第4回:木内俊克、砂山太一
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「瀬戸内国際芸術祭2022」に際して「小豆島ハウスプロジェクト」を計画中の木内俊克さんと砂山太一さんにお話しいただきました。
木内さんと砂山さんは「SUNAKI」として、ご自身でデザインや設計を行うほか、アーティストや大学研究機関と連携したプロジェクトのマネジメントやデジタル技術を用いたオペレーションまで、多岐にわたる活動をされています。両氏が参加した第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館展示(2021)は、日本の木造住宅を解体してヴェネチアで再構築するまでのプロセスを展示するというユニークな形式の展覧会として世界的に注目を集めました。
今回の「小豆島ハウスプロジェクト」は、新建築社が企画・運営するスタジオ/ギャラリー/レジデンスを備えた施設で、国内外の建築家・研究者による滞在制作や展示などが行われる予定です。木内さんと砂山さんは小豆島・坂手のリサーチや企画立案から、設計・制作、オープン後の運営に至るまで関わっています。ビエンナーレ国際建築展で得た知見を活かし、既存建物から出た廃材を利活用した設計・制作を行っていると言います。また、フードトラックや屋台の研究を行う建築家の中村航さんと協働し、都市と食の関係をリサーチする企画も計画中です。そのほか、Andrew Kovacsらアメリカの若手建築家との国際ワークショップ・展示なども構想されています。
小豆島ハウスをつくるプロセスのなかで既存建物から出た廃材の利活用やアーカイブを行うということに対して、会場から「どこに重きをおいて廃材の利活用やアーカイブを行うのか」という質問があり、木内さんは「廃材やそれを利活用したデザイン(行為)のアーカイブが、それを参照した建築家やデザイナーの創作につながっていくような運動あるいは文化のようなものをつくりたい」と言います。砂山さんは「流通や産業の問題とも接続して、廃材が循環していくような流れをつくりたい」と言います。また、「小豆島でリサーチをされたということで、地元の人たちの溜まり場ができる理由を知りたい」という質問があり、瀬戸内の島々にある溜まり場には都市のパブリックスペースとは異なる性質があるのではないかという話になりました。
このプロジェクトはまだ始まったばかりですが、施設の完成やオープン後の展示など、今後の展開がとても楽しみです。
(文責:江尻)