嘘を書くな
ストーリーテリングにおける誠実さは、 文体上の多くの欠陥を補って余りある。 セオドア・ドライサーやアイン・ランドのような悪文家がそのいい例である。 けれども、嘘は修復不可能な欠陥だ。 嘘つきが世にはばかるのはたしかだが、それはあくまで一般論であり、 血のにじむような一語一語の積み重ねから成る文章づくりの現場には当てはまらない。 自分が知っていることに対して嘘をつき、そのことを自分で感じはじめたら、 その時点で何もかもが崩壊する。書くことについて ~ON WRITING~ スティーヴン・キング p.185