ビートルジュースビートルジュース
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ティム・バートンらしさ全開。というのはゴチャゴチャしてる話の割になぜか統一感がある、意味不明なリアリティレベルなのに違和感なく世界観受け入れてしまう、しょーもないダジャレやギャグセンスが多いとこあたりを「そう感じる」。
たとえば死者が乗っていくという「ソウルトレイン」では、死者たちがご機嫌なソウルミュージックに合わせてノリノリのダンスをしている。こういう「くっだらねー」ダジャレのセンスって、日本だと真空ジェシカに似てるんかなと。「バーチャルしゅうまいです」「仮想中華?」みたいな。ただの言葉遊びなんだけど、イメージで見るとよりおもしろくなるっていうかね。
「ビートルジュース」ってタイトルも、ぼくはビートルズの「ビートル」に飲み物の「ジュース」って意味かと思ったんだけど、作中見ていたら「BETELGEUSE」と書いてある。ベテルギウス。つまりオリオン座の星の名前になってる「アレ」のことじゃん。
もち.icon語源ざっくりまとめ: 元の言葉はアラビア語で "Yad al-Jawzā’"(ヤド・アル=ジャウザー) 意味は 「ジャウザー(オリオン)の手」 これが長い時間の中で、写本ミスとか翻訳ミスが重なっていって…ラテン語に写されたときに "Y" を "B" と間違えて書いちゃった人がいて、それが変なままヨーロッパに伝わって、最終的に "Betelgeuse" になった、ってわけ。 つまり、「オリオンの手」→(ミスで)「ベテルギウス」 っていう、けっこう雑な経緯で今の名前になっちゃったって話。ちなみに、似たパターンで名前が変わっちゃった星って他にもあるんよ。写本ミスとか誤解から生まれた名前、案外多い。
なるほど.....。
あと、ティム・バートン、ヘンテコ、サブカル、オルタナな感じ出してるけど人気なのが、結局この映画、別れた家族が一斉につどう、憎み合っていた親子の氷が溶ける、そういう話だから。離婚した、そしてその後死亡した父親と、母親(ウィノーナ・ライダー)、娘とが、あの世でギュ。おばあちゃんとおじいちゃんもあの世で出会うし、要は「死んでも家族だかんね」「離婚しても親子だからね」になってて。家族規範強いけど離婚率も高いアメリカで、めちゃくちゃ共感しやすいつくりになってる。マジョリティ、メインストリームの価値観にめっちゃ迎合してるんだよね。
他方で、そうやって迎合した上で、それを茶化すシーン(ラストの大オチとか)を入れたり、殺人鬼の少年の幽霊と、殺されたその少年の両親が、死後も仲良くゴーストハウスで「暮らして」いたりといった「ツッコミ」を入れてる。だから「人気なんだけどオルタナっぽさがどこまでも残る」って作風になってる。
でも、サブカルっぽいのに、これまたメインストリームの人が好きそうな際どいジョークもたっぷり入れてくる。「外国人はこれだから嫌だ」と平気で口にするあの世の掃除夫や、主人公アストリッド(ジェナ・オルテガ)が環境活動家なんだけど、それに対しておばあちゃんが「遺産は全部放棄ね。環境保護で稼げばいいわ」などと言ったりする。こういうところがいかにもアメリカ的。
女三代全員ぶっとびキャラって設定もなあ。おばあちゃん=アーティスト。なんでもアートにしてしまう。お母さん=スピ番組のホスト。霊能力があることになってるけど、ヤク中。娘=ブラジルの雨林を守るんだって突然家を出ていきピラニアに喰われて死んだ父親と同じく、環境活動に熱心。「目に見えるものしか信じない」って言うけれど、母親ゆずりの霊感があるのか、霊が見えてしまうっていう。