『東京創元社 人新世SF傑作選 シリコンバレーのドローン海賊 ジョナサン・ストラーン編 中原尚哉 他訳』読書メモ
"TOMORROW'S PARTIES: Life in the Anthropocene" Jonathan Strahan
序文――人新世におけるサイエンス・フィクション/ジョナサン・ストラーン
シリコンバレーのドローン海賊/メグ・エリソン
"Drone Pirates of Silicon Valley" Meg Elison
遊びの延長だったはずのドローン捕獲
エグザイル・パークのどん底暮らし/テイド・トンプソン
"Down and Out in Exile Park" Tade Thompson
女神のいる社会主義/無政府主義社会。このアイデアは好きだ。用語を調べていくと楽しい。続編/関連する世界観の短編を期待。
未来のある日、西部で/ダリル・グレゴリイ
"Once Upon a Future in the West" Daryl Gregory
火事の季節の北米で進行する3つのドラマは思わぬ結末へ。謎解き。悪くないサスペンス。
クライシス・アクターズ/グレッグ・イーガン
"Crisis Actors" Greg Egan
小品
潮のさすとき/サラ・ゲイリー
"When the Tide Rises" Sarah Gailey
世界観はかっちりしていて一貫性がある。
お月さまをきみに/ジャスティナ・ロブソン
"I Give You the Moon" Justina Robson
夢想的に過ぎる叙情詩。暗黒面を書くのを避けているので退屈。
菌の歌/陳楸帆
"Do You Hear the Fungi Sing?" Chen Qiufan
電子ネットワークと菌類のネットワークが祭祀によってつながり、ご都合主義的に融和する物語。物語の進め方に必然性が感じられない。
〈軍団〉/マルカ・オールダー
"Legion" Malka Older
作者が抱いているヴィジョンが見えない。翻訳に問題があるか、あるいは原文があまりに冗長で修辞的に過ぎるかのいずれかだろう。
渡し守/サード・Z・フセイン
"The Ferryman" Saad Z. Hossain
アイデアは悪くない気がするが、プロットに破れ(矛盾)がいくつかあると思う。守備一貫したSFとはいえない。
嵐のあと/ジェイムズ・ブラッドレー
"After the Storm" James Bradley
退屈すぎて読み進めるのがやっとだった。
資本主義よりも科学――キム・スタンリー・ロビンスンは希望が必須と考えている/ジェイムズ・ブラッドレー
"It's Science over Capitalism: Kim Stanley Robinson and the Imperative of Hope" James Bradley
K. S. ロビンスンはマルクス主義者だったらしい。
謝辞/ジョナサン・ストラーン
解説/渡邊利道
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(2024-09-04)