自然
想定されるのは、 肉食など動物に苦痛をもたらす行為を慎む私たち人間が、 自然に不可逆の介入や、絶え間ない介入を繰り返すことで、 自然界における苦痛をも削減しようとする未来像である。 このような未来において、 私たちと自然との 「結びつきがより強くなっている」ことは疑いようがない。 しかし、このような状況を
肉食
という習慣を認めている現在と同等か、もしくはそれ以上に 「自然」 だと見なすのであれば、「人間および人間の手並みの明らかにうかがえるものを除いた全てのものを含む」 (21) ものという従来の自然概念は、根本的に再定義される必要があるだろう。
現代思想2022年6月号 特集=肉食主義を考える——ヴィーガニズム・培養肉・動物の権利…人間-動物関係を再考する
「普通」で「自然」 な人間と動物の関係とは?
熊坂元大
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