ファントムセル事件
太平洋上に浮かぶ絶海の孤島―X島。
そこはFHの中でも大規模なセルのひとつ、ファントムセルが所持する人工島であり、レネゲイドの研究が行なわれる実験場だった。
そのX島から始まったのがファントムセル事件と呼ばれる事件である。
ファントムセル
ファントムセルはマスターファントムというマスタークラスのエージェントをトップに据える、FHでも大規模なセルのひとつだ。 X島を始めとする実験施設でより強力なオーヴァードを生み出すべく研究を進めてお
り、Xナンバーズと呼ばれる特殊な才能を持つオーヴァードを開発していた。そして、Xナンバーズをベースにして強力なオーヴァード兵士を量産、軍隊などに派遣することで巨大な利益を上げていたという。
だが、それはセルリーダーであるマスターファントムにとっては研究資金を集めるためのものでしかなかったようだ。彼の最終的な日的はレネゲイドそのものの進化であったといわれている。
レネゲイドの進化
レネゲイドの進化ー一それはレネゲイドをひとつの生命として進化させることである。
マスターファントムはそのために、数々の実験を実行させ、Xナンバーズという、レネゲイドの進化をうながす触媒となりえる特殊なオーヴァードの開発を目指していた。
だが、この計両は一部のXナンバーズたちの反逆によって失敗することになる。マスターファントム自身も、組織を裏切ったXナンバーズたちの手によって打ち倒され、ファントムセルは壊滅したのである。
ひとつの生命として進化
これは、地球上に存在するレネゲイドのすべてを、レネゲイドビーイング化させることだと推測されている。また、もしもこの計画が成功していた場合、レネゲイドを持つ者の9割がその進化に耐えることができずに死亡しただろうといわれている。
マスターファントム
レネゲイドの進化を画策したマスターファントム。彼は一体何者だったのか?
彼の出自には、レネゲイド拡散のきっかけとなった事件、すなわち20年前の輸送機撃墜事件が関わっているという。
彼と直接接触した人物であるアイヴィ・ノールズの言によれば、マスターファントムの正体は、ライアン・フィランダー博士が率いていた発掘隊、その生き残りたちであったという。さらに驚愕することに、中東某国の遺跡の調査のために派遣された発掘隊は、その遺跡にレネゲイドウィルスが眠っていることを知っていたというのだ。レネゲイドの情報を発掘隊にもたらしたのが何者なのかまでは口にしなかったようだが、その人物の手によってレネゲイドの拡散がもたらされたと、マスターファントムは語っていた。 マスターファントムが死亡した現在、これらの言葉が本当なのか分からない。だが、もし真実であったとしたならば、一体何者が発掘隊にレネゲイドの存在を教えたのか。そして、何のためにレネゲイドを世界にばら撒いたのか。この話を聞いた者たちの間で、さまざまな意見や憶測が飛び交っているが、残念ながら答えは出ていない。
残された影響
反逆のXナンバーズたちによって。マスターファントムの計画は阻止された。だが、その影響は現在のレネゲイドに残されているという説を挙げる研究者もいる。その影響とはトライブリードを持つオーヴァードの誕生だ。
数ヶ月前、世界中のオーヴァードが、同じくひとつのイメージを受け取った。それは望郷の念…あるいは希望。微かに温かなそれが何を意味するのかはわからなかったが、その日からレネゲイドは変化した。
そして、イメージの到来から1ヶ月間、ふたつのシンドロームを持つクロスブリードから、第三のシンドロームに目覚めるオーヴァードが続けて出現した。その現象は唐突に終わりを告げたものの、その後も、新たに目覚めるオーヴァードの中には、はじめからトライブリードとして覚醒する者が含まれるようになった。
この現象の始まりとされるイメージの伝達のタイミングが、ファントムセルの本拠地—宇宙ステーション、エンピリオで行なわれた最後の戦いと前後するのだ。この原因となったと思われるオーヴァードが行方不明なため確たる証拠はないが、恐らくそうだろうというのが研究者たちの通説となっている。