論文賞の選定方法とプログラム委員評価コメント
賞の選定方法
賞の構成
最優秀論文賞 2賞
Long発表予稿(8ページ以上の予稿)から1編
Note発表予稿(8ページ未満、4ページ程度の予稿)から1編
優秀論文賞 2賞
Long発表予稿(8ページ以上の予稿)から1編
Note発表予稿(8ページ未満、4ページ程度の予稿)から1編
賞選考対象
口頭発表として投稿された全ての研究の予稿原稿 33件(Long:8件,Note:25件)
評価前のグループ分け手順
各論文賞の選定においては、口頭発表セッションのカテゴリをおおよそ踏襲した5つのグループに予稿を分けて、原則としてそのグループの研究領域を専門とするEC2022 プログラム委員(PC委員)を評価者として割り当てた。 1人のPC委員に対して、6または7報(4-6ページ程度を5報、8ページ程度が1-2報)の専門性が近い予稿の評価を行った。
専門領域は一致するが評価対象のグループに著者とのコンフリクトが多い場合は、別のやや専門ではないグループの評価を依頼した。
評価者の判断で対象予稿とのコンフリクトがある場合は評価をしないということにした。
評価指標
評価者には、今回の論文賞選定では評価の軸として、新規性、再現性、妥当性の3つの軸を1-5(5が最も評価が高い)で評価いただくようお願いした。ただし、この評価軸は研究領域によっては捉え方が多少異なり判断基準の設定がしにくいため、評価における3つの軸に関しては、以下のように読み替えて評価いただいて構わない旨を補足させていただいた。
新規性:分野における新しい領域を拓く萌芽を感じさせる度合い(再現性や妥当性が低くても高い評価があり得ます)
再現性:提案システムの(定量的定性的)評価の再現性という観点だけではなく、提案システムや体験設計の完成度の度合い (定量的な評価はなくともシステム自体や体験設計の完成度が高ければ評価)
妥当性:提案システムの手法としての妥当性または将来性 (完成度=再現性が低くとも将来性が高ければ高評価。逆に再現性が高くとも手法として他にもっといい手法があるだろうということであれば低評価)
また、任意項目として、評価した予稿へのコメントをお願いした。
いただいたコメントは受賞研究の下部に記載した。
選定方法
新規性、再現性、妥当性の各評価値の算術平均値の合計を総合評価点として、総合評価点での順位を主評価項目として選定した。また、小数点第2位まで同じ総合評価点の対象群の順位づけのために、新規性、再現性、妥当性のうち最高評価の5の評価を受けた割合を副評価項目とした。
評価者からのコメント
最優秀論文賞
藤原 優花(明治大学), 中村 聡史(明治大学)
色認識制約を逆手にとってエンタメ性を高める考え方は面白い点を突いている
色という当たり前にエンタテイメントで扱われる情報について改めて考えさせる学術的な広がりを感じる
多くのゲームは、色覚多様者に対して考慮しておらず、色によりハンディキャップを背負っております。本研究は非常に有意義な研究テーマであり、持続可能なEC研究という意味でも評価に値すると思います。
識別しやすさだけでなくゲームにおける有利不利を扱っていて今後重要なテーマになりそうです。
川島 拓也(明治大学大学院), 渡邊 恵太(明治大学)
ダウンタウンの漫才「『あ』研究家」を思い出しました
これは面白い研究。本分野の発展にも資すると思います。
体験の評価をできるだけ負荷なくおこないたいという課題に対して新しい視点をもたらす研究で,大変驚いた.将来の可能性も楽しみな研究.
優秀論文賞
谷川 斗真(東京大学), 佐々木 智也(東京大学), 宮崎 敦子(東京大学), 登嶋 健太(東京大学), 檜山 敦(東京大学, 一橋大学), 稲見 昌彦(東京大学)
本研究では、先行研究であるVR吹き矢システムで明らかになった課題を解決するシステムが新たに実装されている。リハビリテーションで用いることを想定し、呼気の強さが異なるユーザーでも体験ができるように改良し、その有効性を実験によって明らかにした点が評価できる。今後、実際にリハビリテーションに活用し、効果が検証されることを期待する。
温 婉言(早稲田大学), 橋田 朋子(早稲田大学)
えせ中国語メーカーを真面目に検討しておりEC研究としてお手本となる研究と言える。
シールにするよりも,webアプリケーションの方が応用が広がるような気がしました。
偽中国語でのコミュニケーションの可能性を秘めておりとても面白い研究.メモシールを使ってのインタラクションにも発展がありそう.
非常に着眼点に優れた研究で、個人的には全論文の中で最も興味を持ちました。評価が難しいと思うのですが、ユースケースの事例を集め、偽中国語の活用のポテンシャルを示すのが良さそうな気がします。そのためにも、実際のサービスとしてデプロイして多くに人が使えるようになることを期待します。
着眼のユニークさが評価される。理解できるかどうかは重要な評価対象の一つであるが、この視点だけだと翻訳ツールの方に軍配があがる。主張のサポートに向けての論の積み上げ、あるいは、実験のいずれれかの増補が求められる。
論文賞 次点
宮下芳明(明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科)
筆者自身の研究の整理、展望が主な内容なので今回の内容が論文賞ということにはならないか。
著者が取り組んできた一連の味覚メディアをまとめ,そのビジョンおよびロードマップを提唱している.また,最新事例について述べており,エンタテイメントらしい論文といえる
田川紘都(明治大学), 橋本直(明治大学)
VR空間での記憶のサマリーを作れるのが面白い