作りたい女と食べたい女
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すごいマンガだったな。何がすごいって登場人物。表紙の二人以外に、マジで人が出てこない。
いや、もちろん他にも何人かモブが出てくるんだけど、そのモブは「主人公らに嫌なことを言ってくる社会」を意味するための記号でしかなく、名前どころか、文字通り顔すら描かない徹底したモブっぷり。唯一顔出てたのが、からあげ定食出す定食屋のじいさんばあさん夫婦。それ以外はこの2人だけで完結する世界がずっと展開される。
言うほど「つくって」ないし、言うほど「食べて」ない。出てくるごはんも、そこまで目をひくものはないし、正直そこまで「おいしそう」にも見えない(昨今の食事系マンガ、おいしそう!!レベルがめっちゃ高いので)。キャラクターも特に「つくりたい女」のほうが弱い(のだが、2巻くらいでどんどんいい感じに展開していく)。
それでもこの「世界」は愛おしく心地いい。「つくる」も「食べる」もきっかけに過ぎない。春日さん(食べたいのほう)の、決して感情をわかりやすく見せるタイプではないのだけど、相手を自分とは別の人格と認めた上での尊重は「そうそう、こう言ってもらいたいんだよ!」という感じだし、生理時の「あるある」表現とか、好きなことをしているだけで「男社会における有用性」に回収されてくウンザリとか、女性にとっては首もげ同意ポイントだらけなんだろう。
続刊でたら買うと思うけど、そんなに「食事」にフォーカスしなくていいかな。もうずっと二人の関係の進展だけをまったり見ていたい。