いろとりどりのセカイ
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点数:59点
総評
期待外れ
正直、個人的にはかなり期待外れだった。前評判とFAVORITEというブランドへの信頼感から期待値が上がりすぎていた所もあるかもしれない。
登場人物に共感できない
全体的に登場人物の言動に合理性・納得感が無く、そのせいで全く物語に没入できなかった。
伏線が無い・少ない
これはFAVORITEの悪い癖だと個人的に思っているが、あまりにも真相に関する情報を後出しにしすぎる所があると思う。
予想外のどんでん返しというのは確かに物語体験を強固にするために必要な要素だが、その「予想外」は何でも良いという訳ではなく、予想外であったもののそれそのものへの納得感は得られなければいけない。
今回自分はその納得感が全体を通して得られなかった。
絵は良い
CHANxCO先生の味のあるSD絵が良かった。
もちろん普通のCGも良い。
テキストが説明的
良く言えば親切丁寧、悪く言えば事務的。ラノベっぽいとも言えるかもしれない。
まあこれもFAVORITEの特徴の一つではある。
各ルート感想
共通
初っ端からFAVORITE節全開!!!星メモ、さくらもゆを経験して流石に慣れました。
真紅ちゃんがかわいいね~~!!日記書く時に膝の上に座る真紅ちゃんすき…
真紅ちゃんに見守られてる感覚がなんだか心地よい。
謎は積み重なっていくけど何一つわからないし、ただなんとなく雰囲気には浸らせてくれる、FAVORITEお得意の雰囲気ゲー演出。
世界観の説明は割とわかりやすく噛み砕いた形でキャラの口から語られるなど、読みやすいような配慮もなされている。(やや説明的すぎて、キャラが喋らされている感もある気もするが)
つかさ
CGが良かった…。
サブキャラで話は一瞬で終わったので特に語るほどでも無く、順当にサブキャラなシナリオだったと思う。
短かったけどよくまとまっていて、ただ物語の本筋には全く絡んでいなさそうなので本当にただサブヒロインが攻略可能なルートとして存在しているだけという感じ。
おまけ的な立ち位置なので、今回は採点対象外。
鏡
ちょっと本編に絡みそうな意味深な伏線っぽいものがあった?ものの、つかさと同じく独立した話としてサブヒロイン的な立ち位置だった。
星メモと違ってサブキャラはサブキャラとして割り切った構成になっていて、サクッと済むので良い。
こちらも本筋にはあまり絡まないおまけルート的なものなので採点対象外。
澪
なんかちょっと話がとっ散らかってるような印象はあったが、澪ちゃんはかわいかった。私服と水着が、えっち…
無駄に長い美少女ゲームパートがやや苦痛だった。
つかさや鏡のルートでも感じたが、悪役の行動原理にいまいち合理性、納得感が無いように感じる。
このルートでの悪役は神埼とおるともうひとりの澪だが、神埼とおるはまだともかくとして(こちらも少々歪み過ぎだと思うけど)、もうひとりの澪(「私」の澪)のほうは紛れもなく初めはいい子だったはずなのに、突然私利私欲に塗れて「あたし」の澪を置き去りにし、挙句の果てには悲痛な願いを無視して自身が嘘をついて手に入れた幸せな生活模様を手紙で報告してくるようなサイコパス行動をしていたというのは少し無理があるように思う。
また、別の存在とは言えヒロインと並行世界上で対応する同一人物であり同じ姿形をしているとなると、読み手としてはヒロインと重ねざるを得ない訳で、それが悪役まがいの行動をしていたというのは少々受け入れ辛いと思ってしまう。(噛み砕いて言うと、澪と同じ見た目をした存在が私利私欲の為に嫌な行動をしている(いた)というのが嫌)
…例えば、悪い何かに憑かれて「ダーク澪」的なものになっていてそのせいで悪役まがいの行動をしていたとか、やむにやまれぬ事情があって…という流れがあって、最終的にそれも解消されて和解する…みたいな感じになっていれば受け入れられると思うが、少なくとも今作本編中ではそういった話は無かったため、神埼とおるも「私」の澪も単なる悪役としてしか見ることが出来なかった。そして神埼とおるはまだ別段思い入れも無いので単に憎しみの感情をぶつけるだけで済むが、「私」の澪に対してはそうもいかないので、感情の行き場に困ってしまう、という具合になっている。
話の終わり方も良く言えば後に引く…悪く言えば中途半端で投げっぱなしな終わり方で、終わり方自体は嫌いではないものの、全体を通して話に納得感が得られなかったため、終わり方の説得力もあまり感じられなかった。(逢魔が時、水平線と空が溶け合う瞬間に並行世界が重なる…というのは最強にエモだし、「君の名は。」じゃん!!!(こちらの方が先)と思ったけど、残念ながらエモよりも強引さが勝ってしまった)
と、かなり酷評してしまったが、真紅ちゃんが最後助けてくれるところでは「真紅ちゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」となってしまった。
ルート単体の評価としては…62点。
加奈
なんだかめちゃくちゃ長く感じてしまった。あとテキストが読み辛かった…
このルートでは特に登場人物全体の行動に合理性が無く共感できなかった。
不快感・ストレスが溜まるだけのシナリオで読み進めるのが苦痛だった。キャラをあまり好きになれなかったのもあるかも。
白さんの件も加奈の件も何もかもただの理不尽で胸糞悪いだけだった。
あゆむ君については何かしらあるんだろうなあとは思っていたけどあまりにも伏線が無さすぎて唐突感しか無かった。というか色々と強引が過ぎる…
とにかく全く話に入り込めなくてテキストの大半を読み飛ばしてしまった。
58点。
真紅
うう~~~~~~~ん、主人公がカス!!!という感想しか生まれなかった。そしてそんな主人公が都合よく救われてしまうというのも…。
結局今作をやった段階では最後までストレスの溜まるだけの話だと感じてしまった。登場人物の行動に全体的に合理性が感じられなかったし、ただ胸糞悪い事象が積み重なって、それらが説得力のある何かで打ち砕かれカタルシスが得られる訳でもなく、けど最終的には事務的な形で強引にハッピーエンドを押し付けられただけのような印象。
とにかく登場人物にほとんど共感を得られなかったため、物語に没入することもできず、エモいシーンでもひどく冷めた気持ちでエンターキーを連打することしかできなかった。
個人的に、最後に近い所で長い回想を挟んで真相が語られるような展開があまり好きではない。それはただの後出しジャンケンで、読者を馬鹿にしているように思えてしまうため。
で、FAVORITEは割とそういう展開が多い作風ではあるのだが、今作ではあまりにもそれに頼りすぎていたように思う。
真紅ちゃんはかわいかったけど、主人公に惹かれる理由付けが弱すぎるように思う(他のヒロインでもそうだったが)。
59点。