神戸大学でのレクチャー&WS
WS「仲間と協力することで生まれる形」
ワークショップを通して伝えたかったことは、いつもデザインビルドブラフの活動でも大事にしている事「チームワーク」。
「仲間と協力することで生まれる形」の体験です。学生を誘導しつつも学生に自主性をもたせてそれをはぐくむ場を理想としています。
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私が建築学生だったころ、課題をこなすのは個々の能力によるものが圧倒的でした。そうすると、個人のデザイン力が高ければ高いほどいい作品が出てきたような、逆にその能力がたいしたことがない場合は、なんだか自分が建築には向いていないと感じるような。。。そんな評価のされ方が主流だったと思います。
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ただ、実際に社会に出て、建設業に従事してみると、本当に多くの人がありとあらゆる分業された仕事で、ありとあらゆる自分の優位なものを生業として仕事をしていたのです。コミュニケーションがうまい人、みんなの話をまとめるのが上手い人、黙々と自分の技に集中する人、などなど。いつもチームで仲間と働く、それが現実です。
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チームメンバーの得意な部分を知り、それを活かしあいながらいいものを作る。その訓練がもう少し学生の時期にあってもいいのではないか、それをするには、実践型の建築教育、ワークショップの場はうってつけの場所です。学生を誘導しつつも学生に自主性をもたせてそれをはぐくむワークショップ。
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0 Preparation 映像、音の確認。活動を理解してもらう冊子、スケッチブック、泥団子、ナバホカルチャーのものを並べる。
1 Introduction 当日の趣旨と流れ
(30分) 参加者の自己紹介
2 presentation DBBの活動説明 LONETREEのビデオを使って説明
(30分) 質疑応答
3 workshop WSの趣旨と流れ
(60分) 課題)割りばしと輪ゴムで立体を作る
rule (5分)
チーム編成(くじ)(5分)
ブレスト+試作(10分)
制作(30分)
4 まとめ 制作した案の発表(言語化)10分
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内容は、割り箸と輪ゴムを使い、各チーム話し合いで考えたコンセプトを元にある造形を生み出す、と言うものにしました。
以前にも、建築を学ぶ学生と同様のチャレンジを行ったことがあるのですが、その時は「高さを競う割り箸造形ワークショップ」にしたために、仲間と話し合う必要なく作り出すことができてしまったのです。そのため、今回はより話し合う必要性が出るようにコンセプト決定からチームで行ってもらいました。
各チーム、考えをまとめるのに苦労している様子で、作り始めまでの時間が予想以上にかかりました。また接合が「輪ゴム」だと、どう輪ゴムを巻くときれいに巻けるか、作りたい造形を単純な材料だけで表現するのに苦労していました。(もし、今後同じようなワークショップをやるとすれば、ディティールの事例を紹介すると、より面白い造形が出てくるのかもしれません。)ただ、出来た造形はやはり面白いように違うものができ、大変興味深く観察させてもらいました。
レクチャー 「創ることで学ぶ」
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午後の部のレクチャーは2年前の2017年にデザインビルドグラフに参加してもらった竹川君と2人で行いました。性別、年齢、働き方、それぞれに違うOB、OGが話すというのはいい機会になったと思います。特に今回は、2人で1つのテーマ「創ることで学ぶ」ということを伝えようと、私からは運営側の目線で、竹川君からは参加者側の目線で、よりしっかりと私達の行う海外の実践建築教育プログラムをしってもらうためにお話ししました。
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私は、これまでよくデザインビルドブラフの活動を紹介するプレゼンを行ってきましたが、これまでは具体的なプロジェクトの中身、(学生の活動、過去の作品など)を紹介してものの、今回は活動の意義から初めて、よりプログラムの根本となる部分を説明しようと努めました。結果、これまでの活動を体系的に振り返り、今後の課題などもあぶりだしながら、活動を整理するいい機会となりました。また竹川君がプレゼンの中で伝えていた言葉「社会とつながるきっかけが現場にあった。(言葉、宗教、気候、食事などの話を踏まえて。)」は私も驚くほど伝えたい核心をついたセリフだと思い、それを感じて伝えてくれた竹川君にただただ感心、感謝してしまいました。
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また今回の神戸訪問は文科省の推進するダイバーシティー事業のひとつとして、海外の研究機関に所属する女性研究者、ということでお声がけいただいたということもあるので、「女性として建築業界で働くこと」、「海外で働くこと」そういった私の環境もお話ししました。性別、国境、仕事と子育て、よく我が身を振り返ってみれば、確かにいろいろな境界線をまたいで多様性というか独特の働きかたを実現してきたのかもしれません。日本の学生のイメージする卒業後の働き方、を考える上では、あまり類似例がない働きかたをしていると思うので、学生の方々の既成概念の枠を少しでも壊すことが出来たなら、お話を聞いていただいた甲斐があったのではないかと思います。参加いただいた皆さんからのフィードバックには、多様性、マイノリティー、現場、などといった単語が反復されていました。そういった部分の話が新鮮に聞こえたのではないかと思います。
私は、学生の若さ=スポンジのように様々なものを吸収しようとする柔軟性
にあると思うんですが、いろいろなことを見聞きして自分を成長させようと言う柔軟さが伝わってきてこちらにも刺激になりました。若い方の概念の枠をどんどん壊して世界の広さ外の広さを知らせられる存在、そんな先輩になりたいと思いました。