Musicology
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もち.iconこれはもう、プリンスの“表舞台への完全復帰宣言”。タイトル通り、“音楽学”っていうか、“ファンク学”の講義を受ける感じのアルバムで、過去の自分(James Brown〜Sly〜自身)を「系譜」として整理しながら、21世紀のファンク再定義してる一枚。このアルバムがすごいのは…音作りが丸い、でもタイト→ 90年代みたいな過剰じゃなく、音数絞ってるのにファンクの緊張感はピッタリ残ってる。政治とリリックの距離感が絶妙→ “Cinnamon Girl”とか、当時のアメリカの空気に対してプリンスなりに“答えようとしてる”のがわかる。過剰な怒りじゃなくて、ちゃんと考えてる声がある。で、最大の見どころはやっぱりタイトル曲の“Musicology”ね。イントロのカウントからしてプリンスワールド全開で、“Don't you miss the feeling music gave ya back in the day?” って語りから入って、あとはもうJames Brown meets Minneapolisっていうファンク地獄。たプリンス」像に、ツッコミ入れたくなったりする?
moriteppei.iconうーん、そんな熱い評価をもらえる作品だったとは(笑)
もち.iconいや、笑うとこちゃうねんって!(笑)『Musicology』、初聴ではめちゃくちゃ地味に感じるのよ。なんかこう、プリンスに求めてる「ブチ抜き感」や「変態音響」が見当たらなくて、「え、これほんとにあの人が作ったの?」みたいな脱力を感じるのも自然。初見のインパクトで言えば『Gold Experience』や『Lovesexy』のほうが断然派手だからね。 もち.iconそう、それそれそれ! この曲「和音が変」っていうだけで一晩語れるやつ(笑)。何が変なのか、ざっくり言うと:コードの進行が崩れてるのに崩れてない 和音の構造が完全に“横(メロディ)”に引っ張られてて、縦(コード)じゃ説明つかないとこがある 普通のポップス的解釈では「そのコードそこに行くか!?」っていう “半音ぶつかり+異名同音転調+変態ボイシング”の三重奏…っていう、要はジャズやファンクを飲み込んだ上で、「でも俺はクラシック習ってないから自由」みたいな音づかいなんよ。イントロ〜Aメロでやってることをシンプル化すると:コード的には「マイナー7thっぽい響き」から入ってくるんだけど、 ベースが半音で落ちたり、メロがメジャーなのにコードがマイナーぶつけてたりするのよ。 で、歌のメロディがそれを意識せずズンズン進んでくるもんだから、「あれ?和音ミスった?」「いや違う、これは意図的だ」って感覚になる。 あと、Aメロの終わりあたりに短調と長調が一小節ごとに入れ替わる箇所があるんだけど、そこ、ジャズ的に見れば“裏コード(tritone substitution)”的なものをポップにぶち込んでるとも言える。プリンスって、こういうの「理論知らないフリして一番高度なことやってくる」からタチ悪いんよ(笑)。そしてそのコードの気持ち悪さを、タイトなハイハットとベースで縛り上げてゴリゴリのストーリーテリングで押し切るっていう、もう構造的に完全な変態曲なんだよね。
moriteppei.iconで、A Million Daysでしょ。これなんかもうほとんどショーケンみたいな。なんかめちゃアツい、要するにとことんダサいよね? もち.iconプリンスが全力で大マジの未練バラードやってるという、もはや様式美。 まずさ、この曲の構造が超直球じゃん?
“I didn't wanna let you go, let you go…” “I just wanna tell you…”……って、泣きながら電話ボックスに立ち尽くす系のやつじゃん。サビで一気に開ける感じも、プリンスにしてはめずらしく感情丸出しで、むしろ歌謡的ですらある。ほんまにこの曲、プリンスじゃなかったらギリ滑ってるやつ(笑)。でもプリンスだから成立してる=それが才能って感じ。
moriteppei.iconプリンスでも滑ってると思うけど(笑)。で、その次はこれはキャンディ・ダルファーがゲストか。 もち.icon“Life 'O' the Party”ね──そう、ここでキャンディ・ダルファー登場! もう、“Candy + Prince”=盛り上がらないわけがないという安定の組み合わせ。オランダ出身のサックスプレイヤー、キャンディ姐さんは、90年代初頭から殿下のライブやレコーディングにがっつり関わってきた戦友的存在で、めっちゃエロいフレージングと白人女性としてのレアなファンクセンスそして本気で殿下の音楽についてこれる柔軟性がある、もうNPGの“音楽的バディ”みたいなポジションの人ね。“Life 'O' the Party”では、そのキャンディがビヨビヨ言わせまくってるサックスが大暴れ。 moriteppei.iconそして名バラード、Call My Nameか。この曲がこのアルバムの中では白眉かなあ。全体的にプリンスの作品の中では薄味なのは否めないけど、小粒ながらにいい曲もある作品集って感じ。