自分を被害者だと思うと上手くいかない
患者が自分を語る時に自分を被害者として語ることが多く、 起こってしまった悪い結果に対してほとんど責任がないというような話し方をするならば、 その人の健康状態はあまりよくないことが多く、 その先もうまくいかないことが多い。 彼ら彼女らは人を責めるのに忙しく、 自分を回復させることに本腰を入れて取り組むことができない。 対照的に、 自分の責任を明確にしながら物語を始める場合、 症状がよくなっていくことが多い。ドーパミン中毒 アンナ・レンブケ・190ページ しかしもし、セラピストが患者に自分の責任 (起こった出来事自体に責任がなくとも、その出来事にどのように「今ここ」で反応するかという責任はある)を取れるように手助けできるなら、患者は自分の人生を前向きに進める力を得る。 この点に関して、私は AAの理念や教えに深い感銘を受けてきた。 AAのずば抜けて優れた標語の一つは、よくパンフレットに太字で印刷されている「私には責任がある」 である。「責任」に加えて、 AAはその理念の中心に 「徹底した正直さ」を置いていて、この二つを一緒にやっていく。ドーパミン中毒 アンナ・レンブケ• 191ページ 徹底的な正直さ─大きなことでも小さなことでも真実を言う、 特に自分の悪癖が顕わとなり、 深刻な結果を伴う時にこそ真実を言うことは依存症から回復するためだけではなく、 この報酬の溢れる生態系の中でどうやってバランスを保って生きていけばいいか探っている全ての人たちに不可欠のものだ。 これはさまざまなレベルで作用する。 まず、徹底的な正直さは自分の行為についての自覚を促す。 第二に、 親密な人間関係を育む。第三に、正直な自分の物語ができるので、今現在の自分にだけではなく、未来の自分にも説明責任が果たせるようになる。最後に、真実を語ることは伝染するため、 将来の自分や別の誰かが依存症を発症するのを防ぐことにもなり得る。ドーパミン中毒 アンナ・レンブケ 180ページ 真実を語ることが人間同士の愛着を作る一方で、高ドーパミン製品の衝動的な過剰摂取は愛着とは正反対のものをもたらすことになる。 孤立や無関心に導くのだ。 なぜなら、 ドラッグが他者との関係性の中にいることで得られる報酬の代わりになってしまうからだ。ドーパミン中毒 アンナ・レンブケ 188ページ 自由に行動できるラットは本能的に、 閉じ込められた別のラットを解放しようとすることが実験でわかっている。しかし、その自由なラットをヘロインの自己投与ができるようにすると、 囚われたラットを助け出すことに興味を持たなくなってしまう。 オピオイドのモヤに囚われて、 同種の仲間を気にかけることができなくなってしまうのだ。ドーパミン中毒 アンナ・レンブケ 188ページ