ハミダシクリエイティブ
https://gyazo.com/608c65991653a0518ed2d307fa4412da
点数:90点
2020/11/27完走
2020年初めて真面目に触るエロゲがこれ。それでいいのか~!?
総評
極めて質の高いキャラ萌えゲー
具体的に言うと、ワガママハイスペックではシナリオの質のバラつき、ラズベリーキューブではヒロイン同士の掛け合い不足が大きな問題として挙げられていたが、今作ではそれらを全て解消できていると言っても過言では無い出来だった。 学園モノ純愛ドタバタラブコメゲーとしては一つの完成形とでも言えるのではないだろうか。
「令和」のエロゲー
昨今のSNS事情やVTuber、オタク界隈のネタをふんだんに、かつ自然にシナリオ中に取り込んでいて、とても読んでいて新鮮な気持ちになった。特にターゲット層の中心になっていそうな大学生前後のオタク男性のことをよく研究したシナリオだなと感心した。
ただ新しいネタを使っているというだけでなく、シナリオの文体やキャラクターの口調などもかなり「今の」オタクたちに合わせて作られていて、「今の」オタクたちにはウケが良さそうだった。まさしく「令和」のエロゲーとでも言うべきか。
もしかしたら、このゲームも10年後とかに読み直したら当時の雰囲気が思い出されて懐かしさが感じられるようになるのかもしれない…
テーマ性がしっかりしている
キャラ萌えゲーと言うと中身が無く薄っぺらいシナリオだと揶揄されがちだが、今作は「クリエイター」や「不登校」といったテーマをシナリオに盛り込んでいて、割と芯の通ったシナリオになっている。 また、このテーマ選択自体も偉いと思う。昨今では創作活動の敷居が低くなって、何かしら自分で創作活動に手を付けた経験のあるオタクは多いだろうし、不登校まではいかなくとも社会からどことなく疎外感を感じているオタクも多いだろうと思われる。ちゃんとターゲット層に共感が得られそうなテーマをしっかりとシナリオに盛り込んでいるあたりは上手だと感じる。
システム面がやや不便
バックログの長さが短く制限されていて、かつチャプター選択的な機能も無いので、後から読みたいシーンを遡ることが難しく不便だった。また、テキストも背景色が白で文字色が白に茶色の縁取りでかなり読み辛かった。
今のゲームに求められる最低限の機能は用意されているが、せっかく中身が良かったので、今後はこの辺りもより気を使って欲しい所。
逆に言うと、システム面くらいしか苦言を呈する所がない…
キャラ萌えゲーブランドの地位をより強固にする一作
ワガママハイスペックで一躍ブレイクしたまどそふとがより磨きをかけて今作を出したことで、キャラ萌えゲーブランドとしての地位は最早揺るがないものになったと思う。次回作にも一層期待をしてしまう所。 感想
共通
めちゃくちゃ良い…絵が良い、声が良い
共通日常パートの退屈しないわちゃわちゃ感やキャラの魅力を存分に描き出すシナリオは安定のまどそふとクオリティといった所。話も読みやすく、サクサク読み進められる感じ。
主人公が何かしら頑張ってヒロイン達に良い所を見せて、それをヒロイン達が褒めたりする…という王道のサイクルをキッチリとそつなくこなしているのは評価ポイント。
ただこれも毎回お馴染み?のしょうもないチンピラにめちゃくちゃな因縁を付けられる件は正直気分悪いので無くして欲しいなあ…と思った。分かりやすい適当な悪役はシナリオ的に扱いやすいのは分かるけど…
個人的にクリエイターへのコンプレックスを拗らせているのでその点でやや読みながら辛い面はあったけど、冴えカノみたいにいやらしい描き方ではないし、単純にキャラがかわいすぎてどうでもよくなってしまった。
詩桜先輩があからさまな悪役キャラとして描かれていて、これは人気出なさそうな役柄だな…と思ったりした。
ワガハイ・ラズキューに続いて、キャラゲーとしては大変良くできていると言って差し支えない。
一つ特異な点としては、TwitterやLINEなどSNS上に根付いた近年の若者文化や同人文化がふんだんに盛り込まれていること。TwitterやLINEといったモチーフは他のエロゲにもよく出てくるが、ハミクリには取ってつけたようなものではなく、シナリオに自然に組み込まれたものとして出てくる。例えば仕事用とプライベートでアカウントを使い分けるだとか、フォロワー数が多いと偉いとか、そういったSNSネイティブな価値観が当然のものとして出てくる。そういう意味では少し新鮮な気持ちで読むことができ、言うなれば「令和のエロゲ」とでも言うべきか、という印象を持った。
システム面で一点だけ苦言を呈すと、テキストが読みづらいのはいただけなかった。背景が白にテキストが白+縁取りでかなり読み辛い。テーマカラー的に仕方なかったのかもしれないが…ラズベリーキューブはめちゃくちゃ読みやすかったので、改悪点として目についてしまった。サクサク読んで楽しむタイプのゲームなので、ここは気を使ってもらいたい。 https://gyazo.com/5b092d97be757ac718fa4f275da706fe
https://gyazo.com/e051ca9beda87b92211062f09067d4ab
華乃
可愛い…とにかく可愛い。ピンク髪乳デカ陰キャイラストレーター…ここまで純粋にキャラが刺さったのは久しぶりかもしれない。雑な距離感が心地よい…
オタク君の考えるオタク同士の理想的な恋愛ストーリーみたいな感じでとても良かった。そしてその分妙な精神的ダメージも受けた。途中、酒を飲みすぎて翌朝吐くほどにはのめり込んだ。
自己肯定感の低い陰キャオタクの気持ちをよく研究したシナリオだなあと感心した。
https://gyazo.com/9ad3f33d79ca7f4ab8f9a2947f82c85d
告白周りの話めちゃくちゃ共感したけど、主人公がヒロインのことを三次元的に(顔を)好きになるのは共感できなかった。いや、エロゲなのでそもそも顔が良いのでそうなるのは分かるし、逆に顔は別に好きじゃないとか言われてもそれは微妙な気分になりそうなんだけど…
付き合うまでの流れはかなり面白くてテンション高めで読み進めていたが、付き合い始めてからは結構ダレがちだった。一気に読めば良かったかもしれない…
シメも綺麗にいい話で終わったので良かった。若干盛り上がりに掛ける感じはあったが…
ハア~~漏れも自己肯定感低めのオタクイラストレーターの自尊心を満たして依存されてえよ
88点。
あすみ
あすみちゃんもかわいいね~!でもキャラで言うとやっぱり華乃ちゃんのほうが好みかな…でもあすみちゃんもめっちゃかわいかった、ルート入ってもちゃんと可愛さが描けている。着実にまどそふとの成長を感じる。(ワガハイはその辺り厳しかった)
華乃ルートと比べて若干テキストが読み辛い部分が多少あったかな?という気もするがそこまで問題に感じるレベルではなかった。
まどそふとでちゃんとお胸が小さいキャラが出てくるのは新鮮。周りがデカいのでより引き立っていて良い…
あのあの!って言ってるあすみちゃんかわいい。
華乃ルートと違って話の起伏が少なかったが、最後に大きな盛り上がりがあったので結果読後感的にはむしろこちらのほうが良かった。華乃ルートと同様にちょっとしたテーマ性を持たせているのもニクい。
後はVTuberという旬なネタを割とうまくエロゲのシナリオに落とし込んでいて普通に上手だなあと思った。さすが令和のエロゲ。もちろん多少のご都合主義感はあるけど、ファンタジーのお話として許せる範囲。むしろあんまり生々しすぎないくらいのほうが良いよね…それはそれとしてVTuber文化を好きになれるとはやっぱり思えないけど
あすみちゃんがピュアすぎてこれえっちシーンいらんくないか?と思ったけど最初のえっちシーンに持っていく流れは思った以上に自然で良かった。でも結局えっちシーンは全スキップした(ちなみに華乃ちゃんの時はちょっと読んでた)
エピローグ最後に思い出話する所がしんみりして良かった。読後感がすごく良い。
88点!
詩桜
最初の印象が最悪だったのでどれだけ惚れさせてくれるかな!?と思ったけど割とルートの最初の方で甘やかしてくれるようになって普通に好きになっちゃった。
話の内容としてはかなり意表を突かれた。ラズキューの瑠璃ちゃん√以上に…まどそふと、やるじゃん!?となってしまった。
思った以上に話がドロドロして興奮した。華乃ちゃんとの対立シーンはマジで心が抉られた(華乃ちゃんが好きなので)
まさかキャラゲーでここまでギスギスした話をやるとは思ってなかった…それほど後を引くこともなく綺麗に終わるのはキャラゲーらしいが。個人的には大変好みの展開だったので美味しかった。
生徒会長の件がネタバレされるところでは思わず舌を巻いてしまった。普通に話が上手い。まどそふとにしてやられるとは思ってなかった。悔しい。
交通事故は正直唐突すぎて困惑してしまった。ひよりんが泣きついてるのは心に来たけど、この√でここでやることか…?という印象は正直否めなかった。ここまでの流れが自然で巧妙だっただけに、急展開に面食らってしまった感じ。確かに居眠りするとか多少の予兆はあったものの…もう少し「これから何か起こるんじゃないか?」という不安感を煽るような描写がされていれば印象は変わったかもしれない。詩桜先輩にある程度明確な非を負わせて、主人公と立場を対等にするためには必要だったのかもしれない。
キャラの性格的にはやっぱりあんまり好きには慣れなかった。ただ、「包容力のある年上のお姉さん」という魅力は十分に伝わってきたし、それが刺さる人には刺さるだろうなと思った。ここは単純に個人の好みの問題だけで、キャラゲーとしての出来は申し分なかったと思う。
華乃ちゃんも詩桜先輩も性格キツいのは変わらないけど、隙があるかないかが大きな違いかな…隙があってチョロそうな女の子のほうが好きなのかもしれない。
エピローグのえっちシーンはちょっとアブノーマルすぎて、これはおまけシーンでよかったのでは…?と思ってしまった。
共通から全編通して、詩桜先輩は他キャラの引き立て役として割り切って使われているのかなあと思った。倉野くんちのふたご事情の長女を思い出す…人気は出ないけどお話には必要な存在。 √単体としては88点。
ひより
共通から激重妹を匂わせていたのでかなり期待していた√。
初っ端から重めな展開になり、早々にひよりからの好意が主人公に露見する形に。
他の√ではお互いの好意に気づき合う(確信を得る)までに焦点を当てているのに対し、ここでは最初からヒロイン側からの好意は確定したものとして、好意を受け入れるか否かの葛藤を描くことに焦点を当てていて、妹との禁断の愛、背徳感を描き出そうという意思を感じられる良展開だった。
同じ妹でもワガハイでは倫理観がガバガバすぎてダメダメだった兎亜√から圧倒的に改善されていて、成長したな…と感じる。妹のオナニー見てもまだ手を出さないのは偉いぞ!
確かにこの√にさらに主人公の交通事故の展開を入れてしまうとちょっと重すぎるし物語の焦点がブレそうなので、詩桜先輩に混ぜておいたのは良かったのかもしれない。
「シンポジウム休んじゃった件で責任感じて文化祭で借りが返したかった~」っていう流れはなんか微妙に話が無理やり感があって??という感じだった。話が盛り上がるのかと思ったらなんか冗談っぽい感じでオチ付いちゃうし…
けど文化祭の朗読劇のシーンでこじらせ妹要素を出してきて良かった。もはやこの朗読劇単体でこの√完結してるくない!?となったが、話の構成がお上手だなと感心…シメにしんみりするお話があると読後感が良い。
エピローグも疑惑が晴れてこれからもみんなで仲良く生徒会活動やっていくぜみたいな感じで、キャラゲーとしては最高のハッピーエンドだなあと思った。こういうのでいいんだよ…
あと全ルートでタイトル回収するのもニクいなあと思った。ラズベリーキューブにはラズベリーもキューブも無かったからなあ…まあ別にそれはいいんだけど
https://gyazo.com/538157b878960bf4e5f0fe413a334142
><目がマジで良かった。
88点。