UGNの秘密
レネゲイドがオーヴァードにもたらす力は多種多様で、現在においてもそのすべてが解明されたわけではない。そして、そんな能力のひとつに"タイム&アゲイン"と呼ばれるものがある。この力に目をつけたFH幹部の手によって、オーヴァード、ひいては人類の在り方すらも変貌する可能性があった能力だ。
また、それに関述する事件の中で、レネゲイドの脅威から世界を守るために活動するUGNが、その行動理念に反した非道な実験を行なっていたことが判明したこともあった。
ここでは、そのふたつについて触れていく。
タイム&アゲイン
UGNにおいてその危険性から、監視されていた能力"タイム&アゲイン"。世界を変えることで人間の認識をずらし、歴史を変化させる能力といえる。これはモルフェウスの物質変換能力 と、ソラリスの幻覚能力の組み合わせによって発現するものだ。
例をあげて説明しよう。
ずっと昔に潰れてしまった店があるとする。
"タイム&アゲイン"の能力者が、その店が潰れていないと錯誤することで、モルフェウスの物質変換能力が発動して実際にその店が出現する。実際にある店に引きずられ、人々は"店は潰れていない"という認識を持ち、さらに、ソラリスの幻覚能力がその誤認識を加速させ、確固たる記憶として定着させる。
こうして、人間の認識が書き換えられたことによって、歴史もまた変化するというものだ。
人々の認識を強制的に変化させ、本来の歴史をねじ曲げるこの能力 は、UGNから極めて危険な能力として監視下におかれた。
またFHは、その能力を利用して世界を変革しようと、"タイム&アゲイン"の能力者を奪取するべく攻勢に出た。この時、計画の指揮を取ったのは"マスターマインド"と呼ばれる、FHエージェントである。 UGN とFHはぶつかり合い、あわや世界の在り方は変わらんとする直前までいったが、
高崎隼人と玉野椿を始めとする、UGNのエージェントたちの活躍によって、阻止された。
UGNの闇
レネゲイドの脅威から世界を守り、人類とオーヴァードの共存を掲げるUGN。だが、この組織は常に清廉潔白であったわけではない。
その裏には、決して表に出されることのない暗部もまた存在する。
そのひとつがプロジェクト・アダムカドモンと呼ばれるものだ。
プロジェクト・アダムカドモン
研究内容についてはすべて封印指定がなされており、現在では、その真相を知る者はほとんどいない。UGNにおいてこのことを知るのは、当時、UGN側の責任者であった霜谷雄吾 ぐらいであろう。
露見すれば失墜間違いなしの暴挙にも思えるが、当時の霧谷は、謎に包まれたレネゲイドを解明するため、この計画を実行に移すための助けをしたとされている。
プロジェクト・アダムカドモン一神学、錬金術において"完全なる人"という意味の言葉を冠されたこの計画の出発点は、ジャーム化したオーヴァードを、いかにすれば元に戻せるかというところにあった。
多くの研究が重ねられていき、その数だけ犠牲者は増えていった。だが、ジャーム化の恐ろしさを立証する以上の成果を上げることはできなかった。そして、実験開始からほどなくして、計画は歪み始めたのである。
ジャーム化の研究から、ジャームそのものの研究へ。ジャームとは、オーヴァードとは、一体なんなのか?
プロジェクト・アダムカドモンは、レネゲイドの脅威を退けるための研究の場から、巨大な人体実験場へと変貌していった。
だが、その非人追的な実験の場は、ひとりの実験体の暴走によって瓦解することになる。そして、わずかな実験体だけが生き残り、プロジェクト・アダムカドモンは闇に葬り去られたのである。