男はつらいよ
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寅次郎が戻ってきたことによって、見合いが破断になり、博とさくらがくっつくんですよね。いないといい人。いると悪いことばかりしてしまう人。でも、その結果がいいことばかりに結びつく、そんな星の下に生まれた人ってことなんですよ。 memo
これは「男」関係ないけど、こういう人っていて。自分がトキシックだとしたら、それでも自分はどう生きていくかという。
こういうテーマ系に対して感性がない人は、そもそももとから「トキシックであること」が自分の人生で関係ないように生まれ
てきている人なんですよね。
なんかたまたま幸運にも自分がトキシックではないって人が、「この人、有害ですね」とだけ言って切り離しちゃうのもどうなんだ?って思うんだけど、他方で、ただ寅さんいい人だよね!とか、一体何を見てるんだ?ってなる。
あと、これ、シリーズで見ると、寅さんってマドンナと両思いになることってあるんですかね。もちろんセックスまではいかないんですよね、おそらく。49人とも恋するけど、そのほとんどと結ばれない、誰一人ともセックスしてないって一体どういうやつなんだ?とか興味はつきません。
「いないといい人」で「こいつがいることで(まわりが)つらい人」なんですよね。そのことは実は寅次郎は自分でわかってる。でも、生きてかなくちゃいけないし、どこかにはいなくちゃいけないんですよ。
それ以外は「自殺する」しか答えなくなりますからね。
なので「フーテン」やってる。それしかない。
「いないといい人」、「ここにいない」ということは、「今、どこかにて、まわりをつらくさせている人」なんですよね。
だから定住しない。「いないといい人」はできるだけ「いる」ことによる有害性を分散させるしかないし、分散させてるんですよね。
そういう意味で「いい人」なんですよ。
昨今、みんな簡単に「自分の機嫌くらい自分でとれ」とか「迷惑な人ってほんと迷惑!」って非難するけど、そういうのも言ってみれば「ガチャ」ですからね。寅酸くらいの人間って、「本人の努力のせいで性格が曲がってしまいました」ではなく、気づいたらカッとなって、唯一の気がかりだという妹ですら殴ってしまう、もう、そういう人間なわけで。
その不可避の有害さとどう付き合うか、付き合うの辛いよ、ってテーマ系だと思ってる。
「男はつらいよ」実は階層の物語なんですよね。
寅次郎は大学も出ていない。妹のさくらも、ろくな環境ではないので、教育の程度も高くないはず。それでもキーパンチャーして、部長の紹介で見合いをする。見合いで寅次郎がクソだの尿だの洒落を言って見合いはご破産に。寅次郎はマドンナ冬子とは付き合えない。なぜなら冬子は御膳様の娘だから。(階層が違う)博とさくらはつきあうが、博は高卒だが、実は実家は北海道の名誉教授の出。
寅次郎は学歴を内面化していて、「あいつは大学出のサラリーマンと結婚させるんだい、てめーらみてーな菜葉服の職工には高嶺の花だい」。そしたら、職工の博が「あんた大学出か。もし、仮にあんたに好きな人がいて、その人の兄さんが、お前は大学出じゃないから妹はやれないと言ったらあんたどうする?」という上のやり取りになる。→PならばQといっただけでPと主張したと思うやつ博のやり取りは「仮に」「もしも」などと仮定を用いた上での論理的な推論になっていて、階層的に高いコミュニケーションスタイル。寅次郎はその「仮に」が理解できない。 Twitterなんかにも「PならばQ。仮にPだとしよう」と言うと「冗談言うな、Pなんかじゃねえやい」って人はゴロゴロいるよね..... 階層間のコミュニケーションギャップ、ブレイクダウンを描いてる。
保守的な物語と思われがちですが、さくらは義両親に育てられてるのに、電子関係の仕事に進み、そこでキーパンチャーをしているとか、博に自分からアタックしていったりとか、見合いにしたがうのではなく、自分で「私、博さんと結婚する!」と言ったり、実は当時としてはかなり新しい、「今どきの」若い女性という描写だったと思うんですよね。
それが今の目線から見ると「結局、女のゴールは結婚しかないんかい」と文句は言えてしまうけれど、ここはむしろその範囲内で可能なかぎり前衛的にしている努力の痕跡が見えるなと思いました。
どうして柴又に返ってきた?
なぜか河原で口に草。
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ホールに入るゴルフボールをとって投げ返す、カップルの真横を達
いきなり帝釈天にあらわれて祭りのふるやつとりあげる
おじさん夫婦に挨拶。「かたいことはこのへんにして」と勝手に仕切る
さくらに会うためにちゃぶ台をまたぐ
さくらはキーパンチャーやってる設定(上手い。寅さんとえらい違い)
見合いに同行し、尿だ屎だ屁だいって破断に
さくらと自分は腹違いだと見合い先に言ってしまう。
親父が言うには自分は妾の子、酔ったときにつくった子だからお前は頭が悪いんだって。
くやしかったなあ
おじさん夫婦と大喧嘩。
「兄貴に向かってなんだその口の利き方は!」でさくら殴るまでめちゃ短い。
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「ここにきて仕事手伝えばいいのに」という叔父さんに対し「お兄ちゃんには真面目な暮らしは無理。自分でもわかってるのよ、きっと」とさくら
「そーっとしときゃなんとかなるかもしれないよ」「そーっとか。寅がいたら壊れるところだな」見事なフラグ。
「あいつは大学出のサラリーマンと結婚させるんだい、てめーらみてーな菜葉服の職工には高嶺の花だい」
「じゃあ、あなたに好きな人がいて、そのお兄さんが大学出じゃないと妹と付き合わせないといったらあんたどうする」「その人に兄さんが? 馬鹿野郎そんなわけあるかい、冗談言うな」仮に、って話が通じないバカ。
「兄さんは女に惚れたことあるんですか」これには絶対に答えがない不思議
あと、寅のせいで縁談がつぶれてひろしさんにチャンスが生まれるけど、寅のせいで 博さんとさくらの関係がこじれるが結婚までたどりつく
の父親、大学の名誉教授、北海道出身