SNS中毒
セッション中、私は彼女に講義に向かうとき、そうしたお気に入りを流すのではなく、浮かんでくるままに自分の思考を流すのがいいのではないかとウォーキングを勧めた。 彼女は信じられない、 とむしろ恐怖の表情を浮かべた。「なんでそんなことをしなきゃいけないんですか?」と口をぽかんと開けたまま私を見た。 「そうですね……………」私は思い切って言ってみた。 「自分自身に慣れるためです。 自分の感じていることを展開させるんですね。コントロールしたり逃げようとしたりしない方がいいかもしれない。 デバイスを使って気を紛らわそうとしていることこそが、 あなたのうつや不安を作っているかもしれないから。 四六時中、 自分自身を避けているのはとても疲れるんじゃないですか。 自分自身を別の方法で体験したら、 新しい考え方や感じ方ができるようになるかもしれない。そうすれば、 自分自身や他者や世界ともっとつながっている感覚が持てるのではないかと思うんです」 彼女は一瞬考えてみて言った。 「でもそれって、すっごく退屈なのでは」 「そうです。 それは正しいですね」。 私は言った。 「退屈は、ただつまらないだけじゃないですよね。 すごく怖いことでもあるかもしれない。退屈すると、 人生の意味や目的という大きな問題に直面することになりますから。 だけど退屈は、 新しい発見や発明をする機会にもなります。 新しい考えに必要なスペースを与えてくれるんです。 それがないと私たちはずっと周囲の刺激に反応し続けなくてはならなくなる。 自分自身が感じたことを、 味わうことができなくなってしまいますよね」ドーパミン中毒 アンナ・レンブケ 49ページ