恋愛の終焉
僕らは、仮想世界にログインして、仮想キャラの配信や生活している様子を見ることが生きがいになる。そんな美しくてドキドキする世界に比べたら、現実なんて「出来の悪いサブ世界」の1つにすぎません。整理すると、これから数年で日本人ユーチューバーの主流はアイドルや芸人になる。10年以内には言語の壁が崩れて、グローバルユーチューバーに日本人ユーチューバーは淘汰される。そして10年後、人間ユーチューバーは、AIユーチューバーに淘汰されるーー。ユーチューバーが消滅する未来p.59 でも、僕はテクノロジーが進化してオタク向けの娯楽が充実してくる、と主張したいわけではありません。本当にごくごく一部の人間を除き、僕らは全員多かれ少なかれバーチャルで恋愛することになるんです。そう考えるようになったきっかけは、非モテ相談オフ会をやったことです。彼氏/彼女が欲しいという人がいたら、性別年齢を問わず無料で相談に乗るというイベントを何回か開いてみました。最初のうちは、「まあまあ。とりあえずこのオフ会にいる隣の人と即席のカップルになって、その辺を30分くらい散歩してきなよ」なんてアドバイスしていたんですが、100人以上の相談に乗っていると大まかな傾向が見えてきます。「女の子に興味がないわけじゃない」とか「中学生の頃に片思いした相手が忘れられない」とか、いろんなパターンの人がいましたが、まとめてみると8割くらいの人は「すごく魅力的な相手だったら本気で好きになれるけど、それほど魅力的と思えない相手と付き合うのはお金や時間の無駄」ということを語っていたんです。彼氏/彼女は欲しいけど、恋愛は「コスパが悪い」んです。 ユーチューバーが消滅する未来p.92 これは煎じ詰めれば「リアルな恋愛は、ダサくて、不便で、不経済」ということ。こんなにダメな要素が揃っているのだから、必要性は低くなるというものです。冒頭、非モテ相談オフ会で「すごく魅力的な相手だったら本気で好きになれるけど、そうでなければ付き合いたくない」という人が多いことを紹介しましたが、彼らはとても合理的な判断を行っているとい言えます。だけど、恋愛感情自体は、みんな肯定したい、持っていたいーー。だけど、リアルな恋愛は、ダサくて、不便で、不経済ーー。要するに、リアルからの逃避と洒落化が必要になっているというのが、現在の恋愛事情なのです。ユーチューバーが消滅する未来p.98 疑い深い私は“恋愛”みたいな感情が、社会とか、そういう大きなものによって仕組まれたものなんじゃないか……? とだんだん思うようになってきて、これまでの自分がしていたことが本当にしたくてやったことなのか、みんながやっているからしていたことなのかまったく自信が持てなくなった。恋愛関係なしで、パートナーシップを築く実験 「恋愛をしないで、パートナーシップを築く」ということが、きっと自分たちにとっていいことだという感覚はあるが、ではそれが何を指すか、結局わからないまま。恋愛、結婚、家族、友だち、どれも当てはまらない、呼びようがないということは、相手に踏み込まない理由になった。恋愛関係なしで、パートナーシップを築く実験