SEASONS / 浜崎あゆみ
https://youtu.be/AuZSyBa6phU?si=ogSxxXZ0qZ0Zg0FM
なんだこれは。まずはピアノと太鼓で8小節の、特に何も起こらない前奏。そしてそのあと聞こえてくるのは、これもうほとんどRoxetteのFading Like a Flowerな8小節の前奏。かったるいギターのアルペジオとピアノが続き、テンション激下がりに費やされた合計16小節のあと、ようやくあゆが歌い始める。4分の曲で歌い出すまでなんと45秒。これ、こんなにダラダラ必要か?と思ったのだが、カラオケ需要からすると「アリ」」なのかもしれない。あゆになりきるまでに45秒。必要だろう。 歌い出しはいつもの通り、季節への言及から始まる。これから物語をすなる前に、まずは季節を提示する、季節に言及するのがあゆリリックの一つのスタイルみたいだ。
今年もひとつ季節が巡って
思い出はまた遠くなった
曖昧だった夢と現実の
境界線は濃くなった
それでもいつか君に話した
夢に嘘はひとつもなかった
La, lai
どうやらおそらくはスターになる、歌手になるという夢を歌い手は追いかけているらしい。自伝的な歌とも読める内容が続く。加齢や衰え、どんどん追い詰まっていく状況、破滅に向けて世の中が変化していく感覚も、あゆリリックの重要なポイントだ。
この部分、作曲、メロディの譜割りがいいのもあるけど、自然な日本語で、遠く「なった」、曖昧「だった」、濃く「なった」、君に「話した」、ひとつも「なかった」と韻を踏んでく歌詞はとてもいい。音楽的には4小節4小節4小節の繰り返しで「La, lai」のところでワープしてサビに入る。で、そのサビなのだが、
今日がとても楽しいと
明日もきっと楽しくて
そんな日々が続いてく
そう思っていたあの頃
これもあゆリリックの特徴なのだが、その後のハッピーじゃない今を描写するために過去のハッピーな描写をする。M / 浜崎あゆみでも「必ず別れる」という呪いを提示するため、ただそれだけのために、今日もどこかで出会ったはじまったばかりの恋人たちに触れていた。ここでも、楽しい、楽しい、そんな日々が続いていくと歌うのだが、最後に「そう思っていたあの頃」ということで、要するにこれだけ長く歌っといて言っているのは、「今はそうじゃない」なのだ。しかも体言止めで。 今日がとても悲しくて
明日もしも泣いていても
そんな日々もあったねと
笑える日が来るだろう
2番のサビでは、今度は「今」を描写するために「未来」に言及する。要するにあゆは過去と未来の否定として今を描く。そのいわんとしてることは、「今」は過渡期、ハッピーではない、ということだ。
幾度巡り巡りゆく
限りある季節の中に
僕らは今生きていて
そして何を見つけるだろう
最後はちょっとした哲学的な謎かけで終わるのもM / 浜崎あゆみのときとパターンは同じだ。季節で歌いだしたので季節で閉じる季節リプライズ方式で終了する。とまあ、この曲4分もあるのかーと思ってMVをyoutubeで見てみたら、youtubeのほうはしっかりと2分でカット。今の子の感覚からすると長いからね。それでもサビは2回歌う。それくらい、このサビ部分が大事なんだろう。