国際比較①
教育学演習3
杉本 均
日本の教育の特徴について、国際的な視点から論じなさい。
指定用紙4枚 400字×4=1600字
締め切り 8/26
▶世界の教育制度
▶その共通性と特異性
▶振り返って日本の教育をよりよく理解する
★世界の教育制度と比較することで特徴を考える。また何故、日本ではこういった制度を取り入れているのか。
教育制度の基礎
●カレッジ
日本 短期大学(Junior College)・単科大学・専門大学(単科高等教育)
イギリス 大学(University)の構成機関
大学はカレッジの集合体。
入学・卒業のみ大学基準に統一。
フランス 中学校(コレージュ=college)
シンガポール 大学予科(高校:Junior College)主に語学の予備教育をする。
➡︎名称では判断出来ない。
中国
高等学校…大学などの高等教育機関
学院 学部
研究所 研究科
研究生 大学院生
韓国
学院 私塾
▶学校体系図(系統図)
①帯型体系図(およその教育人口も表示)
②樹状体系図(進学の流れを明示)
▶日本の教育制度
6-3-3-4制と表現される
大学進学全体の5割
中等教育学校(中高一貫)
義務教育学校(小中一貫)を制度化
➡︎シンプルな教育制度
▶教育の体系図から何がわかるだろうか。
目盛り
縦軸:標準年齢・学年
横軸:おおよその就学率
▶小学校就学年齢 何歳から初等学校に入学する
日本…満六歳の誕生日以後
多くの国が5~7歳で、ほとんどが6歳
例外 イギリス5歳
スウェーデン7歳
➡︎体力面・学力面
義務教育(Compulsory Education)
義務教育期間
アメリカ 教育を州が管轄している➡︎州によって求められる教育が異なる為。
ドイツ
16州のうち11州が9年間 5州が10年間
フランス
初等教育5年 中等学校5年の計10年間
リセ(高校)第一学年までが義務教育
➡︎留年が多い(11年間でせめて小中学校を終えて欲しい)
▶義務教育の2つの型
就学義務(compulsory school attendance)…学校への就学という方法しか認められていない
日本の場合、一条校への就学が必要
日本・韓国・中国・ドイツ・スペイン・ギリシア・オランダ
➡︎日本も教育義務に移るかも(登校拒否問題)
教育義務(compulsory learning)…一定の条件の下で学校以外の場の教育も認める➡︎ホームスクーリングが可能
英・仏・米・カナダ・オーストラリア・ベルギー・イタリア・ポルトガル・ノルウェー・スウェーデン・デンマーク
親の教育方針…宗教問題等
▶教育制度の歴史的発達形態
多くの国ではその教育発展の初期には2つのタイプの教育が必要とされた
①下構型学校体系(エリート型)
大学➡︎文法学校➡︎大学予備
②上構型学校体系(庶民型)
寺子屋を利用。尋常小学校
▶上構型と下構型の結合➡︎今日の教育体系
▶教育体系の類型
(1)単線型(single channel/track system)
日本は入口は1つ。出口は複数。(若干、分岐型寄り)
⑵分岐型(streaming system)
ドイツの基幹学校、実科学校、ギムナジウム(大学へ行ける)➡︎大学入学が10歳の時点で決まる。
実際にはほとんどの国が分岐型。
職業への意識づけ・準備・就業先に合わせた専門的な学習。
⑶複線型(multi-channel/track system)
インドネシアの世俗体系と宗教教育体系。例:ブータン。宗教体系。
▶(進学)接続関係 アーティキュレーション
▶教育の段階(ステージ)
主として学習者の発達段階に応じて、教育や教育制度を区分した教育のレベル。
▶初等教育(小学校教育)を英語でなんという
教育の順序 教育のレベル
初等教育 Primary Education Elementary Education
中等教育 Secondary Education Intermediate Education
高等教育 Tertiary Education Higher Education
▶ユネスコ国際教育標準分類
ISCED
0~8の9段階で
②各
UNESCO Global Education Digest,
③就学率
enrollment ratio
④就学率の求め方
就学者数/学齢人口 統計をもとに
⑤
⑴留年者(原級留置)
貧困の為、出席率が低く留年。
⑵早期入学
きょうだいで出席。下の年齢。
⑶非戸籍人口
⑥正就学率=(当該年齢)就学者数
トロウモデル
マーティン・トロウ(MArtin Trow)の高等教育発展モデル
就学率 15% 50%
エリート型→マス型→ユニバーサル型
エリート型 マス型 ユニバーサル型
高等教育 特権 権利 義務
選抜 庇護的 選抜的 無選抜
授業 チューター 講義・ゼミ 非対面
社会との関係 閉鎖的 開放的 無境界
教育者と生徒の関係 後継者 資源 客
⑨
識字(literacy)=読み・書き・算(3Rs)
非識字(iliteracy)
仏教と識字率の相関
識字率低い…南アジア
▶イスラーム圏の非識字
クルアーン…記憶され伝承される聖典
(11)学級規模
学級規模= (在籍児童・生徒数)/(クラス数)
日本は平均よりクラスあたりの児童数多い。
世界 公立>私立→学費
日本 公立<私立→なぜ…
(13)教員-生徒比率=(在籍児童・生徒数)/(教員数)
(14)少人数
いじめへの効果なし
学力と学級規模の関係(グラス・スミス曲線)
TIMSS
学力の均質性
(15)(公教育費)/(国内総生産)
(16)
政府支出公教育費
公教育費/政府財政支出×100
日本は9.5%
➡︎日本の公教育費負担はOECD諸国の中で最も低い
特に高等教育における公費負担の比率が低い
日本の高い教育達成の一部は私的教育努力や熱によって支えられている
高等教育が無償の場合は高い所得税が課される場合が多い。
▶教育課程の国際比較
カリキュラム
カリキュラムの意義
学校で行われている学習活動をなんらかの意図に基づいて展開させるために編成された教育プログラム。
成文カリキュラム(written)…社旗的な期待と理念を文章化・制度化
実態カリキュラム(active)…日常的な慣行として修正されたもの
非公式カリキュラム(hidden)…教師や社会の期待が無意識に反映する
シラバス(syllabus/syllabi)(授業概要)
科目毎に授業の内容と順序、各章の目標、注意点などを記した文書
体育の授業
→あるのが特殊
2部制…マレーシア、シンガポール、モンゴル
3部制…ブラジル、ベトナム
学年別科目配当表
日本→小学校で外国語科目が増える。
イギリスの「トピックスタディ(ワーク)」→日本の総合学習のモデルとなる
→中国へ
⑨
▶学年の修了・進級システム
○児童進級システム
履修年数を満たせば進級・卒業=年数主義
一定の年齢に達した時点で進級・卒業≒年齢主義
○留年
○1886年 小学校令
「児童6年ヨリ14年ニ至ル8箇年ヲモッテ学齢トシ」
…年数主義
○1941年 国民学校令によって、
「児童の満6歳に達した日の翌日以降の最初の学年の初めから、
満14歳に達した日の属する学年の終わりまで」
…年齢主義に転換
▶課程主義
一定の課程を習得したと認められる時点で進級・卒業できる
ヨーロッパとアフリカ諸国・中南米諸国に多い
▶そうでない場合は留年・落第となり、それを繰り返すと
卒業しないまま「離学」になることも多い
→留年した生徒への教師と保護者のフォローが大事。
落第についての主な論点
○親の社会階層を反映
→職業格差
▶学校文化の国際比較
▶明治17年(1884年)
政府が会計年度(fiscal year)を4月に固定
学校の学年度(academic year)もそれに合わせた
なぜ、会計年度を4月に固定したのか
⑴農作物収入の税金を現金納付させるために収穫時期からのずれ
⑵イギリスの会計年度が当時4月
1752年にグレゴリウス暦を大改訂
3月25日→1月1日
▶学年度をいくつに区切るか
日本の場合
2003年度より全国の小中学校、特別支援学校で2学期制の導入を推進
→採点や評価の手間削減。教員負担の軽減。
→生徒にとっては試験範囲が広がる。負担増。
総合的学習の時間の実施に有利。
➡︎2013年頃から減少傾向
大学の4学期制 日本導入
→ある学期のみ必修科目を設けないことで、その期間に留学しやすくなる
→グローバル化への対応 教育効果の向上
▶日本における週5日制の導入
1972年に日教組が提案
1985年 プラザ合意(対米貿易黒字最大)→外部(アメリカ)からの圧力「働きすぎだ!」
2002年 完全週5日制に移行
登校日数 240日→210日へ
2010年 東京都が条件付きで土曜日の授業を容認
男女別学・共学
▶男女別学を支持する意見
勉学への集中 カリキュラム
男女それぞれのリーダーを輩出
▶共学を支持する意見
実社会に近い環境
異なる他者理解・コミュニケーション
学校掃除への生徒参加
サウジアラビアで日本の教室掃除を導入 640校
エジプトも導入検討中
学校掃除の位置付け
特別活動ー学級活動ー共通事項
よりよい生活づくりへの参画
▶日本自主的実践的な態度や健全な生活態度
台湾 課程綱要ー総合活動ーサービスラーニング
進学時の評価にも含まれる
低学年ー自教室 高学年ー共有スペース
世界の教科書
教員養成
日本の教育は外国との関係が希薄。
ブータン 来世の幸福 未知の幸福概念