01.はじめに
専門分野
環境について人間側から学際的に分析・考察する『環境心理学・認知心理学・人間科学』です。
建築と心理の組み合わせは意外に感じられるかもしれませんが、関係する研究は長らく行われてきており、空間デザインへの心理実験・心理評価・行動観察調査からえられる知見の活用は重視されるようになってきています。
建物を設計建設し、維持管理するだけでなく、その建物を眺めたり、利用するなど、それら全ての過程は人間が関わることなく成立しません。
したがって、人間について、建物や都市について、それらの相互的な関係について、考えを巡らすことは空間デザインに欠かせないプロセスであると言えます。
当研究室では、人間と空間の相互的な関係の検討を主とする研究に取組んでいます。
環境心理学
卒業論文に取組み始めた1994年から関わってますが、「環境心理学とはなんですか?」という質問に対して端的に回答することはできません。
講義などにおいては、『「人間と環境の相互作用」について科学的に扱う学問です。』に始まって、関連する(と感じている)研究例を挙げ、 「特定の学問分野に囚われることなく、いろいろな事象を人間と関係させて考える学問」ということを感じとれるよう表現しているのが現状です。
ウェブページや書籍には、「一般の心理学者がそれぞれ専門を持っているように、環境心理学者もそれぞれの専門を持っており、その領域の全てに通じているわけではない。(羽生)」との記述や、「従来の心理学の枠内に組み込まれた、たとえば教育心理学や社会心理学などと同列の、環境心理学という名称が矮小であることは、もはや疑う余地がないであろう。(人間環境学)」といった指摘があります。
研究課題
基本的に「人間と環境に関係する事象を扱うテーマ」であれば、内容や対象の選定に厳格な枠はありません。
実験心理学的アプローチをベースとする学際的な研究を歓迎します。
「人間と環境の相互作用」について検討し、建築・都市空間のデザインに応用できるような資料の提供を目指しています。
以下のテーマに関心がある方を特に歓迎します。
空間認知、特に認知距離に関わる。
共同研究や競争的資金を獲得して取組んでいる(もしくは、その予定である)。
実験室の機材を活用できる。
関連分野
建築系:都市計画・意匠設計・環境計測
心理系: 知覚心理学・発達心理学・社会心理学・障害者心理学
その他:地理学・社会学・コンピュータグラフィックス・情報処理
目標
建築空間・都市空間といった環境の物理的な諸側面を客観的な視点から観察・分析し、顕在的・潜在的事象について洞察する能力を習得する。
人間の各種特性(知覚・認知・行動)をふまえたプランやデザインに必要とする力をつける。
専門分野に基づく知識を他分野に、もしくは、他分野の知識を専門分野に取り組む手法を考え、提案する力をつける。
状況に応じて他者と協同する判断力および柔軟性を身につける。
企画力・実行力・体力を向上させる。