2024|工芸デザイン製図Ⅱ(後半)
対象とする空間およびインテリア(家具)に応じてスケールは変化します。コンセプト段階では『ボリューム』を、その後は『細部まで』を確認できるような作図を心がけましょう。
模型についても、スタイロなどを切り出してボリュームを確認し、意図した通り配置できるかの検討、雰囲気づくりの試行錯誤を繰返して、図面に反映するようにしましょう。
table:schedule
タスク エスキス材料
1205 スケッチ、展開図の作成、前半課題の見直し 前半課題.pdf、当日のスケッチ
1212 対象空間の選定、インテリア(家具を含む)のコンセプトを作成 1) クロッキー帳とトレペーでのアイディア出し
1219 コンセプトを確認、対象空間とインテリアの表現を具体化1 2) 1)+A3(コンセプト、平面兼配置図、立面図and/or展開図)
1226 対象空間とインテリアの表現を具体化2、簡易模型を作成 3) 2)+A3で2~3枚(上記+家具図とパース)、簡易模型
0109 対象空間とインテリアの表現を具体化3、簡易模型を作成 4) 3)+A3で2~3枚(上記を提出要件レベルに)、簡易模型
提出模型の作成 模型作成に必要な図面
0116 提出図書のレイアウトを検討、提出模型の確認 5) 上記をブラッシュアップ
0121 提出@建築棟製図室
0123 講評会@建築棟製図室
0208 成果発表会@須坂市
※年明けは模型に取り組めるよう、スケジュール管理に注意しましょう。
※初期スケッチを含めるなどして、最終形態に至ったプロセスをアナログとデジタルデータを活かして表現しましょう。
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家具の分類
現代社会において、多くの人間は1/3を椅子に座り、1/3をベッドに横たわって過ごしている。
居住空間の平面・立米に占める家具の割合は相対的に増してきている。
以下の「具体的な例」にあげられるモノを総称して「家具」としているが、それで良いのか?
区分して、各々について考えを深めるべきではないか?
table: 家具の分類
分類 機能の内容 具体的な例 関わり方
人体系家具 身体の支持 椅子・ベッド 人間中心
準人体系家具 甲板上での作業 机・テーブル・カウンター ⇅
建物系家具 収納や遮断 戸棚・タンス・衝立・間仕切り もの中心
戦後、日本の生活様式は急激に洋風へ転換した。
和洋折衷という言葉があるように、混乱状態にある。
日本の住宅事情
日本 自分で造って住む。一生に一度という意識が強い。
売却を考えないので、ワガママに考える。
生活に合わなくなれば、ローンが残っていても壊して建替える。
維持管理を怠りがち。他人が住む間取りになっていない。
中古住宅の市場が成立しづらい。
アメリカ できあがったものを購入して買い換える意識が強い。
売却するために常に手入れして、インテリアを磨き上げておく。
中古市場があって、売れる資産である。
保守管理やインテリアなどへの関心が比較的高い。
中古住宅の流通は約16万戸 アメリカ(438万戸)の1/28 ≪人口比は1:3≫
住宅の平均寿命 日本26年・アメリカ44年・英国75年
自分流の家を建てるので、町並みは調和がなく、醜くなる傾向がある。
2009年「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されたが、意匠に関わる明確な指標は存在しない。
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単位と寸法
尺貫法
1寸 約3.03cm
1尺 約30.3cm(10寸)
1間 約1.818m(6尺)
1畳 約1.65㎡(1間×0.5間)
1坪 約3.3㎡(1間×1間)
ヤード・ポンド法
1インチ 約2.54cm
1フィート 約30.5cm(12インチ)...約1尺
人体寸法 人体各部の寸法
眼高 約150cm。立位の視空間と関係する。
肩峰高 約130cm。手を前方へ真っ直ぐ伸ばした際の高さ。...スイッチ類
重心高 約90cm。へその高さ。...ドアノブや手すり
前方腕長 約75cm。収納棚やキッチンなどの奥行きに関係する。
下腿高 約40cm。椅子の座面の高さ。
動作寸法 人間の身体や手足の動作にともなう寸法
物品寸法 家具や各種機器(人工物)の寸法
※世代や運動能力など、利用者に応じた寸法が要求される。
動作空間と単位空間
動作空間
人間の多様な動作に必要とされる空間
余剰(ゆとり)が必要
単独か複数人か、場面に応じた計画が大切 ...パーソナルスペース、テリトリー、プライバシー
単位空間
特定の行為がなされる空間
動作空間に基づいての判断が必要
玄関~廊下~居間~寝室~便所(浴室)など、移動イメージも大切
全体平面に配置する。もしくは、その逆の手続きを繰返す。
建築計画の進め方
コーディネーション
建物全体および部分の寸法を把握(実測)する。 ...配布された図面をよく確認
必要とされる動作空間や単位空間を捕捉する。 ...各々のテーマに基づく
建物全体にグリッドを作成し、柱壁など(平面計画)を決定する。 ...直交が基本
グルーピング 性質や機能が似通った諸室をまとめる。
ゾーニング 敷地や建築物にて、同様な性質や用途をもつゾーン(領域)を設定する。
動線計画 建築空間における人やモノの動きや流れ。
異種動線は交錯しないよう計画する。
人間は分かり易い最短経路を好む。
災害時避難のため、二方向の動線を確保する。
ライフサイクルコスト イニシャルコストとランニングコスト、できれば資産価値を意識する。
ファシリティマネジメント 建物および設備などの長期的維持管理へ配慮する。
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住宅の平面計画と配置計画の原則
主に必要とされる諸室(今回の課題を考慮した一例)
個人的生活空間(寝室)
高齢者夫婦
親夫婦
子ども
共同的生活空間
リビング
ダイニング
キッチン
玄関
廊下
階段
収納
客間
衛生空間
便所
お風呂
洗面所
※これらを住み手の生活条件に合わせて組合わせて調整する。
※組合わせるにあたっては「動線やプライバシーなど」を意識する。
3つの分離
食寝分離:食事の場と寝室を別とする。
就寝分離:両親と子ども、子ども同士の寝室を別とする。
公私分離:上述した「個人的・共同的・衛生空間」を分離する。
外部空間との関係
隣地からのプライバシの確保
諸室の採光や通風
駐車や駐輪のスペース
パブリックな空間とプライベートな空間
移動や滞留によって変化する環境
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デザインについて
「デザイン」と言われて、何をイメージする?
「空間をデザインする」とか「これは良いデザインだな~」と言ったとき何を意味する?
その多くは「視覚的(見た目)」である場合が多い。
デザインが関わる感覚は「視覚」のみ?
「デザイナーズマンション」と言えば、「使い勝手の良さ」ではなく、「見た目の良さ」を期待するだろう。
公共空間、建築空間、パソコンのOSやスマホでアクセスするSNSなど、デザイナーがスタイリッシュにしようと試みた結果、利用者が不便を感じたり、何らかのトラブルを生じさせる事例は少なくない。
看板を用意したり、貼り紙での注意喚起はデザインの敗北と言える。
デザインとは?
新たな環境を自ら作る。環境を変える。
設計、計画、仕組みづくり
より良くする
快をもたらす(つくりだす)
自分自身
他者(多様な動物、植物も?)
芸術家はデザイナーではない
「デザイン=見た目」とする認識の強さは特定の分野や地域に限った話ではない
D.A.ノーマン(認知科学者)を初めとする指摘を通じて、緩やかに変化してきている。
誰のためのデザイン、エモーショナル・デザイン、複雑さと共に暮らす、未来のモノのデザイン
国土のグランドデザイン
大きな目的を達成するための仕組み
システムの構想についての企画や設計
UX(User Experience)デザイン
見た目でなく、体験にフォーカスしたデザイン
複数の感覚を意識したデザインが見られるようになってきている。
モノのデザインを考えるには
以下のような側面に目を向ける必要がある。
形状
機能
素材
つくり方(製造方法)
使い方
手がかり
持続性
柔軟性
公共性
地域性
歴史文化的背景
よいデザインとは?
役に立つか
使い易いか
好ましいか
デザインしたモノを通じて、実世界に上述したような価値に応じる。
モノをデザインする
もともとは「上述したような個々人の欲求」を満たす。 自分のため、地域のため
大量に生産して、売りさばいて、生活を豊かにする。 効率よく作るため
モノそのものの魅力・価値・機能などを高める。 高く売るため
世の中が求めるデザインは変化し続ける。 人間がモノに合わせる~人間中心~持続可能な社会のため
自分なりのヴィジョンをもってデザインする。
デザインの手続き
調べる 情報を集める。整理して、分析する。
観る 複数の視点を確保する。書き留める。注意深く観察して描く。
環境 人通りは多い?利用時間は?
人間 来訪者?居住者?世代は?
インタラクション 休憩する?売り買いする?通過する?
課題を見つける>仮説をたてる>検証する ~繰返す~ コンセプトを作成する>デザインする。
調べるは、前半課題で終えている。
後半は(複数の視点を確保して)見るから始める。
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参考図書など
オンライン