しょうがの味は熱い
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素晴らしい作品。綿矢りさ、嫌いだと思っていたけど、こうやって読むと、ハズレもあるものの、誠実に、真面目に、しっかりと内容のあるものを書き続けてる文壇のスター、というより王者なのだなと。
主人公・奈世と絃(ゆずる)の上手くいかない同棲を、奈世、絃、それぞれの一人称から交互に描く。またこの二人が本当に性格というか、ペースが合わない(笑)。片方が結婚を決意したときにはもう一方は「え?」。片方が結婚したら幸せになれると思う一方で、他方は幸せになってから結婚しようとする。 太宰治フリークという綿矢の、女生徒的文体も楽しめるし、いい感じ。 ここまで綿矢を読んできて思ったのだが、今の文壇では、むしろ綿矢のほうが、その日本語が過去の書き言葉からきているためか、よっぽど文学的なんだな。しばらく自分は綿矢りさを「真ん中」と認識して、「綿矢アンダー」「綿矢オーバー」「綿矢以上に綿矢」「綿矢以下の綿矢」のように評価していく感じになりそう。