明言している
安野たかひろ氏はオードリー・タンからアナーキズムを引いたような存在なので、そこに若干の物足りなさがある
だからこそ左派の人からは「オードリー・タンのふりをしたイーロン・マスクみてえなやつ」という悪口を言われがちだ(私は選挙期間中に5回ぐらいこのフレーズを見た)
「Web標準からMozillaがいなくなったら良心が失われる」みたいな議論が昔からよくあるが、Web標準以外の政治的議論は最初からMozillaにあたる存在が、つまり技術を理解した良心的な主張をする存在がいない状態である
なので、Mozillaみたいな政党?が欲しいんですが?
Cloudflare は最近AI利用などについて良心的な主張を(一部は経済合理性もあるだろうが)する傾向にあり、えらいなと感じている
もしゴリゴリの「テック左派」みたいな人がいたらその人はどんなことを言うだろうか? #思考実験 「選択的夫婦別姓が実現できないのは、現在の戸籍システムが柔軟性を欠いたしょぼいレガシーシステムで、マイナンバーの真の力を活かせてないからだ」みたいなことを言って周囲をボコボコにするような人物造形が思い浮かんだ
正直めっちゃ嫌われそうだけど、もしそんな人がいたら私はちょっと好きになってしまいそうな気がする
ただ政治家に向いてる感じはしない(だからいないのか)
政治家じゃなければこういう人わりといるか
とはいえこのようなことを言って嫌われる人同士が集まったほうが本当は良いのだろうか?
ほんとうはチームみらいにこれになって欲しかったんですが(?)今からでもなんとかなりませんか?
ならない場合はOSSのツールだけを残して捨て石になってもらうしかないですが…?
改革をうたう政党が思想的に革新的じゃなかったら存在意義あるんですか!
ちなみに私は「本名」という概念を廃止して、マイナンバーとそれに紐づく通称一覧(複数可)をすべての人が持てば良いよねという思想なのだが、これがウケそうにない考えなのは理解している(移行コストの面でも)
でも100年後ぐらいにこうなっててくれよな!とは思っている(国がまだあれば!)