賢者の石
高濃度のレネゲイドウィルスが、鉱物の中に溶け込むようにして自己保存を行なっている状態のものを"賢者の石"と呼ぶ。
この特殊な石はレネゲイドの力を増輻させる性質を持ち、埋めこまれたオーヴァードの能力を飛躍的に向上させる。だが、賢者の石を埋め込まれたオーヴァードの多くは、その増幅された力に耐えきれなくなりジャーム化するか、死亡してしまう。
賢者の石の構造や、そのレネゲイドの活性化のメカニズムについては、完全には解明されていない。また、人工的にその能力を再現する研究も行なわれているが、それも成功はしていない。FHの研究により、人造レネゲイドクリスタルと呼ばれるものが開発されてはいるが、それは賢者の石の持つ増幅能力をまったく持たない劣化品である。
なお、賢者の石にはいくつか不可思議な特徴がある。ひとつは、「一旦賢者の石を埋め込んだら、外科的な方法では摘出ができない」というもの。強引に抜き出そうとすれば、本人のレネゲイドが暴走し、死ぬかジャーム化するかのどちらかとなる。「もうひとつは「前の持ち主の意識が宿る」というものだ。これは症例が少ないために確認しきれてはいないが、賢者の石を埋め込んだオーヴァードの中には「前の持ち主と会話した」と主張するものがいる。一体この現象がなぜ発生し、何を意味しているのか。それは今後の研究を待たなければならないだろう。
一説によると、"賢者の石"の真価は、レネゲイド増幅能力ではなく、プライメイトオーヴァードと呼ばれる、より高次の存在に進化するための鍵となることだといわれている。