ロスト・デリュージョン_映像メイキング
ロスト・デリュージョンのMVを作る前段階に実験的にひとつの映像を作っており、それが👇です。
https://youtu.be/RQ4Ep30sb1w
上の映像でやりたかったのは人物が映っている視点固定の映像と、誰も映っていないを用意し「異なるマット」で人間だけを抽出、抽出した人間をソースにして「ディスプレイスメントマップ」で人がいない背景を歪ませると通行人を透明人間化できる……というものだったのですが、これを試す過程で「画像自身をソースにしてディスプレイスメントマップをかけると面白い」(上の動画だと背景のマンションがねじねじしてるのとかがそれです)ということがわかり、今回のMVはその手法一本で三分間作り切るというのをテーマに制作しました。(この手法を自分は「セルフディスプレイスメントマップ」と呼んでいます。) ただ、シンプルに背景が歪むだけでは物足りないのでキャラクターを入れたいと思い、せっかくなら吉田喜重の「煉獄エロイカ」みたいな変な構図を試しまくりたいな、と思い画面もモノクロになりました。(結果として立ち絵を一枚にした制約から奇抜な構図を試すことは叶わなかったです。)
あとは日頃から撮りためた写真を総動員して、最もセルフディスプレイスメントマップが映える背景を探します。
試しているうちに
画像の暗い部分と明るい部分が反対向きに動くので、遠近と明暗が対応している画像を使うと擬似的にカメラが移動したような映像になる(本編0:24など)
平面的で明暗がパックリした画像に使うと、画像の白い/黒い部分だけ剥離したような効果が得られる(0:37など)。
縦の要素がハッキリしてる画像(0:48,0:52,1:50など)で垂直の置き換えだけを適用すると、縦要素の形がそのまま残りそれ以外の部分が大きく変化する
みたいなことがわかり、これらを中心として映像を組むことにしました。
以下主な手順です。といってもシンプルです。
まず調整レイヤーを使って画像をモノクロ化し、コントラストを上げます。
https://youtu.be/CQfcXqwnPFY
コントラストが高いほうが不穏さが増すのと、あと次に触れますがディスプレイスメントマップのソースを輝度に設定するので最終的な動きの変化が大きくなります。
そしたら調整レイヤーと画像をプリコンポーズして、できたプリコンポジションに「エフェクト⇨ディスプレイスメントマップ」からディスプレイスメントマップをかけていきます。
「水平/垂直置き換えに使用」をそれぞれ「輝度」に設定し、「マップレイヤー」のソースがプリコンポジション自身になっていることを確認。あとは最大水平/垂直置き換えをいじりまくって遊びます。
https://youtu.be/48JVXOk9nEA
この背景は手前の柵=縦要素が面白いので、水平置き換えは0にして垂直置き換えを大きくかけました。Motion toolsでイージングをかけてグラフを整えれば完成です。