ダイ・ハード
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アクション映画の名作ということで今更見たのだけど、退屈だったなあ......。途中までドラマらしいドラマが起きない。こちらも体調的に集中力切れてたせいもあるけれど、ずっと上の空、途中何度も止めての視聴だった。
ただ、おもしろいのは敵がテロリストではなく、単なる強盗ってこと。金庫の中の有価証券を盗みに来ただけ。ところがこれを味方であるはずのFBI側がテロリストと誤解して(そうなるように強盗団のほうが仕向けた)対応したため、ブルース・ウィリスがどんどん追い詰められ、敵の窃盗は(途中まで)上手くいってしまうっていう。最大の敵は味方だっていう.....。 ウィリスもウィリスで、警官なのにもかかわらず、あまり人質の解放や囚われた社長の命を助けるといった方向には向かわず、ただただ妻ホリーの安否を気にかけるという設定で、だから、人質全員がいる屋上にいってもジョン・マクレーン(ウィリスの役名)は「ミス・ジェネロは?」「ホリー・ジェネロはどこだ?!」と叫ぶ。カネが欲しい敵の強盗団VS妻を助けたい現役警官というサッパリした対立関係になっている。小難しいこと一切なし。
じゃあ、どこでドラマを作っているかということなんだけど、一番のドラマは「妻の独立を応援することができない夫と、そんな夫が許せない妻」っていう対立軸で、というのも、妻のホリーはマクレーンではなく「ジェネロ」という旧姓を名乗ってるんだよね。なぜマクレーンを名乗らない!と怒るジョンに対し「ここは日本企業だから既婚の女性は立場が悪くて.....」。日本企業のイメージがクッソ悪い映画になってる。
というか、襲われるビル、会社もナカトミ・コーポレーションって言って、要は日本人が創業者。そいつがそもそも有価証券をがっちり溜め込んでいたのが悪いんだけど、それを奪いにきてるって設定だから、映画を見てる当時のアメリカ人はこれまたなーんも悩まずに見れる。「カネばかりを追いかける日本人が国際的な元テロリストの強盗にカネも命もふんだくられる」ってだけだから。
それに対してアメリカ人が大事にするのは家族。ラストはマクレーンが、「相棒」のアル・パウエルに「妻のホリー・ジェネロだ」と旧姓で紹介すると、ホリーのほうは「ホリー・マクレーンです」とジョンのファミリーネームを名乗ることで対立は解消される。妻=既婚女性の独立を許さなかった自分はやってることは日本企業の偏見と同じ。そのことに気づいて、男は女の独立を応援する。女は男の家族であることを認めるっていう。まあ、今の時代だとここでグッと来るのは難しくて、鼻じらむのは否めない。
もう一つのドラマは、アル・パウエルが昔、間違えて13歳を射殺してしまったというトラウマ。だが、最後死に物狂いで襲いかかってくるカールに向けてアルは躊躇わず発砲。トラウマを克服できたという話だが、ここは緻密な描写はほとんどなされず、まあサスペンスのつけたし程度のノリですね。カール、直前に金属のチェーンで長時間に渡り吊るされて死亡してたはずなのに、生き返って襲いかかってくるとか、リアリティも皆無だし。
ダイハード=なかなか死なないというタイトル通り、マクレーンはなかなか死なない。屋上爆破とヘリコプターからのライフルと同時に襲われたりオーバーキルもこの映画のテーマだったりする。シリーズどうしようかな。観るのちょっときついな。