コンビニ人間
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イントロ、小説、文字なのに「音」の羅列から入る、それもコンビニの、本来であれば騒音であるはずの音の継起から入るところで、モダンなワールドマシーンに組み込まれた「それでも漕ぐのは人間。人間漕がなきゃ進まない」という、これは完全にクラフトワークでにんまりしながら読み進めたのだけれど、語り手の「私は普通じゃない」という語りが、普通の人に向けた辛辣な批評が、「いや、お前めっちゃ普通やん!」「っていうか、普通ってどういうことか、完全に理解した上で、普通の人、自分のことを普通じゃないと思ってる普通の人が喜ぶ味付け知った上で、めっちゃ的確に言い返しとるやん」となった。 それはそれで「いい」のだけれど、語り手のへんこエピソード紹介とか、うるさいよと。でも、このテーマで語れることはきちんとすべて、語れていて、そういう意味で大変クオリティが高いし、極上のエンターテイメントにもなっているので最後まで楽しく読めた。この人、小説もいいのかもしれないが、綿矢りさのムックへの寄稿も読んだが、エッセイうまそう。「変」というより、たいへん素晴らしい皮肉な観察眼を持っていて、それをスパっと、一番グサッとくる感じで出してしまうのが上手い。マンスプ男性逆上力がかなり高そうだ。(誉め言葉)。