犬島精錬所美術館 人口50人の島でここまでできるのか
2019.03.17
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むくむくと湧き上がる期待感
高速を降りてしばらくすると曲がりくねる道に、瀬戸内海の海岸線へ降りて行っていく。しばらくして本当に海岸線たどり着き、肌寒い春の誰もいないビーチを横目に宝伝港へ。生憎の雨の中、地元のおばあさんが運営する駐車場へ車を止める。人気が無いし、寒いなあと思っていると、駐車場のおばあさんから「大根を持ってけ~」と畑のおすそ分けを。乗船まで時間があったので近くを散歩すると、焼杉でできた小屋が住居がたくさんあるのに気づく。
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戻ってくると犬島行きの船に乗る観光客がチラホ見え、幸いに雨も上がって、乗船。期待が膨らんできた。たった10分ほどの乗車だったがその水上の10分間が日常と意識を切り離す。チケットセンターの焼杉の佇まい、犬島精錬所未術館へと向かう犬島由来の犬島石(花崗岩)と海の迫力ある美しさにどんどんと期待が膨らむ。
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Artな建築
近づいてきた美術館のカラミ煉瓦の入り口アプローチはどこまでが近代化産業遺産でどこからが美術館の整備か分からない。ただその迷路の様な工場跡の雰囲気にさらに高揚感が増す。入口ではどこからともなく案内の方が現れ、さっきまで一緒に乗船していた他の方はどこへいったのか、貸切で中へ。とても特別なことが起こりそうな雰囲気のなか暗闇へ、不思議な光の世界へ。続く柳幸典氏の三島由紀夫の世界はマルセル・デュシャンを思い起こし、暖かい温室、扉を開けてびっくりするトイレのつくりまで、建築そのものがまさにアートだ。
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建築家の三分一さんはこれまでの作品で、その場の美しさを気づかせる建築、その場の自然(光や水や風)のように佇む建築をご自身の設計のひとつの軸として持たれていると私は認識している。その設計理念を実感したくて今回訪れた犬島精錬所美術館だが、ここでは、設計にあたり、島で利用できるものは利用する、島に持ち込むものは瀬戸内の産業技術を利用した長く利用できるものと徹底された様。そして今回、その中心となった「カラミ煉瓦」。カラミ煉瓦は、銅を採取後のカス(みたいなもの)から造られたが、年月の経過で多くのカラミ煉瓦は海に沈んでいた。それを今回、約17000個も拾い集め、現在の精錬所に使用したそう。そういった強い設計の意思がこの空間を生み出したのだと思うと、なんだか自分たちの僻地での建築、そこにある砂の活用への再検討の余地に改めて気づかされる。 https://doubledotdesign.gyazo.com/1c9ab2062ee77277bd7d1f9b98a7e505
迫力
不思議なアート建築の全貌を見るべく外の遺構を散歩すると、今度は一転、島の自然と近代産業遺産の迫力を味わう。ぐるりとほどよく楽しんで次は島巡りへ。
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Artな日常
島めぐりでは、島の日常生活のスケールで所々に埋め込まれているArtに 驚き、新鮮さを感じた。なんだか「あっ、見つけた!」と思わせるような心地よい規模のArt建築は、写真でみるより実際に現地を訪れてみたほうがずっといいものに感じる。
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わざわざここまで行きたい!アクセスの難しさ→日常との切り離しによる高揚感
そこでしかありえないプロジェクト→地産地消建築、その場の日常のスケールを大事にしたプロジェクト。
多くのメンテナンスを含めた予算、地元住民の人たちからの理解や愛着は必要になるが、それが公共の建築で、人を呼び込む場所である以上、ここでしかない空間を創り、人を呼ぶ、お金を呼ぶ、という循環にしなければならない。
その場しか持たない美しさをどう切り取って見せてあげるか。勉強になる仕掛けがも盛りだくさんだった。