karesansui
リソグラフ / 紙 (アラベール)
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石が羨ましい。
研究の対象はじぶん。
1
お風呂に入る。お湯に浸かり、暖かくなった手で顔を覆う。ぬるい空気を吸って、吐く。呼吸して、落ち着いて、神聖な気持ちになる。相手の気持ちを考えなくていい時間。しがらみを手放す感覚。気持ちが宇宙を漂うイメージ。静かな世界でただぼーっとしている。そしてわたしは枯山水を思い出した。縁側から並んだ石たちをぼーっと眺める。その情景を頭に浮かべる。吸って吐くだけの 呼吸に向き合うと、頭がシンプルになる。気づいていなかった心臓の音やつま先、身体の隅々に意識がゆく。
2
石は何も語らない。 無機質でただ在るだけ。有機的な花や蝶と違い、広告的でない姿が嘘のない素直な姿に見える。
有機的な生命に反して素直な石。
そこで、じぶんと向き合う時間の対象に石を描くことが当てはまった。
3
昔のじぶんを振り返った時、宇宙が好きだと言うことを思い出した。星や星座、この 地球と宇宙の関係を理科や漫画で読むのが好きだった。星座にちなんで神話もよく読んでいた。それを思い出した時、改めて宇宙について本を読みたくなり、本を買い読んでみた。
4
宇宙を知る中でわかったこと。
すべてのものは星屑から生まれたということだ。分子原子のレベルに分解した時、わたしたちの体を構成する最小単位とコッ プもコップの中の水も。すべての最小単位は同じ生まれだったという事実。みな恒星が死んで爆発した屑が残した成分でできていた。それを知ってわたしも石も故郷が同じだと、どきんとした。
宇宙の大きさについて勉強するたびに、じぶんの小ささを発見する。ながい、ながい宇宙の歴史の中 で、一瞬とも呼べない短い時間しか生きられない生き物、じぶんを知ることとなった。
5
石を描く時間、宇宙や静かな空間を漂い、探索する。漂ううちにわたしはわたしを発掘したきがする。