黒塗り世界宛て書簡_音楽メイキング
以下にMIDIデータやステムデータを配布しているので参考に使ってください。
もくじ
元ネタ(References)
作曲(Composition)
編曲(Arrangement)
元ネタ References
「黒塗り」のサウンドは、いよわさんの『オーバー!』に影響を受けて作られていて、というかオーバー!を聴いたときに「え、自分もこういうのが良いな……」と思ってしまいその日に作り始めたのが「黒塗り」です。なのでピアノ主体、bpm185、木琴や鉄琴みたいなシンセ、などかなり多くの着想を拝借しています。いよわさんすみません、ありがとうございます。 以下、音の中身、細かい元ネタについて。正直作ったのが1年前なのでかなり記憶が曖昧ですが思い出しつつ解体します。
作曲(コードとベース) Composition(Chords and bass)
曲はコードから作り始める事がけっこう多いです。メロディのお話はしません(あまり説明できることがないため)。
Aメロ
https://youtu.be/eY9oS2Gux8E
経過音のコードを除いて単純化すると、基本は
Ⅵm7→{Ⅴm7→#Ⅳm7-5}→Ⅳ7→Ⅲ7
のループになっています。6543の派生である65m43MのⅤmとⅣの間に#Ⅳm7-5が挟まった感じです。
https://youtu.be/lk37PxwUJ78
Ⅵm→Ⅴm7→ⅣM7→Ⅲ
→Ⅳm→Ⅰ7→Ⅳ→Ⅲ
Ⅴ7だとけっこう明るくなっちゃうのでⅤm7のクールでダウナーな響きがうまくハマっててかっこいいです。大好きです。
https://youtu.be/9Tt_nyDy93M
Ⅵm7→Ⅴm7→Ⅳ→Ⅲm7
→Ⅱm7→Ⅲm7→#Ⅳm7-5→Ⅲ
Ⅵm7→Ⅴm7→Ⅳ→Ⅲm7
→Ⅱm7→Ⅲm7
(→Ⅵm7)
👇は質感の比較動画。
前半はⅥm7→{Ⅴ7→#Ⅳm7-5}→ⅣM7→Ⅲ7、後半は今回使ったⅥm7→{Ⅴm7→#Ⅳm7-5}→Ⅳ7→Ⅲ7
https://youtu.be/c3hRpTu_dYM
前半と比べ後半ではⅤ7はⅤm7になってちょっとクールになっている反面、ⅣM7はⅣ7となっていて直後のⅢ7と組み合わせてかなり不安定な下降になっています。
このⅣ7→Ⅲ7はけっこう珍しいんですが「太陽曰く燃えよカオス」のサビで印象的に使われてました。
https://youtu.be/6Ko_DK8evlw
Ⅵ7→Ⅱ7→Ⅶ7→Ⅲ
→Ⅵ7→Ⅰ7→Ⅳ7→Ⅲ7
もうセブンスまみれ。異常コード。今回かなり(というか田中秀和曲には常に強く)影響を受けてます。
あと、Ⅵm7→{Ⅴm7→#Ⅳm7-5}→Ⅳ7→Ⅲ7のⅤm7を抜いた
Ⅵm→#Ⅳm7-5→Ⅳ→Ⅲ
もけっこう事例があります。
https://youtu.be/yn1dlcPot7g
これも田中秀和作曲ですね。同氏作曲の河野万里奈「水恋」Aメロも類例。 あとPerfumeのマカロニ(名曲!!!!!)のサビ。 https://youtu.be/YeGF1Aid1DI
マカロニはこのコードとメロディの兼ね合いが本当に秀逸で、真似できません。
Aメロのリズムとベースの元ネタは、(意識的に取り入れたというわけではないですが)田中秀和作曲の「シャーロック・シェリンフォード」含め渋谷系の音楽の影響があります。
https://youtu.be/EZvNSbr_d5k
この曲に限らず渋谷系~ネオ渋谷系の曲のベース(半音で動くウォーキングベースみたいなやつ)がすごく好きで、それらをコピーする中で手に染み付いたベースラインが手癖になって出てる気がします。
AメロとBメロの途中に挟まるフレーズはいわゆる4度進行です。特に同系でひたすら下っていくドラクエ4度。 Ⅵ7→Ⅱ7→Ⅴ7→Ⅰ7→Ⅳ7→Ⅶ7→Ⅲ7→Ⅵ7
https://youtu.be/dOYqb1lBGSg?t=90
https://youtu.be/4vc3w7JNknc
Ⅵm→・→Ⅳ7→Ⅲ7
→{Ⅵm→Ⅱm}→{Ⅴ→Ⅰ(#11)}→{Ⅳ(b9)→bⅦm6}→{bⅢ7→Ⅲ7}
Bメロ
https://youtu.be/_vCkxLoZLuM
コードは
Ⅱm7→Ⅴ7→ⅥM7→Ⅵ7
→Ⅱm7→Ⅴ7→Ⅵm7→Ⅲ7
コードの感じとベースの感じは相対性理論「LOVEずっきゅん」のイントロの影響をモロに受けています(本当に大好きな曲です)。
https://youtu.be/nFG4oQE1Et8
ベースのリズムもそのまま。
あとⅥmをⅥM7に変位させるやつもやりたかったのでよかったです。メリッサのBメロとかにあるやつ。
https://youtu.be/oT8oy3ys5Cc
(Ⅵ/#Ⅰ)
→Ⅱm7→Ⅴ7→ⅠM7(9)→ⅣM7(9)
→Ⅶm7→Ⅲ7→ⅥM7
ただこの部分、ⅥmをⅥに変位させてドがド#になってるのに今回の曲はメロディがドのまま鳴っていて奇妙な感じになってるなと今ピアノロール見て思いました。変位のキャンセルというやつか。
サビ
https://youtu.be/m4I_uCknuUI
前半のコード
(Ⅲ7(#9)→)
ⅣM7→Ⅴ7→Ⅵm→bⅦM7
→ⅣM7→#Ⅴdim7→Ⅵm→{Ⅲ7(#9)→Ⅲ7(b9)}
→Ⅱm9→Ⅲ7→Ⅵm→Ⅰaug/#Ⅳ
→ⅣM7→#Ⅴdim7→Ⅵm→Ⅲ7
サビ直前のⅢ7(#9)はキメのコード。大好きです。色んな曲に使われていますが諫山実生「月のワルツ」のイントロを思い浮かべながら打ち込みました。
https://youtu.be/famuOvhKEBs
Ⅵmadd9→ⅠM7→Ⅱm7→Ⅲ7
→Ⅵmadd9→ⅠM7→Ⅱm7→Ⅲ7(#9)
すごく悲劇的な響きになります。
その後のサビの前半はいろんなルートでⅥmに行ってます。
サビのベースはきくおさんの「ボクを忘れた空想紀行」の影響を受けています。「ボクを忘れた空想紀行」ではイントロからシンセのベースラインがトリルしまくっていて、「え!?ベースってトリルして良いんだ」というかなり新鮮な衝撃を当時受けた記憶があります。というわけでちょいちょいトリルさせてみました。あとここでも渋谷系ウォーキングベースの影響が出てます。
後半のコード
# Ⅳm7-5→ⅣM7→Ⅲm7→{Ⅲm/Ⅵ→Ⅰ7}
Ⅵm→Ⅴm7→ⅣM7→Ⅲ7
サビ後半に# Ⅳm7-5を持ってくる流れはもはや定番ですがすごく好きな進行のひとつです。
「ススメ☆オトメ」のサビ後半とか、灼熱スイッチ、Be Mine、あと「目抜き通り」Aメロとか……
https://youtu.be/1ifH6AddSGg
ⅣM7→bⅦM7→Ⅲm7→Ⅵm7
→Ⅶm7-5→Ⅲ7→{Ⅵm7→bⅥaug}→{Ⅴm7→Ⅰ7}
→#Ⅳm7-5→ⅣM7→Ⅲm7→bⅢdim7
→Ⅱm7→Ⅱm7/Ⅴ→{Ⅰ→Ⅱm}→{#Ⅱdim→Ⅲdim}
半音下降がとても情緒的。
サビのラストⅥm→Ⅴm7→ⅣM7→Ⅲ7は最初に紹介した65m43Mそのままです。
編曲 arrangement
ピアノ piano
https://youtu.be/LFLaUQJJtxk
M Equalizer
M Compressor
EQは他のトラックとの兼ね合い見ながら頑張って調整しています。コンプはよくわからないので適当にかけてます。(この行は以下全てのパートで同様)
ピアノ音源はNative InstrumentsのTHE GIANTです。かなりリッチな音が出る。今回色々楽器が鳴ってるので軽めに行こうと思いルートも鳴らさず5thもちょいちょいオミットしながら3音くらいずつ演奏しました。 ディレイはiZotopeのDDLYです。
音のピッチを不安定にするのには同じくiZotopeからでているVinylを使っています。本来は音をローファイ化するプラグインですが今回はピッチをランダムに動かす機能だけ使いました。 ベース bass
https://youtu.be/yuBgQMXsagI
鉄琴 vibraphone
https://youtu.be/4nPN6Kb70v4
synth1で作った音にdblueのCrusherでビットクラッシュをかけています。 いよわさんの「1000年生きてる」でビットクラッシュ気味のコロコロした音がなっていてすごく好きだったので真似しました。(オーバー!でも似た音が鳴っててすごく好きです)
https://youtu.be/3em-J9yYPAo?t=46
木琴 Marimba
https://youtu.be/z9UFD4hzM1g
serumのカリンバのプリセットに上と同様のビットクラッシャーをかけてます。(木琴じゃないじゃん!) シンセ synth
https://youtu.be/wazVC8n7Eks
https://youtu.be/AOuPUX47m_s
serumの音のピッチをMVibrato(ピアノのとこで紹介したMeldaのバンドルに入ってます)で揺らし、そこにさっきまでとは別のビットクラッシャーであるkrushをかけて音をザリザリにしています。 アルペジオ arpeggio
https://youtu.be/GCPac3tbDz4
Synth1で和音がアルペジオされた状態のシンセを作り、これもHY-MBMFX2でぐにゃぐにゃ動かしてます。Synth1はこの画面のパラメータを見てそのまま同じ値に設定すると同じ音が鳴るので気になる方は試してみてください。
ドラム
https://youtu.be/iZNRDRynXlU
Spliceで見つけたドラムンベースサンプルパックをそのまま使っています。フィルインのところは何種類かのドラムを組み合わせてパターンを作っていますがこれらの素材も全部Spliceです。ありがとうSplice…… サンプルはガンガン使いましょう。
歌声の処理
https://youtu.be/mODWkRg4qYc
毎回そうなんですがiZotopeのVocalSynthで軽くテクスチャを乗せています。声に立体感が出るので重宝してます。あとはEQをひたすら微調。なんか子音の「し」とか「き」の高音がきつくなる傾向があるのでEQをの高音域は慎重に削っています。低温は適当に切っています。
マスタリング
よくわからないのでマスターにOzone8を2、3個挿しています。