“No Tech for Apartheid”と退職前後の話(2024-10頃)
*2024年8月18日|コミティアで配布したペーパー
コミティア149に出展した。この日、自分のスペースで配布したペーパーに「No Tech For Apartheid」のことを書いた。
全文 → Eidantoei today 2024-08-18
*2024年10月22日|社内のScrapboxに投稿した「退職のあいさつ」
10月末に勤務先を退職した。最終出社日の前日に長い文章を社内で投稿した。
<全文はこのページには掲載しません>
*2024年10月23日|「退職のあいさつ」ページが経営チームにより削除される
最終出社日当日、わたしの業務がひと段落したあとでSlackを見た。
すると、経営チームの1人であるBさん(仮名)が以下のようなことを投稿していた。
A社《勤務先社名》の活動がパレスチナでの虐殺行為を助長する、といった歪んだ認知とも取れる内容が含まれており、明らかに不適切と判断しましたので削除しました。
10/22に投稿したページが削除されたとわかった。
*2024年10月25日|10/23にあったことを一旦書いた
Original: https://ooo.eidantoei.org/@et/113363084704234594
〈怒っているし結構長い文章〉
※いつか別のところにも改めてまとめたいけどざーっと書いておきます。
おととい退職のあいさつ文を勤め先のScrapboxにページとして投稿したのだが、きのうの最終出社日に経営メンバーによってページごと消されるということが起きた。16年在籍してワースト・オブ・理不尽だと思った。昨日の昼過ぎにそのことがわかり、めちゃくちゃに傷つき、それからずっと怒り狂って頭痛と疲労でおしまいになっていた。とにかくたくさん眠ったので今朝はだいぶましな体調になった。でも当然ながら怒りは消えてない(し、積極的に消すつもりも別にない)。
そのページには大まかに3つの文章を書いており、その2つ目が「No Tech For Apartheid」に関する内容だった。それを理由に削除をしたらしい。パレスチナで1年以上続いている虐殺とその理不尽さの話、AWSとGoogle Cloudがイスラエルと手を組んでパレスチナでの虐殺を可能にしてしまっている話、そして勤め先のこの会社はAWSのパートナー企業のひとつなので結果的にとはいえ加担してしまっているようなものだという話、パートナー企業として抗議などできることを検討してほしいという話、それができないなら各個人でボイコット・寄付などのできることをしてほしいという話を書いた。退職日のすぐ手前までこの話をすることができなかった自分が情けないということも書いた。
文章は4時間くらいでざっと書いたので全体的にやや雑ではあったけれど、でかい誤解が生じるようなものではなかったと思う。「最後っ屁」と言われても仕方ない投稿タイミングではあるけど、「最後っ屁」でしか伝えられないことって良くも悪くもあるはずだから一概に悪いことではないとも思った。ネーミングが悪い。屁って。
経営層メンバーは「この会社の活動がパレスチナに対する虐殺行為を助長するという〈歪んだ認知〉とも取れる内容で、明らかに不適切と判断」したのでページごと消した、とSlackの全員いる部屋に投稿していた。その投稿は私がもう見ていない想定でなされたものみたいだったけど、私の業務パソコンの初期化作業が遅れていたせいで私も見てしまったのだった。私も投稿者にとっても運が悪かったってことになる。全く嬉しくはないけど気付けてよかった気もする。
No Tech For Apartheidキャンペーンで声を上げたGoogleの技術労働者たちが解雇されたことを思い出した。やってることいっしょじゃん。経営関連メンバー全員がパレスチナで起きていることや不買などの市民運動に完全関心な人で構成されていて、「虐殺に加担」とかいきなり言われてびっくりしたのかな。
仮にそうだとしても、なんのヒアリングもなしに「認知の歪み」などと一方的に判定するって、シンプルに失礼すぎる。そのうえ投稿者への断りもなく丸ごと消す対応しかできないって、すごい判断力・行動力だなと思った。実際に消された側はめちゃくちゃ傷つく。自分の書いた言葉をいきなり消されるってことが初めてだったのだけど、かなり怖い。この会社では上の立場であればそうした対応も可能、というメッセージ発信にもなっている気がするし、とても有害だと思った。ていうか、もう退職する人間の言葉だったら揉み消してもいいとおもっているのか。ナレッジ共有システム全体に失礼。正しいことをしていると思ってやっているならその正しさはかなり歪んでいるように見えるよ。
もっと早くから社内でイスラエルが今していることやAWSとGoogleの関連について話題にしておけばよかったのかもしれない。でもそのような、もしかすると見る側の多くが耳を塞ぎたくなるような社会問題についてそう簡単に発信できるような環境ではなかったなとも思う。なぜなら、ストレスを溜めた従業員の発した言葉が、上に立つ人にとって取り下げるよう圧をかけるということは、自分が知る限り過去1年で2回あったので。それらも、今回も、もちろん伝え方を工夫すればこういうことは回避できたのかもしれない。でもそれはまた別の問題。
ページ削除の対応について、わたしがいなくなった後どういう受け止め方をされているのか。わたしはもう業務PCを返却済で情報システムへのアクセス権限もない。成仏しきってない亡霊みたいな気分になってる。
見えないなりに勝手に想像している。「これっておかしくないですか?」と表立って言ってくれる人は誰もいない気がする。そんな一方的な発言削除がまかり通る組織環境がかなり心配だし何かメッセージを投げかけておきたい。パレスチナで起きていることやAWSがイスラエルに協力してしまっていることについても耳を塞いで終わりにしようとしている人がいるなら、もうすこし自分にできる範囲で説明なり話をしたい。あと地味な悩みだけど、メッセージを伝達する方法も悩ましい。情報システムにはアクセスができないのでメールでどこかに送るか、そうするとしてどこに送るか。誰かを中継するみたいなルートなのか……。
うちは残念な会社だしもう忘れちゃえばいいよ!と言ってくれた同僚。恨んでもしょうがないとハローキティが歌って踊る動画を送ってくれた友人。気にかけてくれてありがとう。特にその同僚は一緒に怒ってくれていて救われた。1人少なくともいっしょに怒っている人がいる。よく寝て体調がマシになったと冒頭書いたが、この人とのメッセージのやりとりがなければまだぐったりしていた気がする。
亡霊としてこれからとりたいアクション案を書いたけど、何かのためのようでいて、本当は単なる恨みでしかないのかもしれない。そうならないようにしたい。勤め先の籍が実際になくなる10月末日までに何ができるのか、何もしないのか、もう数日寝かせて考えようかなあ……。似たような理不尽を経験した人や、所属先に抗議文を書いたことがある人がもしいたら相談したい。
*2024年10月31日|「退職のあいさつ2」を個人メールアドレスから社内メンバーに送信
最終出社日のあと、在籍最終日に会社に残っているメンバーに向けてメールを送った。私用の個人メールアドレスから、思い出せる限りの同僚のメールアドレスをToに羅列して送信した。
<全文はこのページには掲載しません>
ToC
▼文章の社内共有のおねがい
▼前提
▼消されたScrapboxのページ内容
▼ページ削除を知るまでの流れ
▼ページ削除を知ったあとの私の反応
▼問題点1:「認知が歪んでいる」という安易なジャッジ
▼問題点2:経営層・マネジメント層にとって都合の悪い言葉・文章であれば削除して良いという考え方
▼おわりに
*その後
100人に満たない組織の一部メンバーにしか送ることができなかったのだが、後日、このメールをうけて何人かから連絡があった。まず読んでくれたことだけでもありがたいと思った。それだけでなく、経営層による発言削除に違和感を覚えたとか、パレスチナで起きていることとクラウド基盤の虐殺加担について自分でも調べてみた、という返信もあった。1人でもそのように思ってくれる人がまだあの会社にいると思ったら少しホッとした。自分の発信のしかたに反省もあったし、これだけでなにかが変わるわけではないけれど、ほんの少し前に進んだ部分もある、ということが良かったと思う。
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