005.曲の話 2022夏
前にも長々と書いたのですが、新しい曲が増えたのでさらに長々と書こうと思います。
■1本のナイフ
……いきなりこれですか?
怒りで作品を作るととんでもないことになる。
大波に溺れているような、土砂崩れに巻き込まれるような、そんな、もうどうにもならない災害に流されているような曲にしようと思って作っていました。
あのピアノフレーズは水面に頭を突っ込まれ続けたあとに一瞬だけ吸うことのできた冷たい空気なんだと思います。
でも気づいた? ラスサビでピアノの音しないんだよね。
■白い遊園地の夢
投稿時期よりもかなり前に出来ていましたが、年内最後の曲として投稿したかったので先延ばしにしていました。
三秋 縋氏の『いたいのいたいの、とんでゆけ』ラストシーンに大きく影響されています。
worn tape pianoという、少しよれた音のピアノ音源が繰り返すフレーズでいい味が出ていると思います。
シンプルな曲で、でも各パートのメロディラインが綺麗で、気に入っています。
■winter path
新春曲作りRTA
1月1日に作って1月1日に投稿した最短記録の曲です。
リズムが難しい……。もっと丁寧に作るべきでした。
でも気に入っています。特にラスサビと終わり方。
出かけられる程度に雪が降っているときのBGMですね。
■The timeparadox was lost.
全てが手遅れな事態の曲と、公式では説明されています。
タイムパラドックスがなくなっているらしいです。
タイムパラドックスとは、過去にさかのぼってその時代の出来事を改変した結果、未来に起こるはずの無かったことが起こる……みたいな説明で良いんでしょうか。
これは盛大なネタバレになるので詳しいことは言えないのですが、weathersの登場人物のうちの誰かのテーマ曲です。
その人にとっては、とあるタイムパラドックスが生じている方が都合が良かったのですが……。
アコースティックな曲を作るはずがリリースカットピアノに脳を破壊されてしまいエレクトロ曲になりました。
ピアノは打楽器です。
珍しくA♭mのキーです。黒鍵の多いキーなので録音が大変でした。全部Amで録って最後に半音下げれば良かったですね。
主役を張っているシンセリードはIcy Synth Leadという名前です。
終の駅などでも活躍しています。かなり好きな音源なので多用しがちです。
中盤にコード進行を逆にすることで切迫した感じを出しています。
かっこいいよね。
何気にアコースティックギターがうっすら鳴っています。
電子音マシマシエレクトロ曲にアコギを入れるのは案外アリということをボカロ曲で学びました。
はるまきごはんさんありがとう。
リリースカットピアノ+通常のグランドピアノ音源という悪魔の合体技を使うことにより、奥行きが出たような気がします。気がするだけでしょうか。
ずっと昔から信号音みたいな無機質な電子音を作りたくて、でもうまく行っていなかったんですが、cheap oruganという音源のカットオフ数値を40ぐらいにすることで近似できました。
なので、前からやりたかったギミックつきの曲にできました。トントントン ツーツーツー トントントン。
アウトロのうっすら聴こえるリバーブマシマシの電子音メロディ、すごく気に入っています。
終わり方をどうするかまたもや悩んでいたんですが、イントロに還りつつ違う要素も入れたいなと言う希望を叶えられたんじゃないかなと思います。
■Dream of falling
東方アレンジの曲です。
原曲のタイトルは『無間の鐘 ~Infinite Nightmare~』。
東方はそれなりに死に覚えゲーなのですが、中でもこの曲が使われているのは『ダブルスポイラー ~東方文花帖~』、番外編的なゲームです。
いつもの整数作品とは少し違い、ボムも無く被弾したときの残機消費での進行もなく、クリアできるまで何回も何回も同じステージを続けなければならないタイプのゲームです。
そして、この曲は高難易度のステージの曲です。無間地獄です。もうおわかりですね。
ちなみに私は全然できていません。難しすぎる。こいしが強すぎる。
この曲、『未知の花 魅知の旅』というタイトルのCD作品にも収録されています。ラスサビに入ってくる別のラインは、そのCD収録版のアレンジから引っ張ってきています。
出来上がったものを改めて聴いてみると、スピーディで爽快感のある曲になってびっくりしました。
作りたいように作った結果、こうなるんだなと……。
なんかこの曲のギターは夢の中にいるような浮遊感があって良いなと思います。
あと1番と2番をただの反復で終わらせない委員会に所属しているのですが、2Aメロの裏のカーンカーンカーンって鳴ってるギターめっちゃいいですね……(自画自賛)。
それから東方と言えば欠かせない発狂ピアノ。
今回はソロの後に持ってきました。キメのフレーズに「いつもの」やつをいれられて満足です。
終わり方も珍しく流動的というか、テンポフリーに録ってみました。
あとニコ動に上げるの緊張したけどコメント貰えてうれしかった〇
■un-aquarium
長くなるぞー!
なぜなら自作曲の中で一番好きな曲なので。
サムネは自分で撮ったものをちょいちょいっと加工したやつです。
大分マリーンパレス水族館で撮りました。加工の都合上すごく暗く見えますが、現地はとても明るく良い水族館です。
外のプールというか水槽がとても充実しています。
待望の変拍子曲です。
ガレージバンドipad版は単一拍子の曲のみ作ることができます。
なので拍子が同じ大きなかたまり三つを別のプロジェクトで作ってから曲として一旦出力し、さらに新しく一つのプロジェクトを立ち上げ、そこで溶接することで今回のような変拍子を作ることにしました。
クリアな音から始まるのですが、あのグロッケン以外は意外と曇った音が多いです。
もとの音源が明るすぎて合わなくてもなんか良い感じになる。エフェクト大事。本当に。
グロッケンチェレスタビブラフォンと、鉄琴勢ぞろい感があるのにかわいいというよりはミステリアスな感じになっていれば良いんだけど……。
6/8に入った瞬間のギターフレーズ良いですよね。
そのあとに入ってくるベースの動きも良いですよね。わかる(誰?)
この曲全体的にベースが全然大人しくないんですよ。ずっと動いてる。
低音がずっと動き回ってるとなんか不穏な感じが演出できるかなと思いました。
私は鍵盤で弾いているからいいけど、このテンポであの速度ってできるのかな……。
そしてツインドラムです! ツインドラム!
そうなんですこの曲、6/8になってから以降ずっとツインドラムなんです。
左右にパン振ってあります。ドラムセット自体も違うものを選択してあります。これがやりたかった。
ライブで聴きた過ぎるでしょこの曲……。
4/4時は停滞する水底をさらっているような感じですが、6/8になったとたんこの推進力。
自分はかなりセクションを8小節だったり16だったりとかちっとわけがちで、同じ曲なのに分断されているようなところが出来たりもするんですが、ここはかなり音のリレーをしてそういう違和感が少なくできている気がする。
4/4に戻ったあとを消化試合には絶対したくなかったんですよね。
むしろこここそ違和感というか「あれ、なんかおかしくないか?」という雰囲気を出したかった。
だから6/8に移るときはすっと滑らかに移っていると思うのですが、4/4に戻るときは明らかにおかしい。
がくん、と何かに引っ張られるような、そんな感じを目指しました。後ろに何かいなかったか?
評判良かったのですが、landscapeのStratsphereというシンセ? パッド? の音色が水中っぽい感じで、あれによってサブノーティカ感というか、海の表面ではなく、海の中、底の感じが出て良かったと思います。
あれを足すことにより、最初の4/4のときのイントロとほぼ同じ入りなのに何か不穏な感じが演出できているはず。
ここから先は好きすぎてもうだめです。自分を無限に褒めていく回になってしまうからやめる。
機会があったら一部のセクションだけ抜き取ってリピートしてドラム、ベースからスタートし全部の音が鳴るまで繰り返し聴いてもらうみたいなこともやりたいな……。
この曲は本当に、全てのパートがきちんと独立しているにもかかわらず効果的に音が鳴っている感じがあって、やりたかったことを過不足なく演出できていると思うから好きです。
あと水族館が好きです。
■Desert of rusty machines
架空のバンドだけでは飽き足らず架空のゲームまで考案し出した氷屋の明日はどっちだ。
しかもSTGぽくない気がします店長!
荒野の戦闘というコンセプトなので、普段は使わないような音を使えて楽しかったです。
メインを張っているサックスっぽいようなそうでないような音はシンセベースの音を調整したものを3オクターブぐらい上げて使っています。
Aメロはじめのメロディ裏のアコギといい、その次のワウギターのフレーズといい、今回かなりサブ的役割のギターをうまく使えた気がします。
みんな大好き(俺が大好きの間違いでは?)発狂ゾーンもあります。
いわゆる発狂ピアノとよばれるフレーズは高音域で素早く動き回るものが多い気がします。なので、今回は逆に低音で発狂させてみました。
ちなみに発狂ゾーンのギターと、その直前のみょんみょん言ってる音(クラヴィネットといいます)のフレーズは全く同じです。
ここでは意図してノイズを入れています。
サビはそれまでの細かいフレーズから一転して伸びやかできらきらしたベルを使っています。
廃棄世界5面ボスは見捨てられた機械たちの神様であり、かつて滅びた文明で人間によって開発された高性能AIです。サビ前までは暴走の面を表現していましたが、サビでは廃棄されたことを理解しつつもまだ希望を持っている彼女の淡い光を見せたいと思って作っていました。
後半、どんどん音が重なっていくのは、吹き荒れる砂漠の風で何もかもが見えなくなっていく様子、重なる年月に本来彼女が持って生まれた役割がさび付いていく様、本来守りたかったはずの人と戦っているということへの混乱、などなどを表したかったのですが、あの、すみません。これは架空のゲームの話です。喋り過ぎました。
伴奏抜いて合計四旋律ぐらいあると思いますが、不協和音もなく気に入っています。裏のサックスがわざとらしく半音使って上がるところが好き。
ゲーム音楽なのでループが入ります。ドラムに頑張ってもらいました。
■背水桜樂
曲のもととなるフレーズはかなり前から自分の中にありました。
桜モチーフの戦闘曲というのをずっと作りたくて寝かせていたのですが、その前にrusty~が出来て銃機シリーズの骨格が生まれ、ラスボス戦に合うなと気づいたので制作に着手したという流れです。
ただ、1サビ終わりまではスムーズに進んだのですが、その後の展開をどうするかでかなり迷い、桜の咲く時期に投稿しようと思っていたのがどんどん遅れていきました。
もっと曲の中にシリアスなフレーズを足したいと思っていたのですが、もともとメロディアスというか、歌向きっぽいフレーズが多かったので、塩梅が難しかったんですよね。
結局、投稿した通り、怒涛の琴とピアノのフレーズで雪崩れ込んだあとに、ガッと低音のリズム隊で落ち着かせることで緩急を出し、サビのフレーズに回帰してさらに後半のフレーズを改変して上昇させ最後のパートは華やかかつ緊迫感のあるセクションにする、という盛りだくさんな曲になりました。
力はそこまでないが奮戦を要求される訳ありラスボスっぽくて気に入ってます(つまり個人的には桜花の設定によくあっているなと思っているということです)。
和風ロックと言っておきながら和風成分は琴しかないのですが、それはgaragebandに和風の音が琴しか実装されていないためです(パーカッションはあったと思うけど、この曲のリズムはドラムで通そうと思っていたので)。
そしてこの琴がなかなか難しく……。発声というか発音があまり素直ではないので、その調整が難しかったです。
歪みのある電子音と合わせて音の圧を増幅させたり、ピアノと合わせて発音をよりはっきりさせたりしています。
素直に琴だけが鳴っているパートは、実はアウトロのアルペジオだけです。
けっこう明確に盛り上がりクライマックスがありそして綺麗に終わるので、実際にゲームやってるときはどういうふうにループやるのかわかりませんが、まあ雰囲気ということでご容赦ください。
■新曲
一応作ってます。なんかもう6分半すでにあるのにまだ作ろうとしている人がいるらしいです。怖いです。
フレーズって、出てくるときはあっさり出てくるのに出てこないときは全然なんですよねー。
でも今のところ良い感じです。きっとね。新幹線で聴いてみたときも良かったと思います(車窓を眺めながら音楽を聴いている時間が一番贅沢だと思います)。
信じられないぐらい暑いので皆さんお気をつけて。
俺は実家で梅シロップを貰ってきたので8月は冷やした水でそれを割ってしのぎます。おいしいです。