ディスコミュニケーションに関するディスコミュニケーション
「私とあなたとではたぶん、前提が共有できていないだけだと思う。 あなたにとっては本当の対義語が嘘で、夢の対義語が現実なんでしょ。 フィクションの反対はノンフィクションで、 良いの反対は悪い? あのね、 私のために苦手な日本語を喋ってくれているところ申し訳ないんだけれど、でも私の脳の言語野ではそんなにきれいに言葉の意味って分けられていないのよ。 だから、 『でしかない』 とか 『明らかに』 とか言われても、全然ぴんと来ないの。それこそがあなたに言わせれば 『おかしい』 ってことなんでしょうけれど、でもそれはそういうものとして、もうしかたないじゃない? だって私は 『空っぽ』 で、 あなたみたいに英才教育なんて受けてこなかったんだし......そうだ、 ベーコンエッグ」Schoolgirl 九段理江 67ページ