カルテット
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巻さんの夫。からあげに何も聞かずにレモンかけられることがイヤなのに、「結婚したら巻真紀になっちゃうけど」って、男性に姓合わせることを前提にしていて、そこには作中一切つっこみはないんですよね。わざとやってる。ものすごくいやらしい。
『カルテット』。巻さんの夫には瑕疵がない。作中、若い女の子と仲良くなって一緒に飲みにいく、その子の飼ってる猫が死んじゃって「助けて」とLINEが来た時も「ぼくじゃ助けられません」と返信してる。坂元脚本では小動物の死は2人の恋愛関係への発展を暗示してるので(家森さんはそれで妻と出会って地獄の結婚生活を見た)、不倫できたはずなのにそれすらしてない。ところが、一つだけ作中では突っ込まれてない瑕疵があり、それが「結婚したら巻真紀になっちゃうけどいい?」と真紀さんに女が姓が変わるのが前提の質問をしてしまってる。これを除くと2人のすれ違いの最初は「唐揚げレモン」になり、真紀さんが悪いように見える。だけど、その前に巻さんの夫はこの国では見えないこと、気づかれないことにされてる「唐揚げにレモン」をかけてしまっているのだ。 夫との離婚回までは圧倒的に引き込まれてみていたのだけど、その後はなんつーか、反則。ラスト3回で突然「いや、それ、フリも伏線も何もない突然ですよね?」というミステリーぶちこんできて次の回で解決っていう。テレビだとこういうことしていいの?
すずめちゃんが別府さんを好きって言われても、好きエピソードがほとんど積み上がっておらず、しかも、すずめちゃんはまきさんやアリスちゃんとのレズビアン的な関係性ばかりがフォーカスされていて、案の定、まきさんがカルテットをさるとき、誰よりもまきさんに力強く言葉をかけるのはすずめちゃんなのでした。てか、このドラマ、本当に男は何もしてない。別府さんにいたっては、女をくどく以外はマジでやくたたず。
おもしろいのは、すずめちゃんとまきさんとの関係が、別府さんという男を財として奪い合う中で形成される、女性版の「ホモソーシャル」のような関係になっているところ。あれかな。この突然のミステリーぶっこみ、脚本としてフツーに見た場合は瑕疵だけど、でも、必ずカップルになって終われよみたいなのはくだらないよなっていう、そういうことなんでしょうね。