音の不協和についてのメモ
音律と音階の化学という本が面白かったので、特に4章の音の不協和の原理などについて周辺の知識をネットで調べて軽くまとめたメモ
詳しく気になったら実際に読んだ方がよさそう(特に純正律と平均律の成り立ちとか音律の協和の原理とかそれらを踏まえた上でそもそもなぜこの十二音が使われるのかとかみたいな話が面白かった)
参考・関連文献 (全然内容扱ってないのもある)
音律と音階の科学 (小方厚著、講談社)
不協和度曲線、臨界帯域幅
不協和度D
ある重音の協和度を定量化する心理学実験で算出
被験者全員が不協和と感じたときD=1
協和度C
C=1-D
不協和曲線
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2つの純音(基本周波数のみで倍音を持たない音)を同時に聴いたときの不協和度Dを周波数差の関数として表したもの
人間は高音域や低音域では音の高低の判断が甘くなるため周波数差を使うと根音の高低によって異なった曲線になってしまうので、臨界帯域幅で割った値を横軸に取る
ある音(振動数は問わない)は、振動数差臨界帯域が0.25となる音と一番不協和である
低い音域では臨界帯域がほとんど変化しないために、和声学的には協和音程であるはずの短3度・長3度・完全4度…が、音域によっては不協和音程になることが分かる。
臨界帯域幅
2音の重音が不協和になる周波数差の幅(臨界帯域幅内であれば不協和感があり、臨界帯域幅外であれば2音は分離して聞こえ不協和感を伴わない)
臨界帯域幅内で、不協和の聞こえ方によって三段階に分類できる
1.2音の周波数の差が小さい時は、2音の平均周波数の単音と2音の周波数差を周波数とする"うなり"が重なって聞こえる
2. 周波数差を大きくしていくとうなりは消え、2音の平均周波数を持つ単音がゴロゴロした感じで聞こえる
3. 更に差を広げると2つの音が認識できるが、ゴロゴロ感は残る()
これ以上広げると、2つの音は独立して聞こえる
中心周波数と臨界帯域幅の関係
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赤線は臨界帯域の幅が2音の平均周波数に応じてどのように変化するかを示す
黄色の線は、半音・全音・短3度の3つの音程が平均周波数によってどのように変化するかを示す
周波数の比が一定でも、2音の周波数差で定義される臨界帯域の幅は周波数に比例するので、3つの黄色の線は右上がりの直線となる
500Hz以下の低音域では臨界帯域幅を示す曲線は横ばいになっており、臨界帯域幅は一定値に近づいている
周波数差が小さくなっても帯域幅が一定ということは、低音域では相対的に帯域幅が大きくなっており、低音になればなるほど音高の区別に対する感度は低くなることを表している
半音と全音のラインがいずれも臨界帯域幅のラインより下方にあることから、半音や全音には不協和を感じ、長三度協和を感じることがわかる
参考 : 横軸を周波数比で取った図
https://scrapbox.io/files/64e1fa08b7970b001b17f2c4.pnghttps://audiodesign.co.jp/blog/wp-content/uploads/2015/05/20150414_324904.gif
2つの純音の不協和度
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倍音を考慮した不協和度曲線
(それぞれ2~6倍音まで考慮、1オクターブ分)
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(6倍音まで考慮、2オクターブ分)
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3つ以上の音の不協和度
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