箇条書きにも欠点がある
主題
スライドに箇条書きというスタイルは、情報量や文脈が減りすぎるから用途を絞るべき
特に分析や調査結果を他の人に伝える場合は、スライドではなくレポート形式にしよう
前提として階層アウトライン(=箇条書き)は優秀
考えをまとめるのに適しているし、情報を文章に比べて圧縮できる
ただこれは最後に人に見せるには文章としての清書が必要
清書にスライドを用いると情報量がとてつもなく減る
スライドは万能に使用されがちだが、実際には限定的な目的にしか使用できない
スライドが向いている場合
感情的なイメージやビジュアルデザインで聴衆を巻き込む
読む人がもともとあまり興味がないものの、スライドにより趣旨を伝えたい人だと想定
何かを売ることが目的で、自分の明確なメッセージがあり、相手にもわかったような気にさせ、その場で購買を促したい、そういったマーケティング的なイベントなどで使うためには適している
スライドが向いていない場合
分析や調査結果を他の人に伝える、共有する
読む人が真剣な人だと想定
文章、数字、チャート、内容を説明するために必要な最低限のイメージが入ったレポートを作り、それを紙に印刷し聴衆に前もって配るのがいい
箇条書きができること
単純な内容にするのを助けてくれる(これは箇条書きが持つ性質によるもの)
箇条書きが持つ性質
順序性
重要性
メンバ性(箇条書き内には関連性がある)
箇条書きリストが持つ制約
一度に1つの関係しか伝えることができない
リストされているもの同士の関連性について何も語ることができない
それを省けるから単純化され、情報量が減ってもわかりやすく感じるともいえる
因果的な関係の前提や背景、合理性や根拠をもたらす分析過程を隠してしまう
箇条書きリストはそのリストにない相互作用について触れることができない
詳細な相互作用が表現できない例
マーケットに出す新製品を増やすと、開発コストが上がる
しかしそのためのお金はどこから出てくるのか?
これは利益が伸びることとどうつながるのか?
マーケットに出す新製品を増やすことが利益の増加、そしてマーケットシェアの伸びの2つを同時に満たす根拠は何か?
もしかしたらどこからか湧き出てきた急な利益の増加が、マーケットシェアを伸ばすための広告費と、新製品開発のコストを出してくれるということなのかもしれない。であれば、その前提は何か?
本来であれば、誰が、どうやって、いつ、どこで、そうした目標を実現するのか、といったことが書いてあるべき。
具体的な方法とプロセスについて説明する必要があるから
そのためには、数単語で作られる箇条書きではなく、少なくとも数行にわたる文章が必要となる。
参考文献