中学生の数学嫌いは本当なのか: 証拠に基づく教育のススメ
内田 昭利(著) 守 一雄(著)
https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/612k6qyWZYL.jpg
紹介
「潜在連想」という視点から実証的に生徒のホンネに迫り,「偽装○○嫌い」の検出と救出を試みる。「教育の科学化」への挑戦。
日本の中学生の4割以上は「数学嫌い」であるというアンケート調査の結果は,本当に「科学的」であると言えるのか? 本書では,「潜在連想」という視点から実証的に生徒のホンネへと迫り,「偽装○○嫌い」の検出と救出を試みる。中学校教諭と教育心理学者による「教育の科学化」への挑戦。集団式簡易潜在連想テストの実施マニュアル付き。
◆主な目次
はじめに
第1章 証拠に基づく教育の必要性
第2章 国際調査での日本の子どもたちの成績
第3章 アンケート調査の問題点
第4章 潜在連想構造を探る新しい検査法:こころのX線検査
第5章 学校教育現場で使える集団式潜在連想テストの開発
第6章 「偽装数学嫌い」生徒の検出
第7章 「偽装数学嫌い」生徒の救出
第8章 「こころのX線検査」のその他の活用例
第9章 教育の科学的研究の重要性:まとめに代えて
付 章 FUMIEテスト実施マニュアル
おわりに
目次
はじめに
第1章 証拠に基づく教育の必要性
1.教育は間違った印象に左右されやすい
2.証拠に基づく教育
3.何が証拠なのか
1)調査結果は証拠にならない
2)因果関係の証拠はランダム化比較対照実験でしか得られない
3)ランダム化比較対照実験だというだけでは証拠不十分
4.この本で述べたいこと
第2章 国際調査での日本の子どもたちの成績
1.国際学力調査
2.PISA調査
1)「ゆとり教育」とPISAショック
2)幻だったPISAショック
3.TIMSS調査
1)TIMSS調査に現れた日本の子どもの特徴
2)「成績が良くて好き」から「成績が良いのに嫌い」になる
4.日本の子どもは嘘をついているのではないか
第3章 アンケート調査の問題点
1.学校で多用されるアンケート調査
2.アンケート調査の問題点:回答者が嘘をつく
1)嘘を見破る工夫
2)嘘をつかせない工夫
3)善意の嘘
3.アンケート調査の問題点:意識と無意識
1)フロイトの無意識とヘルムホルツの無意識
2)ロールシャッハテストの限界
4.国際学力調査のアンケート結果も正しいとは限らない
第4章 潜在連想構造を探る新しい検査法:こころのX線検査
1.潜在意識の科学的研究:プライミング効果
2.知識ネットワークモデルと潜在的認知プロセス
3.潜在的社会的態度測定のための潜在連想テストの開発
1)潜在的プロセスを反応時間で探る
2)反応時間の差に表れる潜在連想構造
4.潜在連想テストの活用の広がりと発展
1)プロジェクト・インプリシット
2)単一の測定対象のための潜在連想テスト
第5章 学校教育現場で使える集団式潜在連想テストの開発
1.学校では潜在連想テストは使えない
2.紙版の潜在連想テストというアイディア
3.集団式簡易潜在連想テスト「FUMIEテスト」の開発
1)キー押し反応の代わりに○×をつける
2)「速さ」を1分間の作業量で測る
3)ターゲット分類課題の廃止
4)評価語の選択と単語の提示順序の決定
5)作成されたFUMIEテストの信頼性と妥当性を測る
6)より良いものにするため改良を重ねる
第6章 「偽装数学嫌い」生徒の検出
1.学校での「研究」とは
2.FUMIEテストを用いた「偽装数学嫌い」生徒の検出
1)なぜ日本の中学生は数学を嫌うのか
2)中学生のホンネを探る
3.なぜ「数学嫌い」を偽装するのだろうか
第7章 「偽装数学嫌い」生徒の救出
1.やらなければ負けない
2.「偽装数学嫌い」生徒の戦略
1)数学と性差のステレオタイプとその真偽
2)不安と自信と自己暗示
3)間違った自己暗示の修正
3.「偽装を見破ること」の効果の科学的検証:ランダム化比較対照実験
1)「偽装数学嫌い」生徒の検出と2分割
2)「偽装数学嫌い」生徒の半分への潜在意識調査結果のフィードバック
3)効果の検証
4.この研究から得られた「証拠」
1)嘘の情報では効果が見られない
2)より確かな「証拠」とするために
第8章 「こころのX線検査」のその他の活用例
1.世界から取り残される日本の教育研究者たち
2.「こころのX線検査」の活用例
1)中学生の教科嫌いと潜在意識の乖離
2)中学生の集団登山前後での「登山」に対する潜在意識の変化
3)障害者に対する潜在的態度測定
4)外国人に対する潜在的態度測定
3.その他の「こころのX線検査」の活用の可能性
1)「学校」に対して否定的な潜在イメージを持つ生徒への予防対策
2)不登校児童生徒の「学校」に対する潜在イメージの変化
3)「ひらめき☆ときめきサイエンス」の効果の科学的検証
4)中学生の潜在的な価値観:中学生にとって一番「良いイメージのもの」
4.「こころのX線検査」という新しいツール
第9章 教育の科学的研究の重要性:まとめに代えて
1.教育の科学化
2.ランダム化も比較対照も科学の常識
1)比較対照条件の重要性
2)ランダム化が必要な人文社会科学系の実験
3.実験を120年以上前に導入した心理学
4.「教育の科学化」と実験教育学・教育心理学
5.教育心理学の停滞と復権
6.学校におけるランダム化比較対照実験の重要性の理解と協力
付 章 FUMIEテスト実施マニュアル
おわりに
文献
索引
powered by openBD
Amazon.co.jp のレビュー
中学生の数学嫌いは本当なのか: 証拠に基づく教育のススメ